少し古いですが2019年9月9日の住生活新聞に以下の記事が出ていました。
「東急リバブル、事前合意なしに仲介手数料をひと月分請求、
手数料返還訴訟で業界大混乱の可能性も!? 「本人の承諾を得ないまま、家賃1ヶ月分の仲介手数料を徴収するのはおかしい。手数料は原則0.5カ月分なのだから、半月分は返して欲しい」 借り主のこうした訴えによって始まった裁判に対し、東京地裁は8月8日、驚きの判決を下した。大嶋洋志裁判長は「仲介業者は事前に、原告である入居者から承諾を得ていなかった」として請求を認め、仲介業者に対して、賃料半月分を返還するように命じたのだ。業界の今後にも大きな影響を及ぼしそうだ。 今回の裁判で被告となったのは東急リバブルだ。同社は2013年の1月8日に男性から連絡を受けて賃貸物件を斡旋。20日に正式に契約を締結し、2日後に、男性から家賃1ヶ月分の仲介手数料22万5000円の支払いを受けた。 一連の流れを聞く限り、手続き自体に不備があったようには感じられない。何度か賃貸物件を借りたことがある筆者でさえ、どこに問題があったのか最初は分からなかった。 実は、一般の方にはあまり知られていないが、賃貸住宅の仲介手数料について国は、「原則0.5カ月、上限1ヶ月」という公示を出している。上限1ヶ月なのだから、東急リバブルが請求した家賃ひと月分に相当する22万5000円という金額には何の問題もないはずだ。ところが、「原則0.5カ月」という表現に、実は問題が潜んでいた。 原則0.5カ月とされている以上、もしそれを上回る金額を請求するのであれば、事前に相手へ説明を行い、承諾を得なければならない。今回のケースでは、東急リバブルは男性に対して事前説明を行っておらず、当然、承諾も得ていなかった。この点が問題視されたわけだ。 これは仲介ビジネス全体に大きな影響を及ぼしかねない判決だ。というのも、業界内では仲介手数料を1ヶ月とする業者が少なくないからだ。これは長年続いてきた商慣習であり、業界では常識として定着している。1ヶ月分を徴収する際に説明責任が生じているなどとは、夢にも思っていないだろう。中には、原則は「1ヶ月分」だと勘違いしている業者もいるほどだ。おそらく、賃料ひと月分の手数料を徴収している仲介業者の中で、事前説明をしっかり行っているという業者は数えるほどしかいないのではないか。ほとんどは流れのまま、当たり前のようにひと月分の手数料を請求していると思われる。 では、消費者側の認識はどうか。男性の代理人を務める椛嶋裕之弁護士は、「手数料が原則0.5月分であることは、一般にはあまり知られていない」と指摘している。これはまさにその通りで、一般消費者のほとんどは業者の言い値こそが正規の金額であると思い込んでしまっているフシがある。だが実際には、「手数料半額(0.5ヶ月分)」が原則だ。 この判決は今後の仲介ビジネスにどのような影響を及ぼすのか。業界に詳しい専門家によると、 「ひと月分の仲介手数料を徴収してきた業者のすべてが、事前説明を行っていたとは到底思えない。今回の判決が引き金となって、手数料返還訴訟が各地で起こされる可能性がある」と話す。仮にそうした事態が起これば、業界は一気に大きな混乱に陥ることになる。東急リバブルについても、今回のケースだけがたまたま説明不足だったとは限らない。もしかしたらこれまで手掛けてきたすべての仲介案件で、手数料1ヶ月分の事前同意が得られてないかった可能性もある。そうなれば、過去数年を遡って手数料を返還しなければならない事態に陥るかもしれない。資本力があるとはいえ、これは大きなダメージだ。売上規模の小さな仲介業者にとっては死活問題だ。 「仲介ビジネスは昔ほど儲からない。業者数が増えて1店舗当たりの仲介件数が減っているため、純粋に手数料だけで食べていくことができなくなっている。今回の判決をきっかけに、仲介業者の淘汰も進むのではないか」(前出の専門家) 果たして、この問題は今後、どこまで大きなものになるのか。本紙では引き続き動向に注目したい。」
私も仲介手数料が基本は0.5か月だとは知りませんでした。まだ地裁の判断ですが、この裁判が確定すれば、賃貸不動産業界は大騒動になると思います。
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