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神戸三宮の高層マンション、タイル剥離で和解

最終更新: 3月12日



 完成から9年半で外壁タイルの落下事故がおきた「アパタワーズ神戸三宮」で、住民による損害請求訴訟で和解が成立しました。廣田信子さんのマンションブログの記事を以下に紹介します。


「神戸・三宮の高層マンション「アパタワーズ神戸三宮」で発生した外壁タイルはく落などを巡り、住民らが施工側のアパホーム(金沢市)などに約2億4300万円の損害賠償を求めた訴訟で、施工側2社が約1億1540万円を支払うことで和解したことが報道で分かりました。

  このマンションでは、完成から約9年半後の2015年3月、14階からタイル(幅約1.5メートル)が落下したのです。落下したタイルは全部で20kg以上と見られていて、それが、高さ35mの場所から時速90km以上の速度で落下したことになります。人身事故にならなかったことが不幸中の幸いでしたが、マンション住民にとっては、身も凍るような出来事だったと思います。

 その後の専門家による調査で、はく落やはがれやすい「浮き」の状態が建物全体で14.86%、最も割合の高い建物南側で35.75%を占めることが判明。施工側は、タイルの浮きは経年劣化が原因のものもあるので、改修費用を100%負担するつもりはないと回答し、改修をしなかったため、管理組合は、危険な状態を放置できないことから、借金などして外壁を修繕したという経緯があります。

 住民らは、改修後、施工会社に対し、補修工事費など約2億4300万円の損害賠償を求め、2017年12月に、大阪地裁に提訴しました。

 確かに、外壁タイルは、モルタルで貼られた場合には、寒暖差によりタイル陶片そのものが膨張収縮を繰り返すことで、躯体面に対する接着力が衰えてくるといわれます。北面や東面と比べ、南面や西面にタイル浮きが多く見られるのはこのためで、一般的に、10年で、全タイル面積の約5%が浮くことはあると言われています。


 が、全体の14.86%、南側で35.75%が浮いているというのは、明らかに異常です。

 タイルの施工時に、躯体の表面の目荒らし工程や下地モルタル塗りの工程を省いて施工したことなどがタイル浮きを更に招いたと考えるのが普通です。

 専門家は、通常タイルの接着をよくするため、コンクリートの下地に目荒らしをしてから貼るが、今回の外壁パネルにはその跡が見られず。工期短縮する為にやらなかったと考えられる…と。

 裁判では、工事を担った大木建設がタイルにモルタルを塗り、貼り付けたと説明しましたが、製品の使用説明書に沿うと、貼り付け先のコンクリートにもモルタルを塗ってこすりつける必要があるとあり、 最終的には、裁判所も「はく落が起きないように十分な注意を怠った」と判断したようです。

 調停書では、大木建設に1億1千万円、施主のアパホームに約540万円の支払い義務を認めています。

 このマンションは2005年に完成。20階建ての249戸で、当時は天然温泉付きのマンションとしてすぐに売れてしまう人気物件だったといいます。

 しかし、アパグループのマンションでは建物の耐震強度不足が判明していて、2007年に、このマンションでも耐震強度不足が明らかになりました。阪神淡路大震災の地である神戸での耐震強度不足です。これについては、2014年の4月にようやく耐震工事を完了させたのですが、その約1年後の2015年3月にタイル落下事故が発生したのです。

 住民の売主、施工会社への不信感がつのるのは当然です。

 アパグループ側は原因は工事のミスではなく、経年劣化だと主張し、補修を拒否し、落ちそうなタイルを剥がすのみの対応で、次にまたいつタイルが落ちてくるかわからないので、管理組合はとにかく先に補修工事を実施したのですが、アパグループ側は、管理組合が、補修工事を実施してから費用を請求しているのが釈然としないとして、それに応じず裁判となったものでした。

 管理組合、住民の方はよくがんばられたと思います。心から敬意を表したいと思います。先に修繕工事を実施するというのは、勇気がいったことと思います。

 今回、9年半でタイルの落下事故があったため、管理組合側の専門家が調査をしたことで、施行不良が明らかになったのですが、もし、落下事故がなくて、大規模修繕工事前の調査だったたら、施工不良が疑われても経年劣化ということにされ、大規模修繕工事を早めて修繕すればいい…という方向にもっていかれたかもしれません。(これは、実はよくあることです)

 タイルの浮きに関するきちんとした調査結果があれば、先に危険回避のために修繕工事を実施して損賠賠償請求するということも認められるのだと、勇気をもらえた管理組合もあると思います。」


感想が

 今回は事故発生が、築10年を経過していないということで、会社側も瑕疵担保責任があるということで、和解に踏み切ったのだろうと思います。施工したゼネコンも、築10年未満ということで、品確法の関連もあり、施主であるアパホームに同意したのだと思います。事故が起きたことは不幸ですが、人身事故にもならず、逆に築10年以内にタイルの不具合が解ってラッキーでした。

 一般的には、大規模修繕工事に先立って実施される建物診断時に、タイルの施工不良が確認されるケースが多く、引渡から10年超経過しての責任追及は、相手先企業の誠意しだいというところになります。売主のデベロッパーも、施工会社に対しては引渡から10年を過ぎると、契約上も補修を要求できないケースが多いです。

 長期修繕計画で12年周期で大規模修繕工事が予定されているマンションは、引渡から10年以内に建物診断を実施することをお勧めします。

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