2022年9月2日の日経アーキテクチュアの表題の記事を紹介します。
「 設計事務所や住宅会社の主戦場である戸建ての注文住宅に、逆風が吹き荒れている。国土交通省が2022年8月31日に発表した22年7月の新設住宅着工戸数で、持ち家(注文住宅)は前年同月比14.1%減の2万2406戸だった。前年同月実績を下回るのは、8カ月連続だ。
持ち家(注文住宅)の新設着工戸数と前年同月比の推移 (資料:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)
一方、戸建ての分譲住宅は同1.8%増の1万2461戸で、15カ月連続の増加と好調が続いている。なぜ両者の明暗はこれほどまでに大きく分かれたのか。最近の「注文住宅離れ」に大きな影響を与えているとみられるのが、資材高騰による住宅価格の上昇だ。
21年前半に顕在化したウッドショックや、22年2月以降のウクライナ危機などの影響で、木材や鋼材、内装材から住設機器に至るまで、あらゆる資材の価格が高騰。住宅価格への転嫁が進んでいる。例えば、21年に戸建て住宅の値上げを実施した大和ハウス工業は、再度の値上げを検討している。
国交省の調査結果も、住宅の価格上昇を裏付けている。同省によると、21年1月に2298万円だった持ち家1戸当たりの工事費予定額は22年7月時点で2405万円となり、107万円も上昇した。
注文住宅の発注者が土地を確保するのが困難に
ただし、戸建て分譲住宅の上昇幅は同期間で1580万円から1608万円と比較的小さい。もともと注文住宅に比べて安かった戸建て分譲の“お得感”が強まり、顧客が流れている可能性がある。
内閣府が22年6月24日に発表したリポートでは、土地の取引動向に着目している。好調を背景に分譲事業者の用地取得が活発化しており、注文住宅の発注者が土地を確保するのが困難に。その結果、注文住宅の着工が減少しているとの見立てだ。リポートではこのほか、住宅ローン減税の特例措置の影響についても指摘している。
バブル崩壊後、持ち家の着工戸数は、消費増税前の駆け込み需要などを除けば、ほぼ一貫して減少を続けてきた。一方、戸建て分譲は住宅全体の着工戸数が減少するなかにあって、横ばいか微増で踏みとどまってきた。資材高騰の長期化が見込まれるなか、戸建て分譲の優位性はさらに強まりそうだ。
持ち家と戸建て分譲住宅の新設着工戸数の推移(資料:国土交通省の資料を基に日経クロステックが作成)」
戸建て分譲住宅は、一建設や飯田産業のようなパワービルダーと呼ばれる大手企業が大量仕入れ、大量建築で安いコストで住宅を建てており、施工会社の力が強く、そこまでの値上げにはなっていないようです。一方注文住宅は、規模の小さな工務店が建てているケースが多く、建築資材の値上がりがそのまま建築費の増額となっているようです。マンションの建築費も上がっており、住宅業界では、ますますパワービルダーが有意な状況となっています。
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