2022年3月11日の日経クロステックの表題の記事を紹介します。
「政府の資金繰り支援などで歴史的な低水準にある建設業の倒産が増勢に転じる恐れが強まってきた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府系金融機関などの実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化し、過剰債務を抱える企業の経営が立ち行かなくなるとみられる。政府は、金融機関に資金繰り支援の継続を要請した。
東京商工リサーチによると、2021年の建設業の倒産は前年比14.5%減の1065件で、過去30年間で最も少なかった。ゼロゼロ融資など政府のコロナ対策が企業の資金繰りを下支えした影響が大きかった。ゼロゼロ融資は、コロナ禍で打撃を受けた企業の資金繰りを支援するため、日本政策金融公庫など政府系金融機関と民間金融機関が20年に取り扱いを始めた。融資の対象件数は約200万件に上り、実行額は40兆円を超える。
融資先では、最長5年まで設定できる据え置き期間(返済猶予期間)を2年以内にとどめている企業が多いとみられる。据え置き期間の終了後に返済負担が重くなる事態を避けるためだ。そうした企業では、コロナ禍3年目となる22年の末までにゼロゼロ融資の返済が始まる。これに伴い、建設業の倒産リスクが高まっている。
東京商工リサーチが発表した22年2月の全国企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同月比2.9%増の459件と9カ月ぶりに前年同月の実績を上回った。うち建設業は80件(前年同月比9.5%増)で、「サービス業他」の159件(同23.2%増)に次いで多かった。建設業の倒産件数が前年同月の実績を上回るのは3カ月連続だ。
コロナ禍による経営破綻も増加傾向にある。破産など法的倒産手続きの準備中を含むコロナ関連破綻は、22年3月2日に全業種で3000件に達した。建設業は318件で、全体の1割を超えている。21年2月にコロナ関連破綻が1000件に達した際には、建設業は83件と全体の1割に満たなかった。この1年間に、建設業のコロナ関連破綻の増勢が強まっている。
建設業のコロナ関連破綻318社のうち、資本金1000万円未満の小規模な企業(個人企業を含む)が191社と全体の6割を占めた。負債額(判明分)では1億円以上5億円未満が125件と全体の4割近くに上る。東京商工リサーチでは、コロナ関連の支援の副作用で過剰債務に陥った中小企業が増え、ゼロゼロ融資の資金繰り支援効果も薄れたとみている。
」
ゼロゼロ融資問題は、建設業だけでなく多くの中小企業で問題となっています。使う予定がない企業でも、とりあえずということで融資を申し込み、手元に現金が入ったことで、過剰な設備投資や、必要ないようなものを買った会社も多くあったようです。「コロナ前から苦しかった中小企業が、ゼロゼロ融資でさらに借金が膨らんだ」との声も聞かれます。
コロナから2年が過ぎ、景気回復の兆しも見えず、売上も増えない中、これから融資の返済に迫られる中小企業には、倒産の危険性がある企業が多くあるようです。ゼロゼロ融資は、結局倒産予備軍の企業の延命をはかっただけのような気もします、本来であれば、競争力のない企業は、早めに淘汰された方が、人材の流動化も図られ、日本経済全体からみても、有効だったのではないでしょうか?
これから工事を発注する場合は、企業の信用力調査と万が一の倒産時の対応も考える必要があるのかもしれません。
תגובות