2023年1月27日の廣田信子さんの表題のブログを紹介します。
「国土交通省は、昨年12月16日に閣議決定された2023年度税制改正大綱において、「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)を、盛り込みました。管理計画認定制度を後押しする施策と言われています。
この税制改正の要点は、管理計画認制度の認定を受けたマンションにおいて、長寿命化工事(屋根防水工事、床防水工事、外壁塗装工事)が実施された場合に、その翌年度に課せられる建物部分の固定資産税額が減額されるというものです。マンションの区分所有者にはお得な制度ということになります。
ただし、長寿命化工事のために、修繕積立金を一定以上引き上げ、管理計画認定を受けていることが条件です。ということは、修繕積立金を値上げしなくとも、管理計画認定を受けたマンションは、対象外となります。
また、自治体の助言、指導を受けて「適切に長期修繕計画の見直し等をした場合」も対象となります。その場合、修繕積立金を認定基準に引き上げることまでは、求めていないといいます。管理不全の心配があるマンションが、何とか最低限修繕積立金の引き上げを行い、長寿命化工事を実施した場合も含むのです。
減税割合は、1/6~1/2の範囲で自治体の条例で定めることとなります。建物部分の100平米までが対象だといいます。国土交通省は参酌基準を1/3としています。
自治体も、いきなりのことでびっくりしたことと思います。
そして、対象となるマンションの要件は、
・築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
・長寿命化工事(屋根防水工事、床防水工事、外壁塗装工事)を過去に1回以上適切に実施していること
・長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること(管理計画認定制度の認定は、それに当たると考える)
これは、管理計画認定制度の浸透や、管理組合が認定制度に取り組むこと意欲向上も目指しているとのことです。なお、特例措置の対象は、2023年4月1日~2025年3月31日までの間に、完了した長寿命化工事が対象になります。
今、管理計画認定制度の検討を始め30年の長期修繕計画と修繕積立金の改訂を考え、規約の改正も含めて、総会決議をする。これは、管理組合にとっては大変だと思います。
そして、修繕積立金を値上げして、認定を受けたマンションが、ちょうど、大規模修工事の検討をしている時期で、2025年3月31日までにその大規模修繕工事が完了する。
忙しいスケジュールだと思います。
むしろ、管理不全の兆候があるマンションが、自治体の指導を受け、何とか、最低限の修繕積立金の値上げをして、長寿命化のための工事を実施する…その方が、現実的かも知れません。
でも、今後、もし、特例措置が延長され、2025年という条件が取れたら、国土交通省は、状況を見て、必要に応じて検討するといいますが…。
管理計画認定を受けることが、区分所有者の固定資産税の減額につながることになります。
それが広がると、管理計画認定を目指すことが受け入れられていくのではないかと思います。
修繕積立金が上がっても、管理計画認定を目指すことが、分かりやすく説明できることにもなります。
時間はかかっても、長寿命化を目指すことを合意形成して、管理計画認定マンションを目指すことが、国の評価、社会での評価につながる…そういう方向に行くような気がします。それが今、必要なのです。
長寿命化を目指して、必要な修繕積立金を積み立ててもらうことは、国にとっても、マンションの未来にとっても、もう待ったなしのことですから…。」
マンション長寿命化促進税制が発表されて以来、その内容に対する問い合わせが増えています。この制度は、大規模修繕工事を控えているマンションが、管理計画認定制度を取得するために基準に合うように修繕積立金を引き上げたマンションのみが対象で、大規模修繕工事を完了した翌年の建物部分の固定資産税が1回のみ減額される制度です。高松のファミリーマンションで考えると1/3の約2万円が減額されることになります。
ただし延床面積が5000㎡未満のマンションの場合、現在の修繕積立金が㎡あたり155円だとすると、認定取得のためには235円まで引き上げる必要があります。マンションの専有面積が70㎡だとすると、月々の修繕積立金が5600円増加することになります。
20000円の減税のために、年間67200円の修繕積立金をアップするかと言うと、躊躇する管理組合が多いのが実情です。
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