今回は、最近の問合せ内容からのお話です。
「大規模修繕工事を実施予定だが、管理会社の言うまま進めるのは、今一つ信頼できない。理事長が定年退職して暇になったので、自分で頑張って、全てを取り仕切ると言っているが大丈夫だろうか?理事長は建築関係の会社に勤めていたわけではないが、会社員時代の役職は高かったようで、建築会社の経営者は良く知っているらしい。」というような問い合わせでした。
また 別のマンションからの問い合わせでは、「大規模修繕工事を実施予定だが、とにかく建設会社数社に、見積もり依頼しようと思うが、問題ないか?」というお話です。聞けば、改修仕様も決めず、施工面積も明示せず、各社から見積もりを出してもらう予定とのことです。
二つの問い合わせとも、大規模修繕コンサルタントがいるのは、知っているが、その費用がもったいないので、自分達で何とかしたいとの問い合わせでした。
コンサルタントに依頼しなかった場合の問題点
かって同じようなケースで、改修仕様も決めずに、建設会社に見積もり依頼し、安さだけで選んだところ、戸建ての塗装工事しかやったことのない塗装業者が受注し、コンクリートのひび割れ処置も何もしなくて、再塗装し、後で問題が出てきて、再度、大規模修繕工事を実施したという話も聞いたことがあります。ひどいところは建設業の許可もないような会社に依頼して、足場も単管足場のようなもので実施したという話も聞きました。ペンキさえ塗ればいいという会社には、安全も品質も関係ありません。
また、改修工事仕様も数量も指定しない見積もりで、どのようにして、各社の見積もり比較をするつもりでしょうか?業者決定の根拠を入居者の皆さんに説明できますか?
一番の問題点は、施工中の検査を、建築の素人の管理組合で適切に実施できるかという問題です。仕様書通りの材料が、適切な工法で、所要量使用されて初めて、品質の確保ができます。何か不具合があっても、こんなもんですよと施工会社の担当者に言われた時に、ちゃんと反論できないと、結局品質の悪い工事を実施したことになります。
適切に工事の品質をジャッジできる人がいなければ、安かろう悪かろうの大規模修繕工事になってしまいます。管理組合の大規模修繕工事という大事なお金を使って、いいかげんな工事をやることは、組合員から非難されるおそれもあります。
まとめ
私が今、大規模修繕工事のコンサルタントをさせていただいている管理組合の理事長は、当初、管理会社主導方式で話が進んでいた大規模修繕工事を、施工会社選定時に競争原理が働かないからと、設計管理方式に切り替えて、弊社に大規模修繕工事のコンサルタント業務を依頼されました。
その理事長いわく「大規模修繕工事コンサルタントの費用が別途発生しても、それぐらいの金額は、施工会社の競争見積もりを実施することで、充分、もとがとれるでしょ。それよりも、建築の専門家が、修繕委員会をリードしてくれることや、施工中の工事監理をしっかりやってくれるほうのメリットが100倍大きい。」
どうか、目先の利益の惑わされずに、入居者に皆さんに喜ばれる大規模修繕工事を実施してください。
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