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怪文書が撒かれ、訴訟にも…マンション管理組合で起きる「住民の勢力争い」のヤバい実態

更新日:6月8日



 2022年3月16日の現代ビジネスオンラインのマンション管理士祖堅 千鶴子さんの表題の記事を紹介します。


「マンション管理士をしていると、管理組合で起きた「勢力争い」についての相談を受けることが少なからずあります。以前、組合が完全に分裂し、怪文書が撒かれるところまでいった組合から相談を受けたことがありますし、訴訟合戦を繰り返しているところから相談を受けたこともあります。


 なぜそれほど組合の内部で対立が起きてしまうのか。今回はそのメカニズムについて解説します。


「マンションは管理を買え」

 私がマンションを購入したのは、もう20年以上も前ですが、あの時のワクワクは忘れることはないと思います。頭金が少なくても、それどころか頭金がなくてもマンションが購入できるというようなことがウリになってきた頃でした。賃貸の家賃1ヵ月分より安い頭金でローンが組め、夢だったわが家が手に入るのです。

 ちょうどそのころ住んでいた賃貸マンションの近くに、角地、川沿いで公園の前、景色も陽当たりも良好という好立地のところに新築マンションが建設されることになりました。冷やかし半分でモデルルームに立ち寄ったのですが、営業マンのトークに乗せられてしまったのか、すっかりその気になってしまいました。

 間取り変更もできるということで、ここはこうして、あそこはこうしたらどうだろうと考えたり、西日の入る部屋は避けるべきだと方角を気にしたり、高いところは景色がいいだろうなぁと想像したり、楽しいことばかり頭に浮かんでいました。そしてその気にさせられたまま、あれよ、あれよという間に契約してしまいました。引っ越しの荷づくりも楽しいくらいでした。新しい家具や家電も買いそろえ、本当にワクワクしたものでした。


「マンションは管理を買え(管理が充実している/管理をしやすいマンションを買え)」という言葉くらいは聞いたことがありましたが、それは管理会社がやるだろうとしか考えていませんでした。管理会社の名前すら数えるくらいしか知りません。わが家を購入するときには、購入者全員で管理をしなければいけないなんてことは、頭の片隅にもありませんでした。頭にあるのは、これから先の長~い長~いローンのことぐらいです。


多くの人は無関心

 こんな状態で“区分所有者”になって、日々平然と暮らしていました。管理組合の総会の案内が来ても当然のように委任状で済ませていました。だいたい“区分所有者”って何? という知識のレベルです。

 でも、これって普通のことだと思います。私が特別ではなく、多くの方がそのように区分所有者になられているのではないでしょうか(そうでない方には失礼な考えで申し訳ございませんが)。そして、ほとんどの組合では役員の輪番性をとっています。ある日突然に「次期役員ですからお願いします」と通知されます。

 「えっ」と反応する方は、まだいいほうだと思います。輪番で役員になっても、まったく無関心で何の反応もない方がいるということで困っている組合も多いのではないでしょうか。輪番で役員にはなっているものの、理事会には一度も顔を出さない。何回通知しても返事もない。理事会側としては困った問題ですが、当人にとっては、管理をするためにマンションを買ったのではないので、痛くもかゆくもないものです。そういう方が多いと、理事会も出席理事の人数が足りずに、成立しないことになってしまいます。それさえ無関心な方にとってはどうでもいいことに思われるのではないでしょうか。

 管理会社に管理を任せるために管理費を払っているのだから、自分のことで忙しいのに、なんで管理組合のことまでしなければいけないのだという考えもあります。ごもっともではないでしょうか。私には、こういう考えを否定することはできません。

 まさしく入居当初の私がそうでした。管理費を払うことと、賃貸の家賃を払うことを、同じことのように思っていました。管理費さえ払っていればいいのではないかと考えていたのです。管理会社がそれなりの利益の中で、しっかりと仕事をしてくれれば何の問題もないことだと思います。


組合の運営に目覚める人たち

 ところが、管理会社に対する不満をきっかけに、管理組合の運営に目覚める方も結構多いものです。さきの「無関心派」とは対照的に、情熱を傾けて組合の運営にのめり込む「情熱派」です。

 管理会社の手が行き届いていない、委託費が仕事に見合っていない、皆の意見が届かないなど、管理会社にとって厳しい指摘が次から次に出されます。

 時には、管理会社を変えてしまうこともあります。そうした「情熱派」の人々の声に耐えかねて、管理会社が逃げ出すケースも起こります。積極的に役員に立候補し、管理会社を思うように使いこなそうとしたり、無関心派の目を覚まそうとしたりもします。

 確かに、マンションの建物は、購入者全員の資産ですから、全員で管理していくのは当然のことと思います。無関心でいられたら、良好な管理ができないではないか。目を覚まして協力してほしい。みんなで住んでいるのだから、みんなで頑張ろう。健全な組合運営をみんなで行っていくのが、区分所有者としての権利でもあり義務でもあるのだ。

 考え方としてはまったく正しいと思います。

 いろいろな「権利」を主張するなら、区分所有者としての「義務」も果たさなければなりません。


「反発派」が生まれる

 しかし、「権利」には敏感ですが、「義務」のことはあまり考えないという方も多いです。情熱派があまりに大きな声で旗を振りすぎると、それに反発を感じる方々も生まれてくるものです。彼らを「反発派」と呼びましょう。


 「反発派」には2通りのパターンがあります。

 ひとつは、「管理会社擁護型」です。

 情熱派があまりに管理会社を責め立て、管理会社の不手際や不甲斐なさを指摘し、自分たちの組合だから、自分たちが主導権を持って動くのだというようなことを大きな声で広報をしたりすると、無関心派の中から、「管理会社に管理していただくために管理費を払っているのだから、全面的に任せるべきではないか。それが管理会社の仕事だ」というような声が上がってきてしまうことがあります。管理会社が有名な会社の子会社だったりすると、そのネームブランドこそが一番重要であると考える方も出てきます。

このような考えで無関心派の方が目覚めると結構大変です。自分も役員に立候補して理事会内で対立を図り、情熱派を黙らせようということなります。


 一方は、組合全体のためになっているのだという信念で動きたい。それに対して他方は、それは管理会社に任せることだと主張する。

 双方ともに一理あることで、なかなか一つのことが決められなくなります。管理会社にとっては、簡単に首を切られることがなくなるので、対立をニンマリ見ていることになります。時にはこっそり擁護派に有利になるよう加勢することもあるかもしれません。


 では、「反発派」のもうひとパターンとはどのようなものか、そして、管理組合の対立の実態とはどのようなものなのでしょうか。


対抗心を燃やす人たち

 もう一つのパターンは、「対抗心型」です。

 情熱派があまりに改革を叫ぶと、目障りに感じ、自分たちが主導権を握り、自分たちの考えで運営したいという方々が対抗してきます。これは勢力争いのようなものです。この方々も、管理会社には同じような不満を持っていることが多いのですが、運営の進め方に違いを感じている方々です。

管理会社にも不満があるが、理事会にも不満がある。自分たちこそが正しい運営ができるのだと考える方々が集まってきます。

 こうなると、足の引っ張り合い…というと申し訳ないのですが、争いがひどくなることがあります。

立候補合戦が始まり、票の奪い合いが起こります。なぜここまで対立するのか不思議なくらいな溝ができます。

 お互いに、相手のほうがおかしいと主張し、周りを巻き込んでの戦いになっていきます。時には怪文書が飛び交うなんてこともあります。住民にとっては傍迷惑な話ですが、当人たちにとっては、自分たちの主張を一人でも多くの方の理解していただくためだということしか頭になく、文書合戦を繰り広げます。


訴訟合戦も起きる

 そんなことで、組合が完全に分裂してしまっているところから相談を受けたことがあります。お話をうかがうと、相手側は、長年役員の座を利用して、外部業者との不正な繋がりがあり、組合の損失になっているとのことでした。

 相談してきた方々は、本当に正義感で戦っているように見えましたので、クーデターの手助けをして、勢力の交代を成功させました。

 しばらくすると、今度は、役員に就任した相談側が外部業者にリベートの要求をし始めたというあきれた勢力争いだったことがわかりました(今は健全な組合に生まれ変わっています)。


 毎年勢力争いを繰り返したあげく、怪文書がバラまかれるならまだうんざりするだけですが、訴訟合戦をしている組合からの相談もありました。

 相手勢力を「ヤツら」とか「被告」とかののしるので、関わりたくないと思い、さっさとお断りさせていただきました。

 役員が決まった後の勢力争いもあり、理事長の座をつかみ取った方が、理事会運営を思うようにできるので、仲間の理事を増やすために、知り合いに立候補を依頼することもよく行なわれます。ただ、この時に問題が生じることもあります。

 管理規約には、役員の資格が定められています。

 ほとんどの組合では、役員になれる資格について、「現に居住する組合員」という文言になっていると思います。

 しかし、管理規約を読んだことさえない方も多いものです。この「現に居住する組合員」というのは、そのマンションに現に居住している登記簿上の区分所有者ということになります。所有者本人でなければ役員になれないという規約のままなのに、登記簿上は所有者となっていない、所有者の家族が立候補してしまう場合もあります。

 故意ではないにしても、不正行為になってしまいます。そのまま、自分が不正をしていることに気づかずに、理事長にまでなってしまう方もいました。

 ほとんどの場合は、本人さえ資格がないなどと思っておらず、バレてしまうことはないものなのですが、対抗心型の争いの中では、とにかく相手のどんなことでも足を引っ張ろうとするものですから、資格がないことがわかってしまうこともあります。

 わざわざ法務局まで行って、登記簿をとってきた方もいました。資格のない方が理事長を務めていた期間の決議事項が、すべて無効とされた判決さえあります。


底なし沼でもがくようなストレス

 実際に巻き込まれた時のストレスたるや凄まじいものがあります。見ず知らずの者同士が、たまたま同じマンションを購入して、同じ建物に住むことになっただけなのですが、なぜか、人生をかけた戦いに突入。底なし沼の中でもがくようなストレスに沈んでいくことになります。

 ちょっと引いた立場で見ると、そら恐ろしいことになっています。大げさなように思われるかもしれませんが、これはしばしばあることなのです。

 管理組合の対立の結果、マンションに住んでいられなくなり、せっかく買った高級なマンションを手放し、引っ越ししてしまったケースもあります。一生に一度の大きな買い物をしたと思い、熱心にそのマンションの維持管理に関わったために、その大きな買い物を手放すことになってしまう。

 何が間違ったのかわからないという思いではないでしょうか。お互いの、ほんの少しの思いのすれ違いからなのでしょう。


管理困難な物件もある

 こんな激しい立候補合戦とは対照的に、役員のなり手のない組合も増えてきました。

 住人の高齢化や、賃貸化が多くの原因となっています。こうなると、実際の管理が難しくなってしまいます。今は他人事と思っている組合でも、いずれは直面してしまうことなのかもしれません。

 マンションの形態自体も変わってきています。大規模なものや、タワーなども増えてきています。それに伴い、これからは管理の方法も、組合の運営についての意識も多様化されていって当然なのではないでしょうか。

 自分たちのマンションは自分たちで管理していくのだという考えは、正当なものなのだとは思いますが、現実的には問題も多くなってきています。そもそも、いろいろな環境にいた方々、いろいろな考えを持っている方々が、一つのマンションに集まっているわけですから、規模が大きくなってしまったら、住人全体をまとめること自体が困難なのです。

 タワーマンションでは、1階に住んでいる方と、30階に住んでいる方では、マンションの中での環境さえ違っていることでしょう。団地型では、あっちの棟と、こっちの棟では問題も違うかもしれません。

同じ住民として同じ義務があるのだから、同じ立場で問題を検討すべきだということも無理が生じてくるのではないでしょうか。

 マンションは無機質な建物ですが、管理組合は生き物のようなものです。ルール通りに運営していれば、健全で良好な住環境が育つというものではないと思います。もし、いままさに管理組合で対立の渦中にいる人には、なぜマンションを購入したかということを忘れずにいてほしいと思います。そこに、人生の安心、安定、家庭の平和を求めて手に入れたのではないでしょうか。

 建物をいい状態に維持していくことは必要なことですが、管理するために、その平和を壊すことにならないよう、初めのワクワクを覚えておいてほしいと願います。そして、組合からの通知も気にせず、総会の案内には委任状で答え、ご自分の生活のことしか考えていないあなた、ある日突然に、

「次はあなたが理事長に決まりました」と通知が来るかもしれません。マンションを買った以上、そのことは覚悟しておいたほうがいいと思います。」


 私が初めて大規模修繕工事のコンサルタントをおこなったマンションでも、理事長の事を気にいらない一部の住人が、「ワンマン理事長と悪徳コンサルタントが、マンションの修繕積立金を食いものにしている。」という、ありもしない作り話をつくり、大規模修繕工事の中止を、管理組合の規約を無視した臨時総会を開催して決議したという1件がありました。

 その時は理事会役員が一丸となり、再度、理事会主催の臨時総会を開催し、無事、大規模修繕工事実施の総会までこぎつけましたが、あのまま大規模修繕工事を実施しなければ、たぶん誰も、再度、大規模修繕工事を行いましょうと言い出せなかったと思います。結果、そのマンションは修繕が実施されない廃墟マンションになったと思います。

 一度、入居者が2つに分かれると、仲直りはなかなかに難しいと思います。今修繕の相談を受けている管理組合も、管理会社派と情熱派に分かれて、改修工事の方法について意見が割れており、公平な目で改修工事の実施を進めて欲しいとの要望をいただいている管理組合もあります。

住人同士が仲たがいすると、「気にいらない誰それの意見だから、とりあえず反対する。」等、善悪の判断よりも、誰が言ったかで、賛成・反対を言うようになり、結局は、マンションに住む誰もが、幸せになれないということになります。

 特に、会社を退職した高齢者の男性は、頑固になり、また怒りやすくもなる傾向が高いように思います。こういうケースでも、第三者としてマンション管理士を活用するのは有効だと思います。

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