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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

管理会社が理事長になる第三者管理の問題点

更新日:2月28日



 最近話題になっているマンションの第三者管理のガイドライン作成について、、国土交通省の専門家活用ワーキングチームで検討議論されています。今回はその問題点について整理してみたいと思います。


 最近特に増えてきているのは管理会社が理事長になる第三者管理方式です。この方式が管理会社で進められている主な理由は以下の3点です。


①    フロント担当者の業務量削減

 第三者管理者方式にして理事会を廃止することにより、管理組合(理事会)補佐業務がなくなります。単純に考えても定例の理事会に出席し、議案を提案し、議事録原案を作成する等の業務が不要になります。結果的に2-3割の業務量削減が可能といわれています。


②   社員の離職率改善

 ハラスメントによる社員の離職を防ぐためです。理事などの役員や区分所有者との対応業務中、ハラスメントと認定されうる行為を受ける場合が多々あります。フロント担当者の離職の多くの原因を占めています。その原因の一つを除去したいからです。


③    管理以外のビジネスチャンス拡大

 マンション管理に係る修繕などの工事を独占できる可能性が高まるからです。

 管理者は工事の発注権限を持っていますから、理事会が廃止され、その監督を受けない第三者管理者は自由に施行業者などを選定できます。そして管理会社そのものや系列の施行会社にその業務を発注し利益を独占できるからです。


 上記のような理由から第三者管理を積極的に進めている管理会社が増えてきています。


 一方で、管理会社による第三者管理には問題点もあります。主なリスクとしては下記の3点が挙げられます。


利益相反リスク

 そもそもマンション管理会社は、管理組合の委託を受け管理実務を行うことで利益を得る会社です。そこには管理組合との間で利益相反の関係があります。上記の③で示したようなことが頻発すれば、価格交渉もなく高い金額で工事が発注されることは容易に想像されます。


理事長がいないリスク

 理事長が廃止されている管理組合が外部と契約する場合は誰がするのかという問題が生じます。銀行口座さえ作れないという事態も考えられます。管理者は建物・敷地の管理者でしかなく、団体の代表者ではありません。

 管理会社が理事長ということになれば、委託者の管理組合の管理者たる管理会社が管理実務を委託し、受託するという関係になります。これは自己取引になり、通常の法人では許されません。


契約の解除の方法が定められていないリスク

 管理会社の都合で辞任する場合や区分所有者の意思で管理者を解任させる場合で、どのように処理するかが大きな問題になります。

 理事会・理事長は存在しませんので、その段階では5分の1以上の議決権を持つ区分所有者が、総会を自ら開催して新管理者を選任するしかありませんが、実質的に困難な場合が多いと思います。まして、管理規約を再度改正して、理事会・理事長を復活するのは実質上無理といっても過言ではないと思います。このことは一度管理会社を第三者管理者に選任すると、管理会社は未来永劫にその管理組合から利益を得続けることが可能ということを意味します。


 これらの問題がガイドラインにて解決されるのであれば、第三者管理方式は今後も増えてくるものだと思われます。



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