2021年3月29日の「施工の神様」ブログから、内容を抜粋して紹介します。
「現場監督という仕事は、残念なことに、もっと泥臭くあるべきだとか人生を捧げるべきだという、古い人たちの考え方が根強く残っている仕事です。そういう時代も確かにあり、私が働き始めた頃はまさにそういう時代でした。「とにかく現場に行って来い」「事務処理は夜やれ」みたいなことがまかり通っていた頃です。でも、現在の考え方は全く違います。時代は変わっていっているのです。労働者個人のあり方を無視した伝統的思考とは、出来る限り早くおさらばしましょう。もっとスマートで、個人が活き活きと仕事に従事できるようなやり方、そんな働き方を確立できるように、最大限の努力をしなければならないと考えています。
今回は、現場監督としての一歩を踏み出した方、また4月から新しく一歩を踏み出す方に向けて、私の働き方や大事にしていることをご紹介しようと思います。ただ、これが正しいとは毛頭言うつもりはありません。あくまで、こういうやり方をしている現場監督も世の中にはいるんだな、くらいの気持ちで読んでいただけたらと思います。とはいえ、これから働き手も減ってくる世の中なので、こういう働き方ができる方が増えたらいいな、とは日ごろから感じています。今悩みを抱えている若い現場監督の方も、読んで参考にしていただければ幸いです。
私は、どれだけ忙しくても週休二日は確保しています。平日休みのため、子供達に合わせて日曜日に休みを取ることもあります。たまに休みが取れないと嘆いている現場監督の声を耳にしますが、自分がそのような状況に陥ったことはありません。残業についても、ほとんどしていません。とにかく定時退社を心がけています。仕事ももちろん大事ですが、それ以上に自分の時間で他にもやりたいことが沢山あるからです。無駄に貴重な時間を労働に回したくありません。
残業要因となりがちなクレームやトラブルは、私自身がクレームやトラブルと考えていないからなのかもしれないですが、ほぼありません。そうならないような対策を、事前に準備しているからです。何事も事前準備が要であり、クレームやトラブルは対策が施されていれば、起こったとしてもすぐに鎮静化できます。業務改善の流れからか、昔よりは担当物件数は少なくなりつつはありますが、現在の年間担当物件数は約40棟ほど。月に3~4棟ずつ引渡しをしている計算です。このような業務量の中、ストレスを抱えず、仕事に押しつぶされることなく、休日は趣味を楽しみながら生活してます。
皆さんはどうでしょうか?
会社に属している以上、勤務時間が決められています。会社員はその時間、仕事に従事しなければなりません。しかし、それ以外の時間は自分の自由時間なので、私の自由に使いたい―。皆さんはそう思いませんか。とはいえ、現場監督の業務量は膨大で、なかなか勤務時間内に収まりません。また、突拍子もなく電話が鳴ったり、近隣クレームに振り回されることもあります。
では、どのように自分の時間を確保していくのかですが、私がはじめに取り組んだのは、連絡業務の改善と業務のシステム化です。
1、連絡業務の改善
目標は、携帯電話の呪縛から逃れること。つまり、業務時間外や休みの日に、自分の携帯電話が鳴らないように仕組みを作る、連絡業務の改善です。
まず、連絡手段の基本はSNSやメールとし、緊急時だけは電話を許可することと自分の中で決め、相手に対してもまずは自分が実践する。そして、これを周りにも周知し徹底していきます。もし、業務時間外に相手から電話があった場合は、はっきりとそれを伝え、今後は気をつけるよう促します。これをやって嫌われることはまずありません。なぜなら、相手だって同じように家にいる時に仕事の電話をされたら嫌なはずだからです。ただ、相手は私が勤務時間外だということを知らずに電話をかけてきているので、それを教えてあげれるだけです。相手があなたを大切に思うなら、次からは気をつけるようにするはずです。
多少時間はかかりましたが、私の周りの関係者は、時間外の電話は緊急時のみ、報告などはメール主体の連絡体制に改善することが出来ました。おかげで、今では休日に私の携帯電話がなることはほとんどありません。メールなら緊急性が低いので休み明けに見れば良いのです。
中には施主(お客様)に対して、それを言えない現場監督がいます。しかし、私は誰に対しても改善を促します。なぜなら、時間外まで人の時間を奪っていい他人など、一人もいないはずだと考えているからです。それに対して咎める相手ならその人のリテラシーを疑うし、お客様だろうが誰だろうが、積極的にお付き合いをしようとは思いません。言わなければ気づいてもらえないし、言って改善してもらわなければ、とめどなく自分の大事な時間を搾取されていくことになる。それは嫌なので、私は言うようにしています。
2、業務のシステム化
膨大な業務量は、ただこなすだけでも時間を使います。さらに精度を上げるために深掘りすれば、もっと時間がかかるものです。しかし、精度の高い仕事は、ピンポイントで一定数あるとは思いますが、一般業務の中でその必要性を問われるものはほとんどないと考えています。よって、しっかりと深掘りする必要性を見極め、一般業務と分けて考えるようにしています。
深掘りするのは時間に余裕がある時にやれば良いと、割り切ることが大事です。そして通常業務は深堀りせず、分解し、なるべく単純作業に変換してみる。単純作業に変換すると、自分でなくてもできる業務が必ず見つかるはずです。それを本来やるべき他の人に渡します。他の人に渡せば、業務がそこで止まることはなく動き出し、自分の手をかけなくても良くなります。その状態にしておいて、できた時間で自分しかできない業務をこなしていく。すると、今までよりもずっと多くの業務量がこなせるようになります。
単純に業務量が半分になれば、今まで残業していた時間を自分の自由な時間に回せます。さらに、この流れを組織に落とし込むことができれば、業務量の削減がシステム化できます。流れというのは、いちいち分解作業をしなくても、他の人がその業務を自分のするべき役割分担だと、勝手に認識して進めてくれるようになることです。淀みない流れを組織の中に作れれば、システム化は成功といえるでしょう。
あなたはなぜ働いているのですか?
よく問われる質問ですが、その答えがまさに、自分の自由な時間を作る理由なのです。労働は国民の義務。しかし、それに支配されることは心の豊かさを奪われてしまうことに繋がります。
なぜ働くのか? →お金を稼ぐため →なぜお金を稼ぐのか? →○○
○○の部分は人それぞれだと思いますが、お金を稼ぐために働いているのではなく、何のためにお金を稼いでいるかというのが大事だと思っています。○○を満たすことにより心が豊かになれば、良い人生に繋がっていくのではないでしょうか。逆をいうと、心に豊かさを持たなければ、良い仕事もできないと思います。労働と心の豊かさのバランスをきちんと取り、より良い人生を歩んでいきたいものです。皆さんの人生にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。」
このブログを読んで、会社員時代の現場監督の頃を思い出しました。土曜日はもちろん出勤、現場が遅れてくると日曜日の出勤もたびたびでした。あの頃は携帯電話もなく、職人が現場に出ているだけで、特に用もないのに、何かあった時のために、現場事務所に詰めていました。平日も、朝の7時過ぎから10時位まで働くのはあたりまえ。月100時間程度は残業していたと思います。新入社員のときには正月明けから、3月末まで1日も休みなしの現場もありました。今だと、超ブラック企業です。
今は、工事現場でも、月1回から2回程度は、土曜日も現場を閉める会社が多くあります。また、スマートフォンという便利な物が出来たおかげで、現場にいなくても、緊急時の対応が可能になってきました。3K(きつい・汚い・危険)といわれた、建設業もITの利用で変わらざるを得ないと思います。
Comments