設計施工で受注するのが、当たり前のハウスメーカーには、頭が痛い話かもしれませんが、最近の建設業界、とくに公共工事においては、この三権分立の考え方が一般的になっています。今回は、そんな建設業界の三権分立のお話です。
設計(立法)・施工(行政)・監理(司法)を立法・行政・司法に例えて、それぞれ別の組織の人間が行うのが、建設業界の三権分立の基本です。いままで、設計と施工監理を同じ設計事務所が行うケースが一般的でしたが、設計者に監理させない第三者監理方式も一般的になってきました。
第三者管理方式は、2001年2月に国土交通省が同省の営繕工事を対象に、設計業務と工事監理業務を分離して、別個に委託する方針を発表し、2000年度末の工事監理業務委託契約から実施し始めました。
また最近では、民間の大型工事でも、第三者管理方式を実施する工事も増えてきています。退職前に勤めていた建設会社でもマンションの新築工事を受注すると、建設会社の社内検査(現場自主検査+品質管理部所による社内検査)に加え、施工監理者としての設計事務所(設計を行った会社とは別の会社)の検査、さらには施主としてのデベロッパーの施工管理部門の検査と、3段階の検査があり、検査だけでも大変な手間暇をかけていました。この上に、行政の検査もありますから、ある意味やりすぎの感もあります。
また、完成検査時には、クロスの傷等をチェックする、専門の検査会社があり、その検査会社に頼むと、一部屋で100項目以上の手直しが発生し、下手をすると、最終の施主検査前に、部屋中のクロスを全面張替えしなければいけないようなケースもありました。委託された検査会社は指摘を出すのが仕事ですから、指摘なしは、ありえません。
最近、建築費の高騰が激しくなっていますが、検査の厳格化による手直し工事の多発も、工事原価高騰の一因になっているように思います。
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