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給湯器の品不足が深刻、不動産オーナーに打撃

執筆者の写真: 快適マンションパートナーズ 石田快適マンションパートナーズ 石田

更新日:2021年12月20日



 2021年11月17日の楽待不動産投資新聞に表題の記事がありましたので紹介します。


「給湯器の在庫不足が深刻化している。部品の製造工場があるベトナムで、新型コロナウイルスの感染者数が急増、ロックダウンが実施されたことで、部品が日本に輸入できなくなったことなどが要因だ。本格的な冬が近づく中、消費者やリフォーム業者の間で不安の声が広がりだしている。


在庫が通常の「半分以下」も

 給湯器で国内シェアトップのリンナイは、自社サイトで給湯器の「生産に支障が出ている」と発表。新型コロナの感染拡大の影響を受け、11月5日時点で入荷の目途が立っていないという。



 給湯器は住宅に必須の設備だ。給湯器がなければお湯を使うことができず、入居者の募集はままならない。実際、住宅の新築やリフォームの現場には大きな影響が生じている。

 「自社で保有する在庫が減る一方で、品薄でメーカーからの入荷もできない。かなり苦しい状況です」こう話すのは、神奈川県を中心に、賃貸住宅設備の修理や施工を行っている、株式会社ライフエイドの小笠原弘宜代表だ。


 小笠原さんによると、給湯器の故障で交換の需要が高まるのは、気温が低くなってくる11月ごろ。冬場は水温が低くなることから、お湯を沸かすために給湯器により大きな負荷がかかるため、故障も増えるのだという。この時期、給湯器の交換依頼は「多い月で100件以上にもなる」と小笠原さんは説明する。会社には現在、20~30台の在庫があるが、「(在庫数は)これで例年の半分ぐらい。需要を考えるととても足りません」と悲鳴を上げる。また現在抱えている在庫も、物件によってはそのまま使えないこともあるのだという。

「給湯器は同じように見えてさまざまなタイプがあります。設置方法や給湯方式、給湯能力などによって使用できるタイプも異なるので、在庫がどんな物件にも使用できるわけではありません」(小笠原さん)

 適した給湯器が在庫にない場合は、メーカーに発注することになる。通常であれば発注後1~2日程度で入荷されるが、現在は入荷の時期が見通せない状態だ。「メーカーに問い合わせても明確な回答が得られず、少なくとも年内の入荷は難しそうです。この状態がいつまで続くのか、まったくわかりません」と、小笠原さんは頭を抱える。現在、給湯器の交換を待っている顧客が50組ほどいるという。

 一方、業者によっては在庫を持っている場合もあるため、故障などで交換が必要な場合は問い合わせてみるとよいだろう。通常、問い合わせを受けてから現地で調査を行い、設置状況などを確認、設置してある給湯器と同じタイプの在庫があれば、在庫の給湯器を使って交換工事を実施、という流れになるという。

 なお、給湯器の寿命は一般的に10年程度が目安とされる。「大家さんは、設置されている給湯器の製造年を確認し、壊れる前に交換工事を進めておくなど、先回りした行動を取ることが重要だと思います」と小笠原さんは話す。



 給湯器に貼っているラベル。「21.04」が製造年月で、2021年4月に製造された給湯器だとわかるそうだ


 なお小笠原さんの会社では、緊急の対応として、一時的に給湯器を貸し出すレンタルサービスを行っているという。


築古物件を購入も、リフォームが進まず

 不動産オーナーにはどのような影響が出ているのだろうか。

 「給湯器の納期が2~3カ月遅れているため、リフォームが進んでいません」。こう話すのは不動産投資歴5年のC.Yさん。現在、11棟100室を保有している大家だ。C.Yさんは11月上旬、北関東にある築40年の築古一棟マンションを約5000万円で購入。具体的なリフォーム計画や事業計画を立てたことで、金融機関からほぼフルローンで融資が下りた。全30室で、現在は3室のみ入居者がおり、空室になっている27室の内装リフォームを1000万円かけて行う予定だ。

 年内に全室のリフォームを終え、引っ越しシーズンの年明け1月から賃貸募集を始めたいと考えていたC.Yさんだったが、その矢先、給湯器不足の問題に直面した。

「リフォーム会社と打ち合わせをしたところ、空室になっている27室すべての給湯器を交換する必要がありました。物件がプロパンガスのため、プロパンガス会社を通してメーカーに給湯器を発注したのですが、今のところ納品時期の回答は来ていません」(C.Yさん)

 給湯器の納期が遅れたことで、年内に終了させる予定だったリフォームは大幅に遅れる見込みだという。給湯器の他にも、温水洗浄便座の輸入が遅れているためにトイレの入荷も遅れている状況だ。現在は国内に給湯器やトイレの在庫がないか設備会社や問屋に問い合わせつつ、床や壁などリフォームを行えるところから順にリフォームを行っている。


1日500円の「銭湯代」を支給

 すでに稼働中の物件で給湯器が故障してしまった場合、大家としてどのような対応ができるのだろうか。東京23区内を中心に一棟マンション、戸建てなどを保有する実践大家コラムニストの「投資自由人・テリー隊長」さんは、給湯器が壊れてしまった部屋の入居者に、1日500円の「銭湯代」を支給する対応を取っている。


 不動産投資に関する知識を初心者にもわかりやすく説明することで好評のテリー隊長さん

「11月の初めごろ、管理会社から『給湯器が故障した部屋がある』と連絡を受けました。すぐに交換工事をするように管理会社に依頼したのですが、すでに給湯器不足が深刻化していて、仕入れることができなかったんです。私も知り合いの設備会社や問屋に連絡を取りましたが、やはりダメでした。これまで20年間大家をやっていますが、こんなことは初めてです」

 その後テリー隊長さんは、給湯器の交換までに数カ月かかりそうだということ、また給湯器が交換できるまでの対応策として、1日500円の銭湯代を支給することを入居者に伝え、納得してもらったという。

「月間で1万5000円前後の出費にはなりますが、これは大家として支払うべき費用だと思いました。このような緊急事態下で入居者のサポートを行うことは、大家としての義務ではないでしょうか」


 給湯器不足はいつ解決に向かうのだろうか。リンナイの広報担当に問い合わせたところ「現時点では明確な回答はできない」ということだった。給湯器不足によって、不動産オーナーや設備会社の業績、入居者の生活環境に大きな影響を与えることも考えられる。物件を保有しているオーナーは、各部屋に設置されている給湯器に問題がないか確認しておくことが重要と言えるだろう。また、これから物件を購入するオーナーも、内見時に給湯器を交換しなければならないのか、目を配ってほしい。」


 先日のテレビでも、半導体の品不足による、自動車や携帯電話等の品薄状態が報じられていました。給湯器や家電製品も、同様にコロナによる工場休業と、半導体不足により、記事にあるように品不足な状況になっています。昨年は、半導体工場の火災によりインターホンも、供給できない状況がありました。記事にもありますが、給湯器交換から10年超の製品を使用しているお宅では、注意が必要です。


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