第99代総理大臣に菅義偉さんが選ばれました。菅さんの総裁選のキャッチフレーズが「自助・共助・公助そして絆」でした。
自助・共助・公助は、災害時の対策でも良く使われる言葉です。今回は、この「自助・共助・公助」とマンションの防災対策について、お話したいと思います。
自助・共助・公助とは
「自助」とは災害時に自分自身の命は自分で守ること。「共助」は町内会や隣近所の人が協力して助け合うことで、管理組合活動はこの共助にあたります。「公助」は国や自治体が災害時に行う対策です。
この考え方は米沢藩九代藩主、上杉鷹山の「三助の実践」が始まりといわれており、藩をうまく運営していくために考えられました。なんでもかんでも藩に頼るのではなく、個人・隣近所で助け合い、最後に藩が援助するということで、上杉鷹山は財政が破綻していた当時の藩を、この考え方で立て直したと言われています。
具体的な対策
それでは、「自助」と「共助」について、具体的な防災対策を考えていきましょう。
自助とは
防災の基本は、まずは「自助」です。自分の身は自分で守る、そのためには以下のような準備が必要です。
① 最低3日分の非常食の用意
最低でも3日、できれば7日間の非常食の準備が必要です。大人1人分の3日間の食料の例を以下に示します。
・水3L(1.8Lのペットボトル2本)
・カップ麺3個
・レトルト食品3パック
・缶詰3缶
・ご飯(レトルト)6パック
カセットコンロ・ガスカートリッジ等の用意も必要です。
② 防災用簡易トイレ
マンションの場合、トイレの排水管が途中で折れて使用できないことも考えられます。4人家族で1週間の簡易トイレが必要な場合、60~200個の簡易トイレが必要になります。
③ ハザードマップ・避難ルートの確認
2016年にハザードマップの基準が改正され「1000年に1度の想定最大規模の降雨」による浸水に改められました。必ず、最新版のハザードマップを確認してください。津波発生時には、マンション上階への避難の必要性についても検討しておきましょう。マンションは木造の戸建て住宅に比べて、頑丈であり、避難所への避難は、あまり必要ありません。
④ 家具の転倒防止対策
阪神大震災でも、死者の多くは戸建て住宅の倒壊や火災による死者でした。マンションは一部崩壊したマンションもありましたが、危険なのはタンス等が倒れてきて圧死することです。高層マンションの上階では、横揺れがひどく、食器が飛散したり、家具が大きく横移動してケガをすることも考えらえます。
共助とは
マンション管理組合が実施する対策になります。
① 防災マニュアルの策定
事前準備として、あらかじめ防災マニュアルを作成しましょう。防災委員会を結成し、災害時の役割分担や、備蓄品の準備、防災訓練の実施等を行います。
② 自主防災組織の設置
地震等の災害が発生したら、防災マニュアルに従って自主防災組織を立ち上げます。集会室等を対策本部とし、自治会等行政との連携や、高齢者の見守り、備蓄品の分配等の業務を行います。
③ 入居者の安全確認
まず最初に実施する必要があるのが、各住戸の入居者の安全確認です。過去の地震でも、玄関ドアが曲がって、部屋から出られない等の事例が多く発生しています。そのような場合には、外部からバール等を使って玄関ドアをこじ開ける必要があります。家具等に挟まれていないか?各戸を訪問して確認をする必要があります。また、居住者名簿に基づいて、連絡が取れない場合にも、親族に連絡を取る必要もあります。
④ 防災倉庫の備蓄品
水・食料・簡易トイレは、個人で用意するとした場合、以下のようなものを備蓄する必要があります。
・発電機・投光器・大型懐中電灯・コードリール・電池
・バール・のこぎり・ジャッキ・スコップ・土嚢袋
・救護用品・カラーコーン・ロープ・ハザードテープ
・マンホール直結型簡易トイレ
⑤ 防災訓練の実施
以下に、震災に特化した、訓練の順番を記載します。
1、入居者は各戸玄関外側に「無事を知らせるステッカー」を掲示
2、近隣住戸の安否確認・声かけ
3、対策本部への安否報告
4、防災倉庫の備蓄品確認
防災訓練は、できるだけ多くの入居者が参加することが重要です。訓練後に、非常食の試食会を実施したり、実際に炊き出しを行ったりして、多くの参加者が参加できるようなイベントを実施することも重要です。
⑥ 日頃のコミュニケーション
隣近所にどんな人が住んでいるか?日頃から、挨拶をしてコミュニケーションを取っておくことが最も重要になります。東日本大震災でも、人と人の絆が重要視されました。困ったときはお互い様で、助け合うことが、災害時には一番大切だと思います。
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