top of page
執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

日本有数のタワマンでまさかの大モメ…管理組合の敏腕理事長が青ざめた、驚愕の「クーデター騒動」

更新日:2023年1月26日



 2022年8月1日の週刊現代の表題の記事を紹介します。


タワマンを揺るがす一大事

 「突然ですが、ここで野上理事長(仮名・以下同)解職の動議をご提案させていただきます。この動議を発議いたしますのは、私のほか、川口理事と……」周囲を睥睨するかのように都心にそびえ建つ、大規模タワーマンション。その管理組合がリモート開催していた理事会で、にわかには信じがたい出来事が起こった。いつもなら淡々と議題がこなされていくその理事会の場で、突如として「理事長を解職する」という提案がなされたのだ。

 解職動議の対象となった野上氏は、そのタワマンですでに10年弱の間、理事長を務めてきた。それだけに、まさか自分がリコールされるなんて思ってもおらず、まさに青天の霹靂だった。驚愕した野上氏は、すぐさま「議長としてそのような動議の提案は認められません。これにて理事会は終了といたします」と閉会を宣言。すみやかに事態の収拾を図ろうとした。

 ところが、彼らは本気だった。その直後、川口理事らは自分たちだけで「理事会」を開催。野上理事長の解職決議を出席過半数で可決したとして、マンションの掲示板にそれを告知。さらに、マンション内の防災センターに押しかけ、常駐している管理組合担当者に理事長の解職を告げたのだ。

まるで、ドラマでも見ているかのような、大企業の役員会ばりの「クーデター」が、なぜこのタワマンで繰り広げられたのか――。


理事長の隙を突いたクーデター

 解職決議を突き付けられた野上氏には、私は10年以上前から何度も取材をさせていただいている。そんな私から見ると、野上氏は「稀有な理事長」である。

 「分譲マンションの管理」というのは、おそらく今後の日本にとって深刻な社会問題になるであろう難しさを内包している。現状の法規では解決できない問題が、あまりにも多いのだ。管理組合の理事を経験すれば、そのことに気付く人も多い。管理組合の理事長や理事たちがマンションの垣根を越え、集まって開く勉強会のようなものもあるようだが、建設的に機能しているとは思えない。そんな中で、野上氏がその大規模タワマンの管理組合の理事長として行ってきた施策とその成果には、目を見張るものがあった。

 たとえば、昨今のクルマ離れを受け、都心部の多くのマンションでは「空き駐車場」の増加が大きな問題となっている。月々の駐車場使用料収入の減少に伴う、マンション財務への悪影響が危惧されているのだ。そこで野上氏は共用部分の管理や運営を大幅に見直し、管理組合の財務を抜本的に改善。数年前に野上氏から聞いた時点で、大規模修繕が何度も行えるほど潤沢な財務基盤を構築し、そのタワマンを日本初ともいえる「管理面でのヴィンテージマンション」へと導いていた。

 詳述は避けるが、野上氏の着眼点と的確な施策は、凡庸な理事長に「すぐ真似をせよ」と言っても不可能なものといえる。共用施設の備品のちょっとした変更や、インフラ契約先の変更など、小手先の手段でわずかばかりの費用を軽減するような、ありきたりな経費節減とは比べようもない。

 そんな野上氏がある日、突然クーデター的に理事長職を「解職」させられたのだ。いったいどういうことなのか?


 クーデター派が独自に開いた理事会で新しい理事長を選任後、タワーマンションの掲示板で告知すると…。


住民たちも騒然

 理事長の突然の「解職」を知ったタワマン内の住民たちからは、驚きと疑問の声が次々と野上氏に寄せられた。中には「弁護士を紹介するから、法的な手続きを検討すれば」といった申し出が何件もあったという。しかし、野上氏はそういう手法を取ろうとはしなかった。

 一方で、クーデター派は野上氏の会計上の不法行為を暴くべく、外部の税理士法人に調査を依頼。多額の費用をかけて、防災センターにあった管理組合の金庫を無理矢理に開いたとか。この件について、野上氏は「言ってくれればカギはお渡ししたのに」と残念がっている。

 当然、不正の証拠は何も見つからず、少なくない報酬で調査を依頼された税理士法人は、報告書の作成に困惑したという。この異常ともいえる事態に、危機感を抱く人が少なからずいた。その一人が、外部監事の香取氏だった。彼は、クーデター派ではなかった。

 そもそも、野上氏を理事長職から「解職」した彼らの「理事会」決議は有効なのか?

 この「解職」を知ったそのタワマンの区分所有者の何人かが、自らの顧問弁護士に尋ねたところ、いずれもその有効性に大きな疑問がある、との回答だったという。香取氏も管理組合の顧問弁護士に相談した。その結果、管理規約の条項に基づいて、臨時総会を招集することにした。逆転劇の始まりである。


クーデター派の動機

 管理規約というのは、それぞれの管理組合が定める、それぞれのマンション管理における「憲法」のようなものである。野上氏のマンションの管理組合の規約には、「 監事は(中略)必要があると認めるときは、臨時総会を招集することができる」という条項が入っていた。野上氏が主導して盛り込んだものだろう。

 この条項に基づいて開かれた臨時総会で、野上氏の「解職」を決めた決議の無効が確認された。さらに、クーデター派の理事や監事をことごとく罷免。野上氏は理事長に復職することになった。もちろん、その総会で「賛成多数」の決議を経た上である。野上氏の約10年間の事績が、区分所有者による正当な支持を得た、ということだろう。

 一連のクーデター事件の経過を知った時、私は大いに疑問を感じた点があった。それは「クーデター派の動機は何だったのか?」ということだ。

 野上氏は類まれなる能力を発揮して、そのタワマンを日本で初めてと称してもいい「管理面でのヴィンテージマンション」へと導いていた。クーデター派にとっても、自分の所有するマンションの資産価値が上がることには文句がないはずだ。にもかかわらず、その野上氏を、ほぼ不法行為ともいえる手法を用いてまで「解職」する動機はなんだったのか。野上氏に尋ねてみると、言葉少なにこう答えた。

「大規模修繕工事でしょうね」

 野上氏解職の理由のひとつとしてクーデター派が挙げたのは、管理組合の潤沢な資産(三十数億円)を有効に活用しておらず、そのうちの一部(8億円前後)を「大規模修繕に使うべき」であった。

クーデター派は、財務面で豊かな管理組合に大規模修繕工事を行わせ、まさか「何らかの利益」を得ようとしていたのだろうか……。

 野上氏は「大規模修繕工事など必要ない」と考える方だ。私もその意見に賛成する立場だ。そもそも、十数年に一度は「大規模修繕工事」を必ずやらねばならない、という法的な決まりはない。あれは国土交通省とマンション管理業界が主張する勝手なガイドラインだ。マンションは必要に応じて、適宜修繕工事を行えばいいのである。いかにも合理的な発想を、クーデター派は理解できなかったのだろうか。」


 ドラマにでなりそうな一幕ですが、悪徳理事長が管理組合のお金を使いこむという、ありもしないストーリーに騙されて起こった事件が今回の騒動だと思います。またこの記事にあるように、大規模修繕工事という甘い利権に理事会メンバーもあやかりたいと思っていたのであればたちが悪いです。この理事会では監事が第三者の立場で正しく活動しており、非常に良いケースだと思いました。

 事件の背景としては、やはり理事長が10年に渡り一人に人間が行ってきたことへの反発もあったのだと思います。どんなに立派な人でも長期間独裁的な立場にいれば、やっかむ人や反発する人が出てきます。やはり、長期的な理事長就任は弊害が多いと思います。


閲覧数:19回0件のコメント

Comments


bottom of page