築45年超のマンションから、排水管更生工事の相談がありました。話を聞くと排水管の材質は鉄管であり、枝管と立管のつなぎ目部分や、最下階の配管曲がり部分からの漏水が多発しているとのこと。本来は更新工事を実施すべきですが、更新工事を実施すると工事中2週間程度、マンションで生活できないこともあり、管理組合では更生工事で、乗り切りたいと考えているとのことです。
今回はやむを得ないかなとも思いますが、更生工事は、配管の延命処置であり、工事をしたから安心というものではありません。更生工事後、10年・20年で結局更新工事を実施する必要が出てきます。
相談を受けてから、更生工事について調べてみると、更生工事には大きく分けて吸引工法と反転工法の2つの方法があることが解りました。
吸引工法とは、研磨材を入れて研磨し、キッチンや洗面所などの排水口や立管最上部からライニング材を入れ、吸引車の強力な吸引力によって管内壁に樹脂を定着させる工法です。ライニング材(塗料)が硬化することで、配管の中に樹脂管が形成されます。反転工法に比べて安価ですが、施工前にサンドブラスト(砂による研磨)等で、配管内のサビ等を除去する必要があります。
一方、反転工法とは空気圧を利用して樹脂シートを管内に反転させながら挿入し、蒸気や紫外線などによって管内壁に密着させることで管内面に新しいパイプを形成する工法です。施工前の研磨が不要で、吸引工法に比べて耐久性が高いですが、工事費が高価です。
当該物件は、数年前から排水管の劣化が進み、高圧洗浄による排水管清掃も業者から断れている状況とのことであり、サンドブラストによる研磨ができるような状況ではありません。また雑排水管の径が50mmしかなく、排水管の径が小さいのも気になります。
築45年超のマンションなので、後何年このマンションをもたすのか?あと20年程度で良いのなら更生工事で問題ないですが。100年マンションを目指すのであれば、はやり更新工事が必要です。ただ、更新工事を実施するほどの修繕積立金が溜まっていないという現実もあります。管理組合としてどのような決断を下すのか、築年数の古いマンションならではの厳しい状況にあるマンションの事例です。
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