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規約に社名、管理会社変更は困難

執筆者の写真: 快適マンションパートナーズ 石田快適マンションパートナーズ 石田


 2024年3月22日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。


「広島県内にある築約50年の分譲マンション(約20戸)は昨年6月、住民自ら管理する自主管理から、管理会社に任せる「第三者管理」に変えた。新しくなった管理規約には、こんな記述が新たに盛り込まれた。

 「管理者は、○○(管理会社名)もしくはその指名する者とする」

 管理会社が示した規約を見た住民の70代男性は「もし管理会社の業務に不満があっても解任が難しくなる。何も対抗できない」と感じた。

 規約を変更するには区分所有法で、総会で区分所有者(住民ら)と、所有する床面積に応じて与えられる議決権でそれぞれ4分の3以上の同意が必要になる。

 男性は規約から会社名を抜くことなどを提案したが、反対多数でそのままになった。今も規約に会社の固有名詞が記載されているため、管理会社を簡単には変更できない状態にある。

 そもそも、第三者管理へ移行したのは、理事会役員のなり手がいなくなったことがある。小規模マンションで、住民の平均年齢は70代と高齢だ。約4年前に理事を輪番制にして順番を決めたが、理事を断る人が増えて長続きしなかった。

 1カ月の管理費は3千円で、修繕積立金は7千円。管理組合には2千万円の積み立てがある。しかし、管理組合の印鑑は管理会社の手元にあり、管理状況をチェックする監事も置いていない。「住民が管理に無関心でいる間に、管理会社に使われて、いつの間にかなくなってしまうのでは」と不安はぬぐえない。

 国土交通省が昨年2~3月に管理会社45社に実施した調査では、20%が管理規約に管理者として管理会社の社名を「記載している」と回答した。国交省の担当者は「管理会社を変えたり、第三者管理をやめたりするのが難しくなり、囲い込みにつながる」と問題視する。管理組合の口座の通帳と印鑑を「どちらも管理会社内で保管」と答えたのは76%だった。

 国交省は対策に乗り出し、昨年10月から第三者管理のガイドライン改訂に向けた有識者会議をスタートさせた。2017年に初めて策定したときは、管理者はマンション管理士などが対象で、管理会社は想定せず、ルールは未整備だった。

 今月下旬にまとめる予定の改訂案では、規約に管理者の固有名詞を記載しないことを促す。このほか、管理会社の解任については、総会によって選任して、解任できる規定を設けることを求める。

 ほかにも、管理会社が修繕工事をグループ会社に割高に発注するなど、問題が相次いでいることを受けた対応策も盛り込む。

 不正や不当なもうけがないかをチェックする監事を管理組合に設置し、マンション管理士や弁護士など専門家から選ぶよう求める。修繕積立金をためる預金口座の印鑑などは監事が管理することを促す予定だ。

 有識者会議の座長を務める早大大学院法務研究科の鎌野邦樹教授(土地住宅法)は「標準的なルールを定める意義は大きく、悪質な業者は市場原理で排除されることが期待される」と話す。

 ただ、ガイドラインには強制力がない。管理会社の監査を義務付けるなど、より踏み込んだ仕組みを求める声もある。鎌野教授は「ガイドラインの実効性を考慮し、問題が今後も大きくなれば、立法による制度導入もあり得る」と話す。」


 この記事に書かれているように、管理規約に第三者管理を行う管理会社名が記載されていると、この会社から他の会社に変更するためには管理規約の改正が必要になり、特別決議(議決権総数の4分の3以上の賛成)が必要になります。通常であれば理事会役員の選任や、管理会社の変更は普通決議(出席者の過半数)で決議できるので、第三者管理の変更が一気にハードルが高くなってしまいます。また、そもそも総会議案に自身の会社の変更を議案書として挙げるか?という疑問もあります。第三者管理を採用する場合には、解約方法も含めて、事前に十分検討する必要があります。


 
 
 

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