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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

恐怖のマンション“乗っ取り”制度 「第三者管理方式」の導入が静かに進んでいる…! 



 2024年4月8日の現代ビジネスの表題の記事を紹介します。


「「これはとんでもない制度ですよ。こんな制度がうちのマンションで導入されたら、不要な工事がどんどん行われ、ゆくゆくは管理費や修繕費も上がってしまうでしょう。しかし、住民は理事会負担がないと喜んでいるだけで、問題点には全く気付いません」

 こう言うのは、関東の築20年のマンションを所有する男性だ。管理会社からは理事会負担のない「第三者管理方式」の導入を提案されているという。なお、国交省では「第三者管理者方式」という呼称について、3月末に「外部管理者方式」に修正している。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて考え方を参考にしてください


「第三者管理方式」とは

 この方式の主流のケースでは、これまでマンション管理組合による自治活動の運営を行っていた理事会を廃止し、理事長が兼任していた管理の責任者である「管理者」ポストを、委託先の管理会社社員が“第三者”の立場となって務める、というものだ。


 以前から、所有者が居住しない投資用マンションやリゾートマンションでは採用されていたが、理事会負担や理事のなり手不足の解消のためとして、近年では、一般的なファミリータイプのマンションでも第三者管理方式への切り替えが徐々に進んでいる。すでに管理物件の3割に達する大手の独立系管理会社や、分譲時から第三者管理を採用する財閥系の新築マンションも増え始めている。


別所マンション管理事務所の別所毅謙氏が言う。

「今までの理事会方式では、管理会社が提案する小さな工事を実施したり、備品一つを購入する場合でも、理事会の承認が必要でした。第三者管理の方式は複数ありますが、主流の“理事会廃止型”は、理事会業務の負担回避を目的に、理事会自体を設置しないということなので、普段の運営に関しては住民側のチェック機能がありません。管理者ポストに就く管理会社は、実質的に独断で、顧客マンションの管理運営に対する意思決定ができるようになるのです」

 管理会社は、工事業者などからの事実上のキックバックで工事からも利益を得られる。つまり、管理組合のお金の使い道を自ら決めることで、「利益をあげ放題」ということになる。

 そう。『中立的な利害関係者以外』を意味する”第三者”を冠した制度名称だが、実際にはサービスの売り手側の利害関係者にあたる管理会社が、顧客である管理組合予算の執行権を掌握する管理方式になってしまっているのだ。制度名称と、中身は完全な真逆と言っていいだろう。


管理会社にとってはオイシすぎる制度

 この管理方式の問題点は、なんといっても「管理者」ポストを握った管理会社による、こうした利益相反の懸念だ。住宅ジャーナリストが言う。

「管理会社の営利的目線でこの管理方式を見ると、管理会社が導入をしきりに働きかけてくる理由がわかります。

 第三者管理方式では、管理会社にとって目の上のタンコブだった理事会がなく、従来の管理組合が有していたマンション自治における“自己決定権”も同時に喪失してしまいます。そして、今まで管理業務の委託先に過ぎなかった管理会社が管理の権限を手中にし、お金の使い道と使い先を自由に決めることができる制度となる。こんなにオイシイ制度はないのです。

 導入理由は、管理組合の理事会負担軽減は5%くらいで、残りの95%は、管理会社が管理組合からより簡単に儲けやすくなるから、ということでしょう。

 大きい出費は組合員による総会での承認の必要がありますが、従来の理事会方式ですら組合員は管理に無関心でノーチェックの人が大半です。理事会が廃止されれば、理事経験者もいなくなり、管理への無関心さに拍車がかかるのは目に見えています。大規模修繕に関しては、修繕委員会の設置が国交省のガイドラインでも推奨されていますが、第三者管理のマンションで住民がそれを求めるかも疑問です」


導入してしまうと、後戻りができない制度

 しかも、この制度に移行してしまうと、のちに理事会方式に戻すことが絶望的に困難になる。管理組合の意思決定機関である理事会自体がすでにないため、制度変更を主導する存在がないためだ。


前出の別所氏が解説する。

「理事会がなくても、理屈上は問題提起している組合員が主導して臨時総会を開催し、管理会社側が務める管理者の解任と理事会復活の議案を可決できれば戻ります。

 ですが組合員による臨時総会は、一般的に開催すること自体の実務上のハードルが極めて高い。まず、全区分所有者の1/5の賛同者を集める必要があって、これが戸数の多い中規模以上のマンションだと難しい。

 ようやく臨時総会開催にこぎ着けても、臨時総会成立の定足数に足る、組合員の半数以上の招集通知を管理会社側の管理者に請求することになりますが、当然、管理会社側が務める管理者が自分がクビになる臨時総会の招集に協力する訳がない。

 そうなると自力で過半数を集める必要があり、これがさらに難しい。大規模マンションなどでは賃貸に出している所有者も多く、不動産登記情報などを調べて住所を割り出して招集通知を発送する必要があります。もちろん、管理会社側の反発も予想されることから、現実には絶望的に困難といえます」

 もはや、第三者管理を一度導入すると後戻りはできず、管理組合の運営権は事実上、管理会社に”乗っ取られた”ようなものだ。


管理会社への権限集中に、国交省も危惧

 第三者管理の導入を提案する管理会社は、理事会負担の回避を大義名分に、管理組合の運営を差配できる「管理者権限」が欲しいだけなのか。

 国交省の公表資料「第三者管理者方式の各論点に関する検討」では、以下のように重大な懸念を示している。

「現在、理事会がない第三者管理者方式における管理組合の運営については、管理組合の運営方法や管理者の担う業務の範囲に関する標準管理規約や指針となるガイドラインがないため、管理業者が独自に検討した案に基づく管理規約で定められたルールにより行われており、管理者に権限が集中しているケースが見られる」第三者管理方式が導入されると、一体、どうなってしまうのか。前出の別所氏がいう。

「新築時からの第三者管理のマンションは、維持費が元から高額な設定です。ただ、この制度はまだ歴史が浅く、管理組合の反発を考慮してなのか、第三者管理に切り替えた管理組合でも、管理費や修繕積立金が露骨に値上げされた例は目立っていません。

 しかし、途中からの値上げは難しくても、物価高などを口実に、管理員の勤務日を減らしたり、清掃の頻度を減らしたりといった、サービスカットによる『ステルス値上げ』は時間をかけて進んでいく可能性が高い。そもそも、第三者管理方式は解約自体の手続きが非常に難しく、契約更新が安泰の管理会社にとっては、努力してサービスの質を高める必要性がありません。

 住民間のトラブル解決や、意見、要望など、管理会社にとって収益になりにくい課題についても、積極的な対応は期待できないでしょう。また、新築マンションの場合では、アフターサービスで不具合を10年間は無償で直すことができますが、第三者管理の場合、売主の子会社の管理会社の管理者が、管理組合の立場で親会社に権利を請求できるのかも疑問です。しかも管理者ポストを管理会社サイドが務めるので、管理組合の通帳も印鑑も管理会社が保管することとなり、これは厳密にはマンション適正化法に触れる可能性もある」


住民の意見はおざなりに

前出の別所氏がつづける。

「また、総会の場はあくまで、管理会社側の管理者が上程した議案に賛否を投じるだけで、提案ができません。意見や要望を伝えることくらいはできますが、それを管理者が取り合ってくれる担保がないのです。

 例えば工事費が高いと文句を言っても、『物価高だし、監事が問題視していない』など、もっともらしい理由をつければ、住民の要望は簡単に拒絶されるか、握り潰されてしまい、その事実も管理組合で問題として共有される仕組みもありません」

 こうした不満はどんどん溜まっていくだろう。それでも第三者管理方式の物件が良いのか、よく考えるべきだ。


マンション管理に詳しい弁護士が言う。

「第三者管理方式は、あくまで理事会負担の軽減が目的であるべきで、これ自体は悪い制度ではありません。問題は管理会社が自社に都合よく、不適切な利益相反的な取引ができてしまうことが良くない。やはり、ガイドラインではなく、強制力のあるマンション適正化法で、禁止事項を明確にしておくことが望ましいと思います」

 国交省は近くガイドラインの改訂版を公開する見通しだ。


“高かろう悪かろう”のマンション「第三者管理方式」!“毒薬条項”で一度、契約したら最後、解約もできず泥沼化へ 自分のマンションの“自治権”を営利企業が握る恐怖

住宅ジャーナリストが言う。

「従来の理事会方式では、理事会負担などは確かにある。また、理事会も構成メンバーによって方針が変わったり、持続性や安定性の観点からは万能とは言い難い。一方で、第三者管理では多少高くてもお任せでいいのか、というと、そんなことはありません。

 この管理方式では、営利企業である管理会社が管理業務の執行権を持つ『管理者』ポストに就くことになる。管理組合予算を収益源にする管理会社にとっては経営合理性から言って、割高な費用を計上して、コストの安い会社に外注したり、時には無駄遣いをするほど自社の収益に繋がる。

 おまけに第三者管理の解約は絶望的に難しい(前回記事『恐怖のマンション“乗っ取り”制度 「第三者管理方式」の導入が静かに進んでいる…!』)ので、管理会社としては気兼ねなくそう言う運営ができるのです。総会承認によるチェック機能はあるにせよ、もっともらしい理屈を作ればほぼ通ってしまう」


「高かろう悪かろう」だけは勘弁

この住宅ジャーナリストがつづける。

「つまり、第三者管理は『高かろう悪かろう』の管理になりやすいと言えます。このような制度を、管理物件で導入を目指す管理会社は、自らの性善説を根拠にリスクには極力触れず、負担軽減のメリットだけを強調して『アンケートでは70%も賛同されている』というので、悪意以外の何ものでもありません」


 現在主流の第三者管理方式は、管理組合のためというより、管理会社の方に絶大なメリットがある制度だといって間違いないだろう。管理会社はよく、民法644条の善管注意義務(「善良な管理者の注意義務」の略)を引き合いに自社の性善説を説明するが、これは、着服や横領など犯罪行為を見過ごした際に不法行為を問われるもの。顧客から利益を上げる行為自体には当然、違法性はないため、なんら抑止にはならない。

「第三者管理方式は、五輪の組織委員長を広告代理店社員が兼任するようなものなのです。五輪は検察の追及やマスコミの目がありますが、営利企業である管理会社だけで管理するブラックボックスの環境で『儲けようとするな』と期待する方に無理があります」(前出の住宅ジャーナリスト)


解約を難しくするための“毒薬条項”

 また、ただでさえ解約が困難な第三者管理を導入した管理組合の中には、さらに解約を難しくするための、いわば“毒薬条項”が設けられている例もあるという。

「ある管理会社では、自社の社員が管理者になることを、変更が難しい『管理規約』に盛り込んでいたりします。そして、解約するには管理規約変更のための、臨時総会招集の請求者全員(全組合員の1/5)に実印や印鑑証明書の提出が必須という条件があるなど、極めて高いハードルが設定されている例もあります。

 それでも、導入時には『今広がっている新しい制度だ』と説明され、住民側も負担の軽減しか頭になく、解約のことまで考えません。しかし、解約を考えても時すでに遅しです」(前同)

 まさに一度、契約したら最後。挽回不可能になれば、資産価値の毀損も否めない。それにしても、ここまでして「第三者管理を盤石なものにしたい」管理会社の狙いは何か。


前出の住宅ジャーナリストが言う。

「マンションの管理組合とは、戸数が多いほど予算も大きくなり、タワマンだと年間で億を軽く超える。管理会社が『管理者』の立場になると、管理組合から集めた多額のお金を、実質的に自由自在に自社の利益に繋げることができるのです。

 国交省はこのような利益相反の可能性を問題視して、弁護士や公認会計士などを監事として設置することをガイドラインに盛り込む予定ですが、そもそも利益相反は、懸念や不安ではなく、利益相反的な行為自体がマンション管理会社ビジネスの本質です。国交省は現状の問題認識が甘すぎるのではないでしょうか」


なぜ「管理の権限」まで丸投げ?

「一般的な理事会方式ですら、管理会社に委託を続けている以上、『お任せ』の組合がほとんどで、利益相反は常態化していると言っていい。それなのに、第三者管理はマンション管理の自治権そのものをサービス供給側に丸投げする制度で、とにかくヤバい」そもそも、この制度は、導入目的と実態からして不自然と言える。第三者管理方式の導入目的は、理事会活動の、あくまで「負担」の軽減が目的だったはずだ。しかし、不可解なのは、理事会の設置目的である管理組合の運営と意思決定の「権限」まで全否定する内容にすり替わってしまっている点だ。


住宅ジャーナリストが続ける。

「理事会負担と言っても、通常の輪番制なら、50戸のマンションでは10年に1度あるかないかくらいで、500戸以上の大規模マンションなら理事の定員を20人にしても、20年以上、理事の輪番は回ってこない。

 また、コロナ禍以降、オンラインで理事会を開催している組合も増えていて、会場に行く負担も以前より減らすことができる。少なくとも”改革”に邁進するわけでもなければ、出席して管理会社の話を聞いているだけなので、負担感はそこまでないとは思います」


管理会社の「本当の狙い」

「そもそも“理事会負担”の問題は、理事長や管理会社にどこまで裁量を持たせるかの程度問題なのです。投資用のマンションであれば、理事長にある程度の裁量が認められていて、少々の事なら管理会社と直の相談で決め、理事会の開催頻度を年4回や1回にしているマンションもある。

 理事会そのものを廃止する必要は全くなく、他の理事や組合員から求めがあった時だけ理事会を開催できるようにすればいいだけです。万一、本当に理事のなり手がいなければ、必要性が出てきた時以外は、理事会活動を休止すればいい。

 また、一般的な輪番制から立候補制に移行することもできます。立候補制で報酬を設定している組合も少なくない。そもそも、理事負担の問題は、マンション管理の知見があって意欲のある人の存在の可能性を無視し、順番で無理強いする『輪番制ありき』にあるとも言える。

 確かに立候補性は長期政権になって、キックバックなど不正に繋がるリスクはありますが、管理会社はキックバックの手法自体が、ビジネスとも言えます。

 それなのに、なぜか輪番制を前提に負担だと決めつけ、管理組合が持つ管理者権限まで手放す“理事会廃止ありき”の制度になっているのは問題です。

 そもそも理事会の設置目的は所有者によるマンション自治であり、これは権利でもある。その点が管理会社に都合よく無視されていて、管理の権限まで管理会社に委譲しなければならない必然性はまるでないのです。どう考えても、管理会社の利潤追求が第三者管理方式の真の目的ではないでしょうか」


理事会支援業務がなくなるのに

『理事会の負担が重い』という”問題”自体、第三者管理を導入したい管理会社が制度導入の口実のために作り出したファンタジーなのか。負担の実態がそれほどないなら、管理組合にとっては管理者権限を営利企業でもある管理会社に”譲渡”してしまうだけの、デメリットしかない制度となる。

 一方で、マンションの日常管理業務は管理人以下、実質的には外注だ。管理会社の本来の業務はマンション自治を司る理事会や総会の運営支援となっている。

「その理事会がなくなれば、管理会社はただ自動的に中間マージンやキックバックを取っていくだけの存在になってしまう。しかし、第三者管理方式を採用した新築マンションでは理事会方式の物件と比較して、管理費や修繕積立金が高い。管理会社にとって事務負担が大きい理事会支援業務が無くなるのに、『理事会機能を代行します』という意味不明なロジックで値段が高くなっているのです」(前同)

 いずれにせよ、第三者管理方式は迂闊に導入してしまうと取り返しがつかなくなる。本当に導入する必要性があるのか。何のために導入するのかを慎重に検討すべきだ。


マンション「第三者管理方式」で、 管理会社は自社グループへの工事発注もやり放題…! 修繕積立金がどんどん足りなくなる「必然」  国交省の「期待」は機能するのか

住宅ジャーナリストが言う。

「ただチェックの仕組みを作るだけで、それが期待された役割として機能するか、という視点が欠落しているように感じます。その“外部”の専門家も、結局は管理会社が斡旋することになるでしょうから、シビアに管理会社に注文をつけるとはとても思えない。

 また、管理会社の自社グループへの大規模修繕などの工事発注だけは、さすがに違反になるのでは、と思われましたが、総会決議で組合員の同意を得ればOKという方向で検討されています。

 総会決議なんて、従来の理事会方式の組合でも、多くの組合員は判断材料や知識もないので、大抵は理事会お任せのノーチェックで通ることがお決まりでした。“信頼する管理会社の提案”という形の演出があれば、承認はたやすい。


住民に「チェックの役割を期待」の大矛盾

 もはや『事実上の“自己発注”(売り手側が顧客の発注権限を持つ)が国交省のお墨付きで解禁されたのと一緒だ』と、管理会社は大喜びでしょう。そもそもマンション管理に関心が薄く、その負担を避けるために第三者管理方式のマンションに住んでいる住民(組合員)が、管理会社による管理を吟味して、最終チェックの役割を果たせると期待すること自体に、論理的な矛盾があります。

 それどころか、管理会社が不適切な取引をしたとしても、総会承認がその”お墨付き”に利用されてしまいかねない。しかも、問題意識のある少数の組合員が問題提起したところで、『多数の組合による承認』の既成事実があれば、打つ手がなくなってしまいます。この環境で、営利企業である管理会社に儲けるなと期待する方に、無理がありますよ」

 結局、管理組合が、管理会社の性善説を前提に依存している状況では、どんなガイドラインを作っても形骸化し、利益を上げたい管理会社は“骨抜き”にする方法を考えるだけ、ということか。


「消費者保護」の観点が欠落

 このような、形骸化必至なガイドラインを策定する国交省の対応にも不信感が募ると、前出の住宅ジャーナリストはいう。

「政府の『外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ』(WG)の議事概要には、なぜか発言者の名前が記載されていない。通常、政府のWGには発言者名の記載があるものですが、何かやましい理由があるのか。委員には業界団体の役員として、親会社の新築物件で第三者管理を推し進める大手財閥系管理会社の幹部が入っています。

 そして、国交省OBのK氏は現在、この親会社の専務執行役員を務めています。もちろん忖度しているとまでは言いませんが、フラットな議論が行われているのか、不安はあります。いずれにせよ、“理事会廃止型”を国が認めてしまうこと自体、どうかという思いはあります」

 そもそもマンション管理組合においては、取引相手である管理会社と大きな知識や情報の格差が存在しながら、消費者保護にあたる法律や行政的な措置がほとんどない。にもかかわらず、管理会社が管理者となる第三者管理では、高額な出費であっても、総会承認を経るだけで決まってしまう。


そして予算は「打ち出の小槌」に

「悪質な会社であれば、過大な『予備費』を予算案に計上して総会で承認を得るはずです。その範囲内なら事後報告のみで、予算が使えてしまいますからね」(前同)

 はたして住民は管理会社の“策略”に気付くこともなく、総会で予算案は難なく承認されてしまうだろう。しかし、その結果、積立金が減少しても、それはすべて承認した管理組合の責任となる。

 金融商品であれば、保険の不当な乗り換えや株の回転売買を勧める営業手法は、本人の同意に関係なく、取引自体に規制や制限の行政的措置や通知がある。訪問販売など特定商取引でも、本人の同意に関係なく、不当な勧誘であれば契約成立後でも無条件に取消しができる。取引の弱者である消費者側の同意は、時に、不作為や消極性があって実効性がないといった事情を考慮するものだ。

 それでも株や保険や商品は、少なからず興味がある人間が購入するが、マンションの管理組合は大半が管理には無関心な層なのに、不適切な取引があった場合の被害を認定して救済するような消費者保護の観点がまるでない。気がついたら、管理組合資金が十分になく、積立金の値上げとなり、組合員の可処分所得を直撃してしまう。


利益相反取引の「仕組み化」

「第三者管理の導入趣旨は、理事会業務の負担軽減のため、管理の責任まで管理会社に任せましょうというものです。しかし会社の目的は利益追求にあり、決してボランティアではありません。管理会社社員が管理組合に寄り添って管理組合への利潤追求を控えたら逆に自社に対する背任行為になってしまう。収益源が管理組合の維持費であるマンション管理会社にとって、第三者管理は利益相反取引を堂々と仕組み化し、正当化したような制度と言えなくもないと思います」(前同)

 第三者管理方式は管理会社だけでなく、メガバンクなど、異業種でも参入が検討されているという。そこまで事業者にとってはオイシイ制度なのだ。委託先の管理会社から第三者管理を勧められたらどうすべきか。ただ、楽になることだけを考えず、リスクも十分に留意する必要があるだろう。」


 この記事は第三者管理に対してかなり否定的に書かれていますが、悪意を持った管理会社が第三者管理を行えばこのような事態も考えらえます。このような事態にならないように国も第三者管理のガイドラインを作成したのだと思います。やはり、管理会社任せにせず、マンション管理等の専門家を顧問として採用することが重要だと思います。


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