今回は給水管更新工事のお話です。給水管が亜鉛メッキ鋼管や塩ビライニング鋼管(接手部が鋼管)の物件では、築30年近くが経過すると、給水管が錆びて穴があき、漏水事故が発生してきます。事故が頻発してくると、給水管の交換を検討する必要があります。
亜鉛メッキ鋼管の物件では赤水対策として、築15年程度で更生工事(配管内部に樹脂パイプを差し込む工法等)を実施し、その後、更新工事を行う物件もありましたが、現在は、更生工事は実施せず、更新工事だけを行うことが一般的です。更新工事を行い、ポリブデン管等に変更した物件では、その後50年超の耐久性があり、マンションの寿命が尽きるまで、ほぼ給水管の交換工事は不要となります。
更新工事の実施時期は
更新時期の実施時期は、長期修繕計画では30年程度で想定されていると思いますが、亜鉛メッキ鋼管でなければ、もっと遅くても大丈夫だと思います。給水管の漏水事故が頻発しだしたら、そろそろ実施時期だなと考えてもいいのではないでしょうか?業者が、蛇口にガーゼをつけて赤水を見せたり、内視鏡調査でサビこぶ等の写真を撮ったりして売り込みをするケースもありますが、ただちに実施しなければならないというケースは稀だと思います。また、赤水対策として、磁石を配管廻りに設置する商品も売られていますが、効果はほぼないと思います。
給水管更新工事の問題点
管理組合が修繕積立金を使って、本来行う工事は共用部の給水管更新工事であり、専有部の給水管の更新工事は、各区分所有者が各自で実施するべきものです。しかし実際に水漏れが発生しているのは、専有部の給水管部分からであり、専有部の給水管を交換しなければ、問題は解決しません。多くの管理組合は、共用部・専有部をあわせて、修繕積立金を使い更新するケースがほとんどです。この場合、住戸内を先にフルリフォームし、給水管の交換を実施した住戸は、対象外となります。また、すべての給水管を更新する場合は戸当たり100万円超の費用が発生します。
住戸内の対応
住戸内の給水管を更新する場合、メーターボックスからどのように配管していくかが問題となります。一番費用が安いのは露出配管ですが、見栄えが良くないため、一般的には床下や天井裏のスペースを使って配管します。その場合、室内に点検口を何か所が設置する必要がありますので、入居者の了解が必要になります。また、洗面化粧台・キッチン・ユニットバス等の一部を撤去して水栓につなぎ込む必要があります。給水管工事に併せて、これらの住設機器の交換工事を入居者負担のオプション工事で安価に実施することも、入居者の満足度アップに繋がります。
給水方式の変更の検討
給水管更新工事に併せて、給水方式を変更することも、多くあります。高架水槽や受水槽を撤去し、直結増圧給水に変更することで、水質検査費用や水槽の清掃費用を削減し、高架水槽撤去による耐震性の向上や、受水槽撤去跡地の敷地の有効活用が図れます。
まとめ
香川県では、マンションの築年数も比較的新しいこともあり、給水管の更新工事の事例は多くないと思います。2回目の大規模修繕工事が終われば、管理組合の次の課題として、給水管更新工事の検討も必要になってくるでしょう。東京でいた頃は、給水管更新工事のセミナーが結構色々なところで開催されていました。今後も情報収集しながら、備えていきたいと思います。
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