2022年9月27日の廣田信子さんの表題のブログを紹介します。
「8月19日の日経新聞に、「理事会なしマンション増加」という記事が出ました。
日経記事
三井不動産や住友不動産が試験導入しているほか、管理大手の長谷工コミュニティ(東京・港)も本格展開する。住民は理事を務める負担から解放される半面、住まいの維持管理への関心低下を懸念する声もある。
共同住宅のマンションは居室はもちろん、共用部も含めて適切に維持管理していくことが欠かせない。ほとんどのマンションは管理組合内に置かれた理事会が、管理会社や工事会社との折衝に当たる「理事会方式」を採用している。なかでも、管理組合の理事長は「管理者」と呼ばれ、マンション管理の最高責任者と位置づけられる。
第三者管理方式は、理事長に代わって管理会社の社員が管理者となってマンションの維持管理に責任を負う。組合総会の開催や修繕計画の策定、修繕積立金の管理、居住者への報告といった理事会のすべての業務を実質的に管理会社が担うことになる。住民は管理会社が適切に業務を進めているかを監督し、組合総会などで管理会社の提案に賛否を示すだけでよくなる。
第三者管理方式はマンション管理に無関心な購入者が多いリゾートマンションや投資用マンションの管理手法として普及していた。国土交通省のマンション総合調査によると、管理会社を管理者に選定したマンションは2018年度時点でも6%だった。
近年は一般的な分譲マンションでも導入する物件が増えている。共働き世帯が一般的になるなか、休日が活動の中心となる理事会業務を負担に感じる人は多い。マンションデベロッパーにとって「理事にならなくてよい」というのが売り文句の一つになる。
大手では三井不動産や住友不動産がグループの管理会社で試験導入している。21年から導入し始めた住友不動産では東京都心部を中心に10件弱で採用済みで、購入者の反応を踏まえながら導入物件を増やしていくという。別のある不動産系管理会社は「東京都心部の20~40戸程度の億ション(価格が1億円以上のマンション)を中心に導入を進めている」と話す。
マンション管理大手の長谷工コミュニティや合人社計画研究所(広島市)は既存の管理物件に第三者管理方式の導入を提案している。
合人社計画研究所ではグループで管理業務を受託している約5000の管理組合のうち、すでに2割を第三者管理方式に切り替えた。「管理会社としても休日に開催されることの多い理事会に出向く必要がなくなる。社員の働き方改革にもつながる」(同社)。長谷工コミュニティでは、首都圏と関西で合わせて20件近くの物件で導入済みだ。
第三者管理方式を採用すると、居住者は煩雑な理事業務から解放される半面、「理事会方式のマンションに比べ、維持管理への関心低下や管理会社への監視の目が甘くなる懸念がある」(横浜市立大学の斉藤広子教授)。
長谷工コミュニティはこうした懸念を払拭しようと専用アプリ「smooth-e(スムージー)」を開発した。居住者は「エントランスの照明を明るいものに取り換えてはどうか」といった提案をいつでも投稿でき、賛同者が多かったアイデアはオンライン投票に諮って実現を検討する。理事会内にとどまっていた情報や報告も公開し、透明性向上を図っている。
21年に導入した大阪市内のマンションで理事長を務めていた40代の女性は「専門知識もない一住民にもかかわらず、さまざまな意見に対応するのは大変だった。導入後は重責から解放されほっとした」と振り返る。
マンションは時間がたつにつれ、住民の高齢化や入れ替えなど多様化が進む。大規模な物件ほど意見をまとめるのは難しく、第三者管理方式を採用する物件は増えていく可能性が高い。斉藤教授は「理事会がなくなることで住民同士の交流が失われる側面もある。理事の負担軽減策なども検討した上で、慎重に導入を判断する必要がある」と指摘する。
(上月直之)
その後、これに対する管理組合の反応が大きいです。
2年ほど前から、オープン時から理事会がないマンションが増えているという話はよく聞きます。
理事会があって、その長である理事長が区分所有法で言うところの「管理者」になって、マンションを運営する…という一般的な運営ではなく、
管理会社が「管理者」となって管理組合を運営し、理事会はなく、区分所有者は、総会の意思決定で、「管理者」を監視するという仕組みです。
第三者管理方式と言われ、その議論は、自分たちで運営できない管理組合をどう補完するかという意味合いで始まったはずだと思いますが、大手分譲会社が分譲する都心部のマンションで分譲時からの第三者管理が始まっています。
三井不動産や住友不動産が、グループの管理会社で試験導入しています。といっても、このまま不満がなければ、理事会なしの仕組みが続くのだと思います。この仕組みについては、他の管理組合で活動している人も、第三者管理の物件を投資として購入して、「これはこれで、楽でいい」…と発言しています。
この件について、私の管理会社の友人の話が印象的でした。
大手の分譲マンション、ほとんどが億ション(分譲価格が1億円以上)でのことです。
理事会を開催しても理事が集まらない。結局、1年毎月理事会を開催しても、半数の理事が集まることはほとんどなく、結局、何も決められなかったと言います。
半数以上の理事が出席しないと、理事会は開催できないのですから。
総会を前に、組合員に理事になる意向について聞いたが、何の反応もなく、今後どうするかを今の少数の理事と相談したが、「理事会を運営するのは無理、管理会社が管理者になればいい」…という話になって、「本当にそれでいいのか」を確認したが、それしかないという結論になった。
それで、総会にかけて、管理会社による第三者管理が簡単に決まったと言います。
それで、管理者になって運営しているが、「本当にこれでいいのか」と思いながら、緊張しながらやっていると言います。
億ションを購入する人は、パワーカップルと呼ばれる夫婦の合わせての収入が格段に多く、しかし、時間は取りたくない…という人か、又は投資用に購入している人が多いという背景があります。
新聞によると、ある管理会社では、東京都心部の20戸~40戸程度の億ションを中心に導入を進めていると言います。こういった億ションのようなマンションを管理者として運営するのは、それなりのコストも取れるでしょうから、管理会社も真剣に取り組むことになると思います。
少し前までは、自分たちの考え方を全面に出し、マンションを合理的に管理する管理組合運営を、進んで行っていたマンションのことを考えると、何とも不思議な気がしますが、大規模なタワーマンション等を自分たちで管理組合運営することの難しさも、合意形成のたいへんさも、聞いています。
時代の変化は大きいです。それに、コロナ禍も拍車を掛けました。
少なくとも、管理者管理であることをマイナスとは考えないで、むしろ、役員になる必要がないことが、「売り文句」になるという背景があるのですから。
でも、小規模で、自分たちで長寿命化を目指した管理組合運営が難しいマンションをどうするか…という問題とは別に考えなければなりません。」
以前合人社の四国の責任者から、分譲マンションの管理は今後、高級賃貸マンションの管理を目指す。と言われたことを思い出しました。確かに、完璧に維持管理された賃貸マンションであれば、理事会がなくとも何の問題もないように思います。今でも、マンションの住民のほとんどは、何か困ったことがあれば、管理会社が何とかしてくれると思っています。そのために、高い管理費を払っているのだと・・・
このブログにもあるように、管理費がいくらかかっても良いと思えるような億ションに向いたサービスかもしれません。お金さえかければ、高級ホテルのようなおもてなしも、可能だと思います。
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