2022年4月1日よりマンションの管理体制の評価について3つの制度が運用開始されました。一つ目は国が定めた「管理計画認定制度」、2つ目はマンション管理業協会が定めた「マンション管理適正評価制度」、3つ目はマンション管理士会が定めた「マンション管理適正化診断サービス」です。
名前も似ており、一般の方には良くわからないと思います。また今回の「管理計画認定制度」では、マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」や日本マンション管理士連合会の「マンション管理適正化診断サービス」と同時に取得することも可能です。
今回はそれぞれの評価制度の違いと、管理組合としてはどの制度を取得すればいいかの説明をしたいと思います。
一つ目の「管理計画認定制度」は、マンション管理適正化法の改正により定められた国の評価制度で、マンションの最低限満たすべき管理の基準を示すとされています。制度の運用は、県や市で「マンション管理適正化推進計画」を策定している地域のみで取得可能な制度です。評価項目は国の評価項目にプラスして、各行政独自の項目を追加することも可能です。
二つ目の「マンション管理適正評価制度」は、マンションの管理のレベルをSランク・Aランク・Bランク・Cランク・Dランクの4つで評価する制度です。国の「管理計画認定制度」が管理の最低ランクを示すのに対して、その上の管理体制を評価するものになっています。但し、もともと評価項目が違っているため、「マンション管理適正評価制度」ではAランクのマンションが、国の「管理計画認定制度」で不合格となるケースもあるようです。
3つ目がマンション管理士会の運用する「マンション管理適正化診断サービス」ですが、これは火災保険の軽減を目的に作られた制度であり、この評価制度の診断結果に応じて火災保険料が割引されます。また、診断費用は保険会社が負担するため、管理組合の負担金額はなく、昨今の火災保険料の増額に対して有効な評価制度です。
上記のような違いのある制度ですが、マンション管理業協会またはマンション管理士会経由で申請をすれば、国の制度とあわせて、それぞれの協会が制定した評価制度と同時に認定取得が可能になります。
マンションの管理状況を評価したい場合
自分の住んでいるマンションの管理状況を評価したい場合は、「管理計画認定制度」と「マンション管理適正評価制度」を同時に取得することをお勧めします。診断結果から、それぞれの評価項目を見ることで、自分のマンションで整備すべき項目が明らかになり、管理組合の取り組むべきテーマが明らかになります。また、管理業協会のホームページには、マンションの評価結果がランク分けして表示されますので、管理の良いマンションは管理状況をアピールすることで、中古売買の価値を上げられる等の効果も期待できます。
火災保険の更新が近いマンションの場合
地球温暖化の影響で台風の大型化や豪雨災害が増えてきており、火災保険の更新時に大幅な値上げが見込まれる状況です。そのようなケースを見越した場合には「管理計画認定制度」と「マンション管理適正化診断サービス」を同時に取得することをお勧めします。
国の基準である「管理計画認定制度」をベースに、組合の目的にあわせてそれぞれの団体が作成した評価制度を取得すればいかがでしょうか。
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