解体費積み立て、次世代へ負担残さない
- 快適マンションパートナーズ 石田
- 2 日前
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2025年2月8日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。
「マンションの「終着点」を見すえて、解体費用を積み立てている分譲マンションが東京都板橋区にある。都営三田線の高島平駅近くにある「高島平ハイツ」だ。
元理事長の篠原満さん(78)は「将来世代が困らないように、せめて形として解体するお金だけは残しておきたいとの思いだった」と話す。
全95戸で築50年を迎えた。2022年の管理組合の総会で、建物の一部が耐震性のある構造で大きな問題がないことなども踏まえ、築80年まで使うことを決めた。合わせて決めたのが、解体費用の積み立てで、総会では反対意見はなかったという。
きっかけは20年ごろに持ち上がった建て替えの検討だ。見積もりを出してもらうと、建て替え費用は計約20億円。1戸あたり約2千万円が必要になる計算だった。
建て替えをあきらめ、より低い金額ですむ解体に切り替えた。費用は2億5千万円ほどで、修繕積立金の1割を解体費用にあてていく計画だ。
ただ、建物を長く使う長寿命化の工事もしており、5年ごとの長期修繕計画の見直し次第では80年以上使い続けることもあるという。
篠原さんは「まずゴールを決めないと修繕積立金の算定ができず、長期の修繕計画が作れない。みんなで建物を将来どう使っていくのか方向性を出せたのがよかった」と話す。
同じ板橋区にある「カステル蓮沼」(築51年、52戸)も、築80年以降に解体する可能性を想定して、約9200万円を積み立てる計画を立てる。
理事長の塩川孝史さん(73)は言う。「これは最終的な義務だと思う。子や孫世代に1戸200万円ほどの負債を残すのはどうなのか。負債がないことはマンション全体の魅力にもつながる」
板橋区のマンション条例では、修繕工事では維持が困難になった場合、除却または建て替えを考慮して、長期修繕計画を作ることを努力義務として盛り込んでいる。解体や建て替え費用の積み立てを求めるもので、マンションの寿命を迎えた際にかかるコストを考えてもらう狙いがある。
ただ、実際に積み立てている管理組合は少ない。区住宅政策課の杉田広司さんは「解体費の積み立てをお願いしても、『解体する次世代のことを考えるのは難しい』などといわれる。応じてくれるところは多くないのが実情だ」と話す。
国も危機感を募らせる。今月7日に国土交通省のマンション政策を議論する有識者会議に示された、とりまとめ案には「解体費用の確保が課題になるため、当該費用の確保手法について検討を行うべきである」と盛り込まれた。国交省の担当者は「最終的に自治体が全額を公費で解体することは避けなければいけない」と話す。
管理組合のコンサルタント業務などを行う「メルすみごこち事務所」(東京)の社長で、マンション管理士の深山州さんは「いつ解体するのかという住民の合意を取ることは、家計状況や価値観などがかかわり容易ではない。だが、建て替えや解体、長寿命化など終活のオプションはいくつかあり、少なくとも方向性は早めに合意をとることが必要」と指摘する。
今後、多くのマンションが、建物の老朽化と住民の高齢化の「二つの老い」に直面する。深山さんは「これまでマンションを『建てる』『買う』ことが注目されてきた。今後は締め方が大きな課題になり、住まいの終活に目をむけるタイミングに来ている」と話す。」
マンションを何年使うかを決めるのは重要なテーマです。ただ、現在築40年で80年までもたせるとして、後40年、既に60代になっている住民ではなく、その後の子供や孫の世代が考える問題になります。事前に解体費用を貯めていれば確かに安心ですが、ただでさえ修繕積立金が不足しているマンションでは現実的ではありません。現在でも修繕積立金を1回行うには戸当たり100~150万円程度は必要です。解体時期まで修繕積立金を貯め続ければ、解体費用はある程度確保できるように思います。
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