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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

残業の上限規制まで1年 建設業の切り札「建設ディレクター」とは

更新日:2023年11月9日



 2023年4月3日の朝日新聞の表題の記事を紹介します。


「なじみの薄い「建設ディレクター」という民間資格が、にわかに注目を集めている。働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が来年4月から建設業にも適用され、労働環境の抜本的な見直しを迫られることが、その背景にある。効率よく仕事を進め、働き過ぎをなくす切り札になるのか。


現場監督のデスクワーク請け負う

 建設業で長時間労働になりがちなのは、元請けの現場監督。朝から現場で下請けの技能者たちを指揮し、夕方以降は事務所に戻り、作業の進捗(しんちょく)を記録したり、翌日以降の計画を練ったりする。このデスクワークの一部を受け持つのが建設ディレクターだ。

 埼玉県東松山市の中堅建設会社「伊田テクノス」には5人の建設ディレクターがいる。昨年11月に資格を取った坂麻弥(ばんまや)さん(47)はもともと、派遣社員として2021年春に入社。建設ディレクターの資格をとって今年1月から正社員になり、本社で事務作業を担っている。

 「これまでの資料作成より複雑で専門的な内容を扱い、責任感が増した。やりがいがある」

 坂さんら5人の建設ディレクターは、施工計画書に記載しなければならない施工方法や安全管理、環境対策といった項目を分担して入力している。従来は現場監督が1人でほぼ一手に担ってきた仕事だ。工事の工程など現場の状況を踏まえてしか書けないことだけを残し、大半の項目を記入して現場監督にわたす。

 同社で30年以上、現場監督を務めるベテラン社員は「事務作業が減り、現場の仕事に集中できるのでありがたい」と言う。


反発も残業時間が半減

 この仕組みの実効性を高めるには、現場監督と建設ディレクターの連携が欠かせない。同社はまず18年に現場監督を補助する「業務支援グループ」をつくった。現場監督の多岐にわたる業務のなかで外注できるものを洗い出し、徐々に移管。そのうえで21年に建設ディレクターを導入し、職位として定め、手当も支給している。

 「責任感が強い昔気質のベテラン現場監督の中には『自分でやる方が早い』という反発がないわけではない」と楢崎亘社長。それだけに社内に根づかせるため、時間をかけて説得してきた。

 同社によると、ある現場では3カ月で平均200時間近かった残業時間が、導入後の3カ月で97時間になり、半減したという。

 同社は建設ディレクターをさらに増やす方針で、今春も1人採用する。

 楢崎社長は「上限規制の適用まで、もう1年しかない。建設ディレクターのニーズは社内で高まっており、担当させる業務の範囲も広げるつもりだ。女性活躍とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にもつながる」と話す。


申込数は急増中

 「働き方改革」の一環で19年に施行された改正労働基準法は、原則として年360時間という時間外労働の罰則付きの上限を定めた。特別な事情がある場合でも、年間720時間までというのが一般的なルールだ。

 だが、もともと労働時間が長い傾向にある物流業や建設業の従事者には、すぐには適用されず、5年間の猶予期間が設けられた。その猶予が終わるのが、来年4月だ。

 そもそも建設ディレクターは民間資格。一般社団法人・建設ディレクター協会(京都市)が主催する講座を受け、テストに合格すると得られる。

 講座では工事の流れや専門用語、デジタル技術を活用した書類作成に必要な知識などについて、演習を交えながら学ぶ。ITを使いこなせる力を磨き、建設現場での業務をサポートできるようにする。全48時間のカリキュラムで、受講には約2カ月を要する。

 建設業の働き手の高齢化に伴う人手不足や、長時間労働、離職率の高さといった課題を解決する策のひとつとして17年に考案され、同じ年に協会も設立された。残業時間の削減だけを目的にしたものではなかったが、残業時間の上限規制を前に、中小の建設会社のニーズと合致した。

 協会によると、建設ディレクターの申込者数は17年に40人に満たなかったが、20年に150人を超え、今年は2月までに87人で、前年から倍増するペースだ。

 建設ディレクターが担う業務は、デジタル技術の進展に伴い、図面の見方や書き方を含めて、さらに専門性が高まっている。

 離れているオフィスと建設現場の意思疎通を円滑にし、情報共有をうまく進めるためのコミュニケーションスキルも、ますます重要になっている。

 国土交通省も建設ディレクターに注目する。建設業界との意見交換会では、企業が導入事例を紹介する場面も出てきた。

 国交省技術調査課の見坂茂範課長は「建設現場の生産性を高めることは大きな課題。デジタル化をさらに進めるためにも、建設ディレクターは有効」と話している。(大西英正)」


 この記事にもある通り、現場監督の業務は、昼間は施工管理が主であり、施工図を書いたり、予算管理をしたりするデスクワークは、就業時間後にすることになり、夜遅くまで業務を行うことが当たり前でした。来年から建設業も時間外労働が年間360時間となることから、夜間作業と休日出勤をなくすことが、重要な課題となっています。

 この記事にある建設ディレクターは、現場監督のデスクワークを軽減する方法として有効だと思います。あとは、建設業も現場を完全週休2日制とすることで、休日出勤を無くすよう社会全体が考えていくことが重要だと思います。

 来年の改正労働基準法の完全施行まで、まったなしの状況です。


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