快適マンションパートナーズ 石田
管理会社に修繕工事を頼むと高くなる理由
更新日:2020年11月13日

今回は、管理会社に工事を頼むと価格が高くなる理由についてのお話です。
少し古くなりますが、2017年12月18日の毎日新聞に以下のような記事が載っていました。
「カタログ価格は20万円ですが、半値でやります」。3年半前、インターホンの取り換えを考えていた大阪府富田林市のマンションの管理組合に、管理会社の担当者が売り込んできた。「半額」に感嘆する役員もいたが、理事長は同調しなかった。「その値段、妥当か」当時の理事長、古川穂積さん(76)は量販店で価格帯を調べ、電気工事店にも見積もりを頼んだ。交渉の末、管理会社の見積額は1戸約9万円に下がった。差額は1万円ほどだが、110戸分とエントランス部の割引なども合わせると205万円の出費が減った。古川さんは理事長を退いた後も、理事会の要請で副理事長を続けている。かつて金属部品会社で働き、設備に詳しく、コスト意識は1円単位で体に染みついている。役割は、管理会社の見積書をチェックする「防波堤」になることだ。
新聞には他にも
■ 管理会社の「言い値」を疑うようになったのは約5年前の駐輪場増設工事。当時の管理会社は約150万円の見積書を示したが、交渉すると約110万円に減額してきた。しかし、別業者から見積書を取ったら、約73万円だった。その後、管理組合はその管理会社をリプレースした。
■ 今の管理会社も疑わしい見積書を持って来るのは相変わらず。定期点検で見つかった非常灯の不具合に伴い、バッテリーの交換(約1万円強)が必要になった。だが、管理会社は非常灯を丸ごと取り換える6万円の工事を提案してきた。
■ 滋賀県のマンションは一昨年、卓球台を買うことになった。依頼した管理会社が示した見積書は約8万6000円。住民がスポーツ店で似た仕様のものを2万円台で見つけてくると、管理会社は約2万6000円の見積書を出し直した。不信感は今もぬぐえない。
■ 割高な見積額について、関西の管理会社に勤めた経験がある男性は「管理費だけではもうからない」と打ち明ける。インターホンやLED照明、防犯カメラなど設備関係の交換工事は利益を上げる好機だったという。
■ マンション管理のNPO法人の関係者は「業者が利益を考えるのは当然。住民自身が汗をかいて知恵を絞りながら、業者の善し悪しを見極めてほしい」と指摘する。
等の内容が記載されています。
まとめ
管理会社はいうまでもなく営利企業ですから、収益を上げなくてはなりません。管理会社のリプレース対策等で管理費が削減され、収益が下がる中、設備改修等の工事は大切な収益源になっています。一般的に、管理会社が見積もり金額を出す場合は、下請け業者から徴収した見積もり金額に30%程度の利益を上乗せして提出されます。また、下請け業者からの直接管理組合に見積書が提出される場合でも、契約し工事が完了した場合には同じように20%程度のバックマージンが下請け業者から管理会社に支払われます。管理会社にしてみれば、管理組合に対する営業は管理会社が実施したから、その対価を下請けの施工会社から得ているということでしょう。直接・間接を問わず、見積書には、管理会社の利益が工事金額に含まれていることから、管理会社経由の工事金額の見積書は高額になります。
3社以上の会社からの見積書の徴収をルールとしている管理組合も多いですが、管理会社の担当者経由でもらった見積書では信頼性が低いです。担当者が各社に見積金額を指示しているケースもあります。
真剣に価格を下げたいのであれば、管理組合が自分で業者を探し、見積もり徴収を行う必要があります。
今回の新聞記事を見て、改めて思いました。