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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

福島県沖地震で高層住宅の渡り廊下が脱落、備えは万全か?

更新日:2022年6月10日

 


 2021年3月19日の日経クロステックの表題の記事を紹介します。


「2021年2月13日に発生し、最大震度6強を観測した福島県沖地震。東北新幹線が一部区間で運行を見合わせるなどインフラへの影響に世間の注目が集まったものの、建物被害についてはあまり報じられていない。3月には報道も落ち着き、入れ替わるようにして東日本大震災からの10年間を振り返る報道が目立つようになった。

 ただ、現地では天井や外壁の落下など非構造部材の損傷が多発した。福島県沖地震の発生後、被災現場を訪れた筆者は、震度5強が観測された仙台市で見過ごすことのできない被害を確認した。14階建て鉄筋コンクリート(RC)造の集合住宅「あすと長町第二市営住宅」で発生した、あわや大惨事という事故だ。最上階14階の渡り廊下が抜け落ち、住民1人が軽傷を負った。



仙台市の「あすと長町第二市営住宅」では、最上階に当たる14階の渡り廊下が脱落した。写真下は渡り廊下がかかっているが、その1つ上の階には渡り廊下がない。2021年2月18日に撮影(写真:日経アーキテクチュア)


 現地を訪れ、上を向くと、渡り廊下がすっぽりと抜けて奥に空が見えていた。事故があったのは南棟と北棟を結ぶ共用廊下。仙台市市営住宅管理課によると、アルミニウムでできた約1.8m四方のエキスパンションジョイントのカバーが落ちた。事故が起こったのは、2月13日の地震発生から翌14日午前1時20分ごろまでの間という。

 市は、日経アーキテクチュアの取材に対し、次のようにメールで回答した。「他の渡り廊下では部材の変形など異状がないことを確認した。負傷された方が出たことを深く受け止め、改めて安全対策の観点に立って、適切かつ適正な施設管理に努めたい」(市営住宅管理課)。3月16日時点で、脱落原因などの詳細を調査中だ。


熊本地震でも同様の被害

 似た被害は16年4月の熊本地震でも発生している。熊本市に立つ13階建てのマンションで、2棟をつなぐ各階の渡り廊下に設けられたエキスパンションジョイントが損傷した。上層階では渡り廊下の袖壁が垂れ下がり、危険な状態が生じた。当時、「建物が割れた」という住民のSNS(交流サイト)への投稿が話題になった。



熊本地震で渡り廊下に被害が発生した高層マンション。鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造で1998年12月に竣工した(写真:日経アーキテクチュア)


 高層マンションをつなぐ渡り廊下は、大地震が発生しても安全な状態を保てるか。発災後に各住戸から避難する人が無事に利用できるか。熊本地震に続き、福島県沖地震でも被害は繰り返した。いつか訪れるかもしれない大地震において、「2度あることは3度ある」とならないよう、原因を究明して調査結果を公表してほしい。

 ましてや福島県沖地震で被害が発生した市営住宅は、仙台市が整備し15年に竣工したばかりの災害公営住宅だ。3.11後に完成した建物でも、安全とは言い切れない状況が露呈した。東日本大震災から10年がたったいま、建築・住宅に弱点がないか改めて検証し、非構造部材を含めた耐震性をより高めていく必要がある。」


 2022年3月16日にも東北で震度5強の地震が発生しています。地震国である日本では、大地震はいつでも、どこでも起こる状況です。この記事にもあるエキスパンジョイントとは、地震時に構造体である、柱や梁に影響がないように、地震のエネルギーを逃がす目的で設置された部分になります。この部分が壊れることで、建物本体は無傷になっているのですが、一見すると、建物に大きな被害が発生しているように見えてしまいます。地震時に建物は階高の1/10程度の揺れが発生します。14階建てのマンションだと階高さは45m程度あるため、14階部分では45cm横方向に移動します。建物は左右に2棟あるため、地震時には90cm以上の隙間がないと、建物同志がぶつかって建物に損傷が出ます。ところが、昔の建物は、このエキスパンションの巾が10cm程度しかなく、建物の変形に耐え切れず、写真のように壊れてしまう結果になってしまいます。新耐震のマンションであれば、阪神大震災や東日本大震災クラスの地震では倒壊しないことが解っています。地震が来てもあわてて避難せず、室内にとどまることで、エキスパンジョイント部分から誤って落下する等の事故を防ぐことが重要です。

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