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新築戸建ては「8割が欠陥住宅」、施工不良が相次ぐ深刻な事情とは



 2022年3月13日のダイアモンドオンラインに掲載された株式会社さくら事務所の長嶋修会長の表題の記事を紹介します。


新築一戸建て住宅の約8割に強度や耐震性にかかわる構造的不具合

 新築一戸建て住宅の販売が好調だ。国土交通省によると、2021年の新設住宅着工戸数は前年比5.0%増の85万6484戸。コロナ前の水準には達していないものの、全体としては5年ぶりの増加となった。

 中でも注文住宅にあたる「持家」は28万5575戸で前年比9.4%増、建て売りを含む「分譲住宅(一戸建住宅)」14万1094戸と7.9%増の結果となった。コロナ禍によるリモートワークの普及や巣ごもりによる生活スタイルの見直し、新築マンションの価格高騰など複合的な要因から新築一戸建てに人気が集まっているのだ。

 さくら事務所では、新築工事中の物件を対象にした「新築工事チェック」サービスを手がけている。専門の知識とスキルを持つ経験豊富なホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者の視点で着工から竣工まで建築工事を細かくチェックし、施工不良などがないか確認する検査だ。

 当社では、年間100棟を超える新築一戸建ての工事中検査を行い、工事の工程別に実施している。その中でも「構造検査」は重要な意味を持つ検査であり、新築工事チェックの根幹をなす検査と言ってもいいだろう。

 そこで、実際に行った構造検査のデータを集計したところ、何とその82%に構造的な不具合が見つかっているのである。実施した182棟のうち、150棟の新築戸建てにおいて構造に不具合があるという結果に驚く方も少なくないはずだ。


新築工事チェックで見つかった構造的不具合の2つのケース

 「構造検査」では、柱や梁の寸法の確認、柱と梁等を接続する金物の取り付け状況、建物を支える耐力壁の構成や位置、木材の含水率や防蟻処理の状況までくまなくチェックを行っている。住宅の強度に関係してくる大事な検査で、大きな地震に対して有効な構造かどうかを調べる大切な検査でもある。

 例えば2016年に発生した熊本地震では、最新の耐震基準で建てられた7棟が倒壊するという衝撃的なニュースが報じられた。実はこのうち3棟は「接合部仕様が不十分」であり、最新の建築基準法にのっとっていなかった可能性があることが明らかとなっている。

 接合部とは、柱や筋かいと土台や梁などを固定している部分のことで、まさに構造検査のチェック項目である。故意のミスではなくとも、このような構造的不具合により、地震に弱い住宅となってしまうのだ。

 そこで、「新築工事チェック」で見つかった構造的不具合のケースを2例挙げて紹介する。


【ケース1】柱と梁を留め付ける金属の部材が付いていない  柱と梁がきちんと接合されていなければ、地震の揺れで外れてしまい、建物がゆがんでしまう恐れが生じる。そこで接合部には柱頭柱脚金物(ちゅうとうちゅうきゃくかなもの)など金属部材できちんと留められている必要があるのだが、指摘前はなかった<写真1左。右は指摘後、修正したもの>。



柱と梁を留め付ける金属の部材が付いていない 写真:さくら事務所提供


【ケース2】横からの力に耐え得る外壁面材の取り付けが不十分  住宅は内側からだけでなく、地震や台風になどに耐え得るため、外からも強くする構造となっている。写真は面材耐力壁(めんざいたいりょくへき)と呼ばれる外壁の内側に貼られている強い板の写真だ。この板は指定されたくぎを決まった間隔で打ち付けることで効果を発揮するものだが、写真の緑色の部分にはまったくくぎが打たれていなかった。



横からの力に耐え得る外壁面材の取り付けが不十分 写真:さくら事務所提供 


基礎や防水、断熱工事でも多い見落としや施工ミス

 新築戸建ての現場で確認すべき重要なポイントは、「構造検査」以外にも多数あり、それらの検査でも不具合が見つかっている。

 例えば基礎のタイミングで行う配筋検査(鉄筋が正しく配置されているかどうか)では71%(91/129棟)、同じく基礎のタイミングの型枠の検査(コンクリート打設し、型枠を撤去した後に行う)では64%(52/81棟)。また雨漏りを防ぐための防水工事では81%(102/126棟)、断熱工事も同じく81%(60/74棟)が見つかっているのだ。これらも不具合の例をいくつかお伝えしていこう。


【ケース3】型枠の検査で判明 アンカーボルトがない!?  住宅の基礎は鉄筋コンクリートでできており、図面通りに鉄筋を配置し(配筋)、コンクリートを流し込む型である型枠工事を行う。その後、コンクリートを打設するのだが、住宅の基礎部分(構造部)と土台をつなぎ固定するためにアンカーボルトを用いる。基礎と土台がアンカーボルトでしっかり結び付けられ、適切な位置に取り付けられていれば地震による土台の揺れや崩壊防止につながる。【ケース3】では、このアンカーボルトがまったく取り付けられていない状態だった<写真3、左の赤枠部分。右はアンカーボルト取り付け後>。




【ケース4】 外壁に用いた防水紙と屋根に大きな隙間が…  雨水が入ってくるのを防ぐため、外壁周りに防水紙を貼り巡らせる防水工事。透湿性を持つ防水紙を外壁に貼る際、隙間やズレなどがあればそこから雨水が浸入してしまう。【ケース4】では屋根の下部に大きな隙間が生じている<写真4、左の赤枠部分>。台風などの強風で下から雨が差し込む可能性があるため、専用のテープでふさいだ<同右>。




【ケース5】断熱材がきちんと施されていない  写真は左右どちらも断熱材に隙間が生じている例。本来、住宅が魔法びんのようにすき間なく囲われていれば、断熱材本来の性能を発揮できるものだ。隙間があると、壁と壁の間など見えづらい箇所に結露するリスクも高まる。断熱材が湿気を含み、役割を果たせないばかりか柱の腐食の原因になる可能性もあるためだ。腐食で損傷し、弱まった柱は住宅そのものの耐震性や強度にも影響を及ぼす場合も。




住宅需要が高まる一方で慢性化する人出不足が背景に

 新築工事の不具合がここまで頻発するのはなぜだろうか。

 最大の原因は、建築業界における圧倒的な人手不足だ。多くの業界・業種と同様に建築業界にも高齢化の波が押し寄せている。現場監督をはじめ、スキルを持つ職人などが高齢化する一方で、若手人材の流入は少ない。

 しかし新築戸建てを含め、市場は活性化し、建築需要は高まり続けている。高まるニーズに対応する人材が不足していれば、見落としなどミスやエラーが起こりやすいのも当然だろう。

 そもそも、住宅を新築する際、自治体もしくは自治体から指定を受ける民間の検査機関などに建築確認申請を行わなくてはならない。住宅の安全性などさまざまな面から建築基準法に適しているかどうかの審査が実施され、確認済証を交付される。

 その他住宅の設計や施工について客観的な基準で判断する住宅性能評価や、新築住宅に不具合(瑕疵)があった際の補修などの費用が支払われる瑕疵保険への加入時にも、現場検査が実施される。

 それゆえ、一見すると、十分に第三者的なチェックがなされているように感じられるかもしれない。

 ところが残念なことに、当社が同時期に検査をすると、工事ミスや施工の不具合を発見することが少なくない。瑕疵保険や住宅性能評価に携わる検査員は、一日に複数の現場を掛け持ちするケースも多く、物理的に時間が取れないのである。

 また可能な限り検査を実施する当社とは異なり、対象となる工程をすべてもれなく検査(全数検査)できるわけではない。住宅メーカーの中には、「瑕疵保険の検査や住宅性能評価の検査が入っているから安心」を売りするところもあるが、実際は見落としが発生する可能性もあるからだ。

 住宅工事は人の手によるものであり、100%万全はありえない。誤解を恐れずに言えば、故意ではないヒューマンエラーや見落としはつきもの。人手不足で着工数が多い中で、こぼれ落ちてしまう不具合はあるものと考え、準備しておこう。実績とスキルを持った専門家にあらためて依頼し、第三者視点での確認を欠かさないようにしたい。

(株式会社さくら事務所創業者・会長 不動産コンサルタント  長嶋 修)」


 香川県でも車で30分程度の郊外であれば土地付き一戸建て住宅が2000万円程度で購入出来るため、若い子育て世代に人気です。ブログにあるように一戸建て住宅は中小の住宅メーカーが建設しているケースが多く、充分な品質管理が行われていないケースも散見されます。

 不具合の多くは基礎や、木造の骨組み、壁下地等にあるため、施工中に充分な検査が実施されないと見過ごされがちです。不安がある場合は、ブログにもあるように、建設会社以外のホームインスペクター等の第三者に検査してもらうことで、欠陥住宅とならないようにすることが重要です。


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