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管理組合向け火災保険は、数年で2倍以上の値上がり! 知らないともったいない、保険内容の見直しポイント5つ

更新日:2021年12月6日



 2021年9月13日付けのダイアモンド不動産研究所の表題のブログを紹介します。


マンション管理組合向け火災保険は、ここ数年で保険料が2倍以上に値上がりしているのをご存じだろうか。管理組合向けの火災保険とは、マンション管理組合が管理する「マンションの共用部」にかける火災保険のことで「マンション総合保険」とも呼ばれる。値上がり幅が大きいため、再契約時に保険内容を見直す動きが本格化しそうだ。そこで、見直しの際に知っておくべき5つのポイントを紹介する。(フリージャーナリスト:福崎剛)


値上げが続く火災保険料、マンション管理組合向け火災保険は2倍以上の値上げも!

 近年、台風や豪雨といった自然災害が増加している。そのため、支払われる保険金も過去に例がないほど増加しており、2018年、2019年は2年連続で保険金の総支払い額が1兆円を超えた。

 こうした背景もあって、火災保険の保険料は3年度連続で値上がりすることが決まった。地域にもよるが、個人の火災保険料はここ数年で10%程度の値上がりも珍しくない。来年度の値上げ幅は、最大+36.6%(沖縄県・木造戸建て)にもなるとも言われている。

 しかし、さらに深刻なのがマンション管理組合向けの火災保険(マンション総合保険と呼ばれる)の値上がりだ。マンション総合保険は、管理組合が管理している、マンション共用部にかける保険のこと。こちらは、自然災害の増加に加え、建物の老朽化が原因となる事故が増加しているため、なんと、大手損保会社だとここ4~5年で2倍以上の値上がりが普通だという。

 保険料の値上げが避けられないのであれば、保険内容の見直しをするべきだろう。ところが、マンション総合保険は一般の人には内情が知られていない。そこで今回は、マンション総合保険を見直す際に、注意すべきポイントを解説しよう。


管理会社への丸投げは注意! 保険料を余分に払っているかも

■マンションの共用部分の管理は、管理組合の仕事

 まずは、マンション総合保険がどういうものかを説明しよう。

 分譲マンションを購入して区分所有者になると、「マンション管理組合」の一員となる。マンション管理組合は共用部分の管理をしなくてはならないのだが、多くの場合、自分たちで管理する代わりに管理会社に委託しているのが実態だろう。

 マンションの「共用部分」とは、エントランスや廊下、エレベーター、管理人室、給排水管や、専有部分にはならないことが多いベランダなど。一方、個人が所有権を持つ住戸は「専有部分」と呼ばれており、壁や床、その下を通る配管なども入っている。専有部分は、所有者である個人が管理する。

 火災保険については、それぞれを管理している者が契約者となって加入する。つまり、共用部分については管理組合が、専有部分については個人が、それぞれ火災保険に契約することになっている。


 共用部分と専有部分の境界線は、各マンションの管理規約によって定められているので、知らない場合は確認しておこう。

■見逃されている、余分な火災保険料の支払い

 多くの分譲マンションでは、すでに管理組合で共用部分の火災保険(マンション総合保険)の契約も済ませているだろう。戸数が多い大規模マンションであれば、火災保険の保険料は年間数百万円にも及ぶ。にもかかわらず、マンション総合保険の保険料は月々の管理費から支払われており、自分が直接支払うわけではないために、多くの住民があまり気にかけていない。だが、毎年のように保険料が値上がりしている現状を考えると、マンション総合保険の保険料に注意を払わないのは問題だ。

 マンション保険に詳しい、株式会社マンション保険総合研究所の木村伸治氏によれば「意識が低い管理組合や理事会は、『しょせん、みんなで集めたお金なので(自分の負担は少ない)お金で解決できるならそれでよい』『自分は忙しいので、面倒なことは管理会社に任せておけばよい』という発想になってしまっている」と指摘する。

 そもそも、保険料が適切なのかどうか、保険のプロでもなければ判断がつかないので、よく分からないという声もあるだろう。しかし、管理会社に任せきりにしてしまうと、オーバースペックの補償をつけて保険料が高くなっていても「安全・安心」を持ち出されてしまうと、そこで思考停止してしまい、大きな支出を見逃していることがある。むしろ、こうしたケースの方がほぼすべての管理組合の実態だと言える。

 自分の住んでいる物件、マンション総合保険の保険料が知りたければ、毎年開かれる管理組合の総会資料を引っ張り出せば、決算書から保険料を知ることができるので、まずは確認しておくことをおすすめする。


マンション総合保険見直しのポイント① 保険金額の設定

 さて、マンション総合保険を見直す際に、どの部分を確認したらいいのか説明していこう。まずは、保険金額を見直してみることだ。


■共用部分の保険金額の算定方法

 個人の場合も同じだが、いくらの保険金額を設定するかで保険料も変わる。例えば、3000万円で建てたマイホームに5億円の保険はかけないだろう。このように、マンション共用部にも適切な保険金額がある。ただし、マンションの場合は共用部分と専有部分に分けるために、算定方法が少し複雑だ。

 建物全体の評価基準には、新価ベース(再調達価額)と時価ベースがあるが、マンション共用部分では新価ベースを使うのが一般的だ。新価とは、仮に建物が全壊したときに、新しく建て直すために必要な金額のことだ。

 しかし、対象となるのは共用部分であるため、個人の所有物である専有部分は除いた分の金額となる。共用部分の割合は、建物全体の55%〜60%だとされている(一般的には60%)。つまり、マンションが消失して全く同じものを再建築しようとした場合に必要な額の「60%」が共用部分の評価基準額になるというわけだ。

 もし、そのマンションを新しく建築するのに20億円が必要なら、その60%の12億円が共用部分の評価額になる。

 マンション総合保険でかける保険金額は、この建物の評価額(再調達価額)に対して何%を補償するかで決まる。これを「付保割合」という。付保割合は保険会社や保険商品によって上限・下限が決められている。

 まとめると、マンション共用部分の保険金額を算出する計算式は次のようになる。


マンション共用部分の保険金額の算出式 共用部分にかける保険金額 =「共用部分の評価額」×「付保割合」 <共用部分の評価額 = 新価額 × 共用部分割合(50~60%)>

 付保割合は、100%を上限に、保険会社によって定められている下限まで、幅を持って選択することができる。


■建物の価値と付保割合のバランスを検討する

 例えば、共用部分の評価額1億円のマンションで付保割合を30%と設定すると、保険金額は3000万円になる。そうすると、当然ながら保険金を1億円かけるよりも、保険料は抑えられる。

 先述した、マンション保険総合研究所の木村氏によると、「これまでにマンションが全壊した事例はありません。そもそも、躯体部分の共用部分が木っ端みじんになることはまずありえません。私が知る限り、これまでマンション共用部分の損害で支払われた保険金で、付保割合が100%となるケースはありませんでした」となると、少なくとも付保割合を100%にする必要はないのである。

 付保割合をどの程度に設定するか、これはマンションの規模や設備、立地などでも変わるため、数値だけを見ていても判断できない。やはりマンション保険に詳しい木村氏のようなプロに相談するのがベストだろう。

 ここでは、付保割合を100%にしないことで、保険料が軽減できると憶えておきたい。なお、評価額1億円の物件で、付保割合を30%、保険金額3000万円とした場合、全損したときには3000万円までしか補償されない。ただし、勘違いしないでほしいが、損害額が3000万円以下の場合には、損害額が全額支払われる。要するに、付保割合をどう設定するかのバランスが大事になるのだ。


マンション総合保険見直しポイント② 免責金額の設定

  免責金額を設定するのも、保険料を抑える有効な手段だ。免責金額とは、火災や事故が発生したときに、自己負担する金額のこと。マンション共用部の場合だと、管理費から負担することになる。とある中規模マンション(総戸数47戸)の事例だと、免責金額なしの場合の基本保険料(※特約などを含まない)が約1700万円だったものが、免責金額10万円に設定すると約1400万円まで保険料が下がった。


■保険を使いすぎると、次期更新時の保険料が跳ね上がる!

 マンション総合の保険料は、建物の構造や築年数、補償内容、そして「事故率」によって算出されている。事故率とは、そのマンションの総戸数に対して、どれだけ事故が発生したかというもの。「事故率 = 保険を使った回数(事故件数)÷ 総戸数」で算出される。

 事故率が高いマンションは、更新時に保険料が高くなりやすい。管理会社のなかには、マンションの修理費用をなんでもかんでも保険で賄おうという考えの会社があるが、これだと事故率が上がってしまう。

「免責金額を設定して保険料を抑えつつ、免責金額以内で支払えるような小さな修繕は保険を使わずに自分たちで修理する」という考え方もあるので、覚えておきたい。


マンション総合保険見直しポイント③ 「包括個人賠償責任保険」の有無や、金額を検討する

 「包括個人賠償責任保険」とは、当該マンションの区分所有者や居住者などが、日常生活における偶然の事故などで、他人に対してけがをさせたり、損害を与えたりして、法律上の賠償責任を負った場合に、賠償金額を補償する保険だ。マンション内においては、水漏れ事故や落下物事故の際によく使われる。マンション総合保険で、この特約を付帯している物件は多い。

 ところが、近年の度重なる値上げに耐え切れず、包括個人賠償責任保険特約を外すマンションも増えてきているという。


■「包括個人賠償責任保険」の特徴とは

 「包括個人賠償責任保険」と似たような保険に、個人で加入する「個人賠償責任保険」がある。こちらは聞いたことがある人もいるだろう。日常生活において、賠償責任を負った場合に補償が受けられるという点では、どちらも同じだ。ただし、保険の対象者に違いがある。


 マンション全体で加入する包括個人賠償責任保険では、「その部屋に居住していない所有者」「所有していない居住者」も対象になる。つまり、その部屋を賃貸に出している大家と、その部屋の賃借人も、保険の対象になるということだ。

 こんなケースで考えると分かりやすい。賃貸に出している部屋から水漏れ事故が起こり、下の階の住居に損害が発生。損害賠償責任を負うことになったとする。この場合、大家と賃借人のどちらに賠償責任が課せられるのだろうか? これは、水漏れが発生した原因によって異なる。


■包括個人賠償責任保険を外すとどうなる?

 大家と賃借人、どちらも保険の対象者になるので、非常に使い勝手が良い保険だが、これを付帯すると保険料が非常に高くなる。そのため、最近は、包括個人賠償責任保険を外すマンションが増えているというわけだ。

 しかし、外してしまうと補償内容に不備がないのか気になるところだ。実は、この補償は基本的に個人で加入する保険で賄うことができる。賃借人は、賃貸用の火災保険の特約で「個人賠償責任保険」に加入、大家は「施設賠償責任保険」にそれぞれ加入すれば問題ない。本来であればそれが自然な形である。

 では、なぜマンション全体で「包括個人賠償責任保険」に入っているかというと、これらの契約を忘れてしまう人が多いからだ。

 マンション全体のリスクマネジメントを行っている、株式会社マルエイソリューションの小川三四郎氏によると「特に、施設賠償責任保険に加入していない大家が多いのが現状です。不要な保険かと勘違いしてしまったり、よく分からないというのが理由です。そのため、被害者への救済という意味も含めて、マンション全体でまとめて包括個人賠償責任保険に加入する方が、管理組合としてもメリットがあるのです」


■包括個人賠償責任保険を外す場合の注意点

 総戸数が少ないマンションなどは、管理費不足の問題などで、どうしても保険料を減らさなくてはならない場合がある。保険金額の変更、免責金額の設定のつぎは、包括個人賠償責任保険の有無に焦点があてられるが、その場合は以下の2点に注意しておこう。


1.完全に外すのではなく、保険金額を減らす案も検討する

 包括個人賠償責任保険の保険金額は、調整することができる。完全に外してしまうのではなく、保険金額を下げることで、多少保険料を抑えることがである。


2.リスクをきちんと理解する

 つまるところ、包括個人賠償責任保険は、居住者・所有者の「保険のかけ漏れが発生しないように、リスクヘッジとして加入している保険」だ。管理組合は、個人の保険の加入状況まで管理することはできない。そのため、どの住戸で保険のかけ漏れが起きているのか把握するのは難しいし、もちろん強制することもできない。

 万が一、個人賠償責任保険(賃借人)や施設賠償責任保険(大家)に入っていない部屋で、損害が起きた場合はどうなるのか。

「大家も、賃借人も保険に入っていなかったというケースはあります。水漏れ事故でそのような事例がありましたが、被害者である下の階の住人との間で裁判になりました。もちろん、支払い義務は部屋の所有者か居住者にありますから、被害者が泣き寝入りすることはありませんが、損害賠償の支払いは滞ってしまいます」(マルエイソリューション・小川氏)

 また、小川氏はこう注意を呼び掛けている。「こうしたトラブルを避けるためにも、賠償責任保険は必要です。マンション管理組合が、個人に対して保険の加入を強いるのは不可能ですから、包括個人賠償責任保険を外すのであれば、かなり慎重に考えた方がいいでしょう


■個人でそれぞれ「個人賠償責任保険」に加入するのがおすすめ

 なお、包括個人賠償責任保険は、日常生活で発生したトラブルで損害賠償する責を負った場合に補償が受けられるというもの。そのため、水漏れ事故などの他にも、居住者などがマンション外で起こした自転車事故などの補償にも使える。ところが、マンション全体の保険である包括個人賠償責任保険を、個別に何度も使うのはおすすめできない。これも1件の事故としてカウントされ、マンションの事故率が上がる要因になる。

「マンション総合保険で包括個人賠償責任保険に入っているから、自分の火災保険では個人賠償責任保険に入らない、という方もゼロではありません。でも、やはり本来は個人できちんと加入することが重要です。個人の火災保険に特約で個人賠償責任保険を付ければ、保険料は年間2000円程度。個別に入るほうが、マンション全体としてはお得になります」(マルエイソリューション・小川氏)

 個人賠償責任保険は汎用性が高い重要な保険なので、そうでなくても必ず加入しておきたいもの。もしも入っていない人がいれば、すぐに加入を検討したい。


マンション総合保険見直しのポイント④ 見直しは更新の1年~半年前から

 マンション総合保険の火災保険料は、改定が頻繁に行われている。そこで、見直しのタイミングも重要となる。

「昨今では、ほとんどの管理組合が5年契約としていますので、火災保険の見直しは4年目にするとよいですね。ただし、意図的またはフロント担当者の怠慢なのかわかりませんが、管理会社は満期の直前になって理事会に更新を申し出るパターンが多いようです」(マンション保険総合研究所・木村氏)

 なぜ満期直前になって保険の更新の話を持ち出すのだろうか。管理会社が忙しいだとか、怠慢だという場合もあるが、注意すべきは、管理会社が保険代理店として共用部分の保険を引き受けているケース。要するに、他社の保険と比較して、他の代理店に乗り換えられると、代理店である管理会社の損失になるというのだ。

 「何でも管理会社任せにしているマンション管理組合は、管理会社が提案する高い保険料で保険更新をしているケースが多い」と木村氏は指摘する。管理会社任せにしているマンション管理組合は、管理に無関心でいるために必要な管理費や修繕積立金が不足し、工事の度に一時金を徴収するようになりがちである。そういうマンションは、適正な時期に修繕工事もできないために資産価値も下がる。共用部分の保険を見直すことも、理事会や管理組合の重要な業務だと理解すれば、無責任に管理会社に丸投げすることはない。

 マルエイソリューションの小川氏によると、「マンションの事故率は、更新の半年前までの事故件数を計測して算出します。そのため、確実な見積もりが出るのは、保険会社にもよりますが、半年前~4カ月前ごろです」。つまり、4カ月前になれば各社とも見積書が出せるということだ。更新の前月になって慌てるよりも、早めに見積書を受け取っておきたい。


マンション総合保険見直しのポイント⑤ 相見積もりを取って比較する

 管理組合が提示してくる火災保険の見積書が、1社分しかないのであれば注意が必要だ。先ほど説明したように、管理会社が保険代理店となっている場合は、意図的に相見積もりを避けている可能性もある。保険に限ったことではないが、こうした契約は複数社から見積もりを取って比較するべきだ。

 マンション総合保険の保険料は、建物の規模や構造、築年数、補償内容、前期までの事故率などをもとに、保険会社各社が独自に計算している。そのため、同じ条件で見積もりを取ったとしても、保険会社によって保険料に大きく差が出る場合がある。

 火災保険に限らず、保険は複雑でわかりにくい。そのため、専門家や代理店にお任せになってしまうのだが、同じ補償条件でも保険会社で保険料が大きく異なる。相見積もりを取るだけでも保険料の違いがわかり、簡単に保険料の節約が可能だろう。

 マンション総合保険の保険料は、思った以上に値上がりしている。普段、関心を持っていない人も、これを機に気を付けてチェックすることをすすめる。個人の火災保険についても同様で、想定以上に値上がりすることがあるため、一度、見直してみた方がいいだろう。」

 私の住んでいるマンションでも全体で6棟のマンションがそれぞれマンション総合保険を契約していますが、保険会社・付保率・特約の内容と、管理組合でそれぞれバラバラの状況です。保険見直しの際には、保険会社を理事会に呼んで、補償の内容と、過去の支払例等のヒアリングを行い、さらに同条件で、保険会社数社による見積もりを徴収して、保険の更新をおこなうべきだと思います。

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