
地震の多かった日本では、昔からの日本家屋も地震に強い構造を持っていました。今回はその理由のお話をしたいと思います。
地震に強い理由1:建物が基礎に緊結されていない
昔の日本家屋は、束石の上に直接柱が載っている構造でした。いまの住宅のように、コンクリート基礎の上にボルトで緊結された構造ではありません。
この構造の良いところは、地震時の水平力が、直截建物に影響しないことです。特に、強烈な地盤の横揺れに対しては、建物が束石から離れて横移動することで、建物の倒壊を防ぎます。基礎と建物を緊結しないことで、究極の免震構造の建物になっていたということです。
また、基礎と緊結されていないため、曳家や移築も比較的簡単に行えるというメリットもありました。
地震に強い理由2:瓦屋根の採用
瓦屋根は台風等の強風に耐えられるように重量がありますが、地震の強力な横揺れに対しては、バラバラに剥がれ落ちることで、地震発生時に屋根重量を軽くする働きがあります。地震時に建物重量を軽くすることで、建物の倒壊を防いでいます。普段は重量のある屋根で、火災や台風から家を守り、地震時には、先に落下することで、建物を軽量化して、地震による倒壊を防ぐ構造となっていました。
最近の瓦屋根は、釘等で固定されており、上記のような効果は期待できません。
建物の洋風化とともに、建物を固く・強くすることが重要とされ、また建築基準法では基礎のない建築物は認められなくなりました。基礎と建物が緊結されたために、地震時の水平力はすべて建物に入るようになり、その水平力に対抗するために、建物はますます固く、強度を持たす必要が出てきました。
最近、やっと免震や制震が脚光を浴びてきましたが、昔からの日本家屋には、すでにその考えがあったということです。(五重の塔の心柱は、塔を支えているのではなく、建物上部からぶら下げることで、制震構造の役割を果たしています。)
また、建物の素材は、木材・土・竹・ワラ等、すべて自然素材であり、リサイクルも簡単だし、朽ちても自然に帰るため、環境的にも優しい造りになっています。
改めて昔の日本家屋の良さを、再度見直すべきだと思います。
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