2024年9月12日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。
「買い手がつきにくい空き家の価格を「100円」均一に設定し、売買をうながすユニークな制度を富山県魚津市が始めた。第1号の物件を8月に公開し、買いたい人を募ったところ、市内や関西から3組の希望者が現れた。
物件は、海沿いの市街地に立つ築約60年、木造2階建ての5DK住宅。今月8日にあった内覧会に、夫と訪れた40代の女性は「きれいな家で、これが100円とは素晴らしい。家族で釣りが好きなので場所もいい」と話した。
現在は子ども2人と夫婦の4人で、市内の賃貸アパートに住む。会社の同僚に、市の「100円空き家バンク」を教えてもらい、この物件を見つけたという。
家と土地の所有者は、市内の80代の男性だ。20年ほど前まで自身が住んだ後、賃貸していた。昨年秋に借り手が引っ越した後、取り壊そうと考えていたが、制度を知って即座に申し込んだ。
「ここで子育てもしたし、壊すのは寂しい。喜んで使ってくれる人がいるなら100円でも提供したい」と話す。
市は以前から、市民に物件の情報を登録してもらい、公開する「空き家バンク」を運用している。さらに、老朽化などで価格がつかない物件も、状態がいいうちに流通させて空き家を減らし、街を活気づけようと今年度、新たな制度を設けた。
無償でやりとりする上市町の「0円空家(あきや)バンク」も参考にしつつ、土地と建物合わせて一律100円の価格を設定した。無償だと売買でないため、不動産業者が関われないからだ。専門知識や資格を持つ業者が物件の重要事項を説明することなどで、売り主と買い主の不安、負担を解消したいという。
制度の対象は、リフォームすれば住むことができ、1カ月程度で売却が可能な空き家だ。買う側は2人以上で入居し、長く住む意思があることなどが条件になる。所有者は、市や業者のサポートを受けて内覧会を開き、買いたい人と面談のうえ、売却先を決める。
市は所有者に対し、不動産業者の仲介手数料などとして20万円、家財の処分費用を最大10万円補助する。買い手には登記費用などとして50万円、リフォーム費用を最大70万円補助する。
市都市計画課の担当者は「思い入れのある家を使ってほしい持ち主と、魚津で暮らしたい人の橋渡しができたら」と話す。(佐藤美千代)」
不動産を国に寄付できる「相続土地国庫帰属制度」が始まりましたが、5年分の管理費を支払う必用がある等、引渡す側には、ある程度のハードルがあります。この記事にある100円不動産は、そのような制約もなく、市からは各種補助金が出るなど、良い取り組みだと思います。地方都市にとっては人口増も期待できるし、建物オーナーにとっても、不要不動産を処分し、固定資産税の支払いがなくなり、移住者にとっては割安で住宅が手に入ると、まさに三方良しの政策だと思います。この取組を全国的に広げて欲しいと思います。
Comments