2021年4月14日の日本経済新聞の表題の記事を紹介します。
「毎年、東京都内で大量の分譲マンションが建てられる一方で、既にある建物の老朽化が着実に進んでいる。東京都が都道府県で初めて、マンションの適正な管理を促す条例を施行して1年。管理が不全で将来、問題になるだろう物件の規模などが徐々に浮かび上がってきた。
外壁や内装は劣化していて外から見ると空き室が目立つ。ベランダにはゴミが山積みされ、管理組合もない。このような「かなり深刻な状況の建物が少なくない」と、都の委託で物件を調査したマンション管理士は話す。住人を探して話を聞こうとすると「もう来ないでくれと言われるのですよ」と嘆く。
都は2020年4月からマンションの管理状況の届け出を義務付ける制度を始めた。届け出がない物件などには立ち入り調査し、指導や勧告をする権限も条例に明記した。「行政が関与して状況を把握することが重要だ」と都の鎌田毅仁・前マンション施策推進担当課長は話す。届け出対象は1983年以前に建てられた6戸以上の物件で、約1万4千棟ある。都内の分譲マンション全体の4分の1に上る。
都がすべてのマンションに調査票を郵送したところ、約2割が返送されてきた。管理組合用の郵便受けがなく、管理人もいないような建物だ。こうした物件については約120人のマンション管理士が1棟ずつ現地を訪れ、管理者などを調べた。届け出の期限だった昨年9月段階では回収率は低かったものの、区市町村を通じて督促し、今年3月末現在では7割近くになったという。
昨年10月の中間集計を見ると現状が分かる。計画的な修繕をしていない建物が7.8%、総会を年に一度も開いていない物件が3.4%あった。そもそも2.2%には管理組合がない。適正に管理するうえで最低限必要な項目を1つでも満たしていない物件は合計で12%に上った。調査にあたった管理士らの話も総合すると、放置すれば管理不全に陥る物件は都内に2500棟程度あるとみられる。一部を除くと建て替える予定などもない建物だ。
都は無料で専門家を派遣する制度を用意しているが、新型コロナウイルス禍もあって利用は低調だ。これまで管理に問題があるマンションの全体像すら分からなかっただけに今回のデータは貴重だが、荒廃を防ぐ次の一手が難しい。」
2500棟が管理不全マンション予備軍だとすると、築35年超の旧耐震マンション1万4千棟の20%弱が、管理不全マンションの予備軍ということになります。
高松市のマンションで旧耐震物件は32棟、同じ比率だと仮定すると、約6棟が管理不全マンション予備軍ということになります。高松市では、現在市内の分譲マンションに管理状況のアンケートを実施しています。来年度のマンション管理計画認定制度の制定以降、これらのマンションへの対応が必須となってきます。
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