2023年3月5日の現代ビジネスの表題の記事を紹介します。
「マンションの資産価値とは
5年後、10年後にいくらで売れるのか? 20年後の資産価値はどう評価されるのか? ということの方が大切だ。ありていに言えば、「マンションの資産価値」というのは、「中古物件としていくらで売れるか」ということなのである。
40%の利益率で販売されたマンションの場合、新築時の販売価格がその時点での市場価格を1~2割程度上回っていることがほとんど。利益率5%のマンションは、その時の市場価格並みか、やや低めであるケースが多い。
実は「新築時にいくらで販売されていたか」というのは、築年数が浅い場合に限れば、中古として取引される際に「多少」影響する。今はネットで多くの情報が公開されている。中古マンションの新築時販売価格も、その気になって調べればすぐにわかる。中古で購入を検討している方も「これは○年前の新築時に○○○○万円だったから」ということを参考にする。はたまた、売却する側も、同じマンションで売り出されている別の住戸について、「あそこは新築時の価格から○○○万円下げて(上げて)いるから」ということを指標に使う。
しかし、そういうことを気にするのはせいぜい築10年くらいまでである。築20年になった中古マンションについて、「このマンションは新築時に○○○○万円だった」ということがたとえ話題になったとしても、それは遠い昔の話。そんなことよりも、駅からの徒歩分数や修繕積立金の残高といった、そのマンションの持っているさまざまなスペックの方がより影響する。
結論を言えば、利益率が40%の割高物件でも5%の市場価格物件でも、新築時の販売価格が資産価値に多少なりとも影響するのは、築10年まで。それ以降は、その物件そのものについて評価される。したがって、やはり割高なマンションを購入してしまうと、その割高分だけはキッチリと余計に払わされたことになるのだ。高いマンションを買ったからといって、マンションの格差競争でアドバンテージを得たことにはならない。
「割高」な物件を避ける方法
とは言っても、これまでの人生で不動産取引をほとんど経験したことがない人が、市場で販売されている新築マンションの販売価格が割高なのか、相場並みなのかを見分けることは難しい。相場観を養うためには、エリアを定めて1年ほどいろいろな物件をチェックするのが一番だ。そうすれば、物件ごとに「高い」「安い」「相場並み」ということが判断できるようになる。しかし「1年も待てない」という人も多いだろう。また、多くの人にとって日々の仕事も忙しいはず。
ひとつの方法としては、もし購入を検討している新築マンションが、周辺エリアで売り出されている築年数の浅い中古物件の価格と比べて、あまりにも高いようであれば、手を出さないことをおすすめする。新築マンションの価格には通常「新築プレミアム」という上乗せ分が含まれている。都心近郊なら2割程度がひとつの目安。それ以上、中古物件価格から乖離している場合は、避けた方が無難だ。
逆に、周辺エリアで条件が類似した中古マンションの売り出し価格とあまり変わらない場合は「割安」であるともいえるが、そういう物件を一般の方が見つけ出すことはかなり難しいだろう。
そこで本項では、「割安な物件を見つける」というプロでも難しい高度な技ではなく、「割高な物件を避ける」という初歩的なテクニックを紹介しておこう。それは、新築マンションの良し悪しを広告で見分ける方法である。
普通の人が新築マンションを探す場合、まずはネットの不動産ポータルサイトにアクセスする。リクルートが運営する「SUUMO(スーモ)」、「ヤフー不動産」や「HOME’S?(ホームズ)」といったサイトだ。これらのサイトでは、多少の違いはあるものの、多くの新築マンションの情報が見やすく整理されている。また、さまざまな検索機能を利用することで、自分の条件に合った物件を見つけやすいようにできている。
しかし、私は検討するマンションのオフィシャルページを見ることをおすすめしたい。新築マンションの物件ごとに作られている、オリジナルのホームページだ。理由は、そのマンションの売主が何を考えているのかがわかるから。
当たり前だが、そのマンションについて誰よりもよく知っているのは、売主の事業責任者(プロジェクトマネージャー)である。たいていが課長クラス。入社10年以上20年くらいまでが多い。年齢は30代から40代前半になる。通常、新築マンションの広告でどのような表現を用いるかは広告代理店が提案するのだが、最終的にどの案を採用するのかはその事業責任者が判断する。彼らの思考は、ほとんど同じだ。
「マンションのウリ部分を力強く打ち出し、都合の悪い部分は見せない」
新築マンションの広告宣伝を行うなど、約30年間不動産業界に身を置いてきた私が知る限り、新築マンションの広告は、ほとんどがこのスタイルで制作される。
オフィシャルページで確認すること
オフィシャルページにたどり着いたら、まずトップページでどんなことが表現されているかを確認しよう。そこで叫ばれていることが、そのマンションで最もウリになるポイントなのである。わかりやすいのは、ロケーションのアピールだ。
「○○駅徒歩3分」というのが出ていれば、それが一番のウリ。「○○公園ビュー」だとか「桜並木が……」というのもある。東京の世田谷あたりの住宅地だと、地名を前面に押し出しているケースもよく見る。はっきり言って、立地やロケーションをアピールしているマンションは、まだ健全であるといえる。
マンションの価値というのは9割が立地で決まる。詳しくは後述するが、便利な場所にあればあるほど、マンションの価値は高く評価される。「駅から徒歩3分」というのは何ともそっけない印象を与えるが、実際はそこが最も重要な「スペック」なのだ。だから、そういう直截的な表現も悪くない。
中には、トップページでいきなり価格が表示されている場合もある。そういった場合、事業責任者は「このマンションは他と比べて価格で勝負できる(価格で勝負せざるを得ない)」と考えている証左である。これも基本的には悪くない(ただし、実際に割安な場合もあるが、場所がよくないから安くしているだけのケースもある。どちらかというと後者が多い)。
最も注意すべきは、「何を言いたいのかわからない」広告だ。トップページで、そのマンションにほとんど関係なさそうなビジュアルやキャッチコピーが表示されていたら、要注意。「……未来プロジェクト」「……幸福計画」といった具合だ。あるいは「HAPPY……」とか「……DAYS」といった、具体的なイメージを想像できない英語がキャッチになっている場合も気をつけた方がいい。それはすなわち「大声で伝えるべきメリットがない」ことの裏返しである場合がほとんどである。そういった時に多くの担当者は、マンションのスペックや特徴とは関係ないイメージ表現でごまかそうとするものだ。
タレントやキャラクターが出ているのも注意が必要だ。広告業界で言うところの「客寄せパンダ」を使って、消費者の目をくらませたい「何か」が、その物件にはあるのだ。たいていは、場所が悪いか割高かのどちらか。あるいは、その両方であったりする(その昔、「○○涼子」という名の有名タレントを使って「感度リョーコー」というキャッチコピーを打ち出したマンションがあった。これなど、消費者の目をくらませようとする典型的なケースであるといえよう)。
数年前に分譲を開始したある大規模マンションのキャッチコピーに、「天地創造」というのがあった。あまりにも現実離れしているキャッチコピーが使われているマンションの広告は「ポエム」などと揶揄されているが、そんな中でもこの「天地創造」は「傑作」のひとつだろう。
東京の近郊に生まれるそのマンションは、総戸数600戸余り。きっと「暮らしやすい住環境を作っています」ということが言いたかったのだろうが、はたしてマンション購入希望者にどこまでデベロッパー側の「真意」が伝わったかどうか。私は竣工後数ヵ月の時点で見に行ったが、半分も入居しているとは思えなかった(カーテンの有無でおおよその予想はつく)。やはり、場所の割には価格が高すぎる物件だった。
新築マンションのトップページは事業責任者の「心の鏡」である。そこには、図らずも本心が如実に映し出されている。注意して眺めれば、そのマンションの本質の一部を垣間見ることができるのだ。」
会社員時代にマンションを企画するときにも、まずは物件コンセプトを決めることから企画がスタートしていました。マンションの主購入層は、子育て世代なのか?単身者向けなのか?高齢者の2次取得層なのか?立地や学区、周辺の状況によって、マンションの性格は変わります。北向きでもあえてお城が見えるように企画したり、海に面したマンションでは、リゾート感を演出したり、物件のホームページのトップには、そのような物件のアピールポイントが表現されています。
また、この記事にもあるように、大型物件でタレントや大物芸能人が起用されるケースもありますが、当然その広告宣伝費用も高額であり、一般のマンションよりも販売経費がかかります。その分、マンションの価格も高くなっていることになります。
また、マンションの魅力をアップするために共用部に色々な施設や、小川や噴水・滝等が設置されるケースもあります。築数年たって現地を訪れるとランニングコストが高いために、それらの施設は廃止されているケースも多いです。
往々にして立地のよくないマンションで企画が優先されるケースが多いようにも思います。実際に生活しやすいのは、建物の形状はシンプルで、適度な街中にある50戸程度のマンションのように思います。
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