
少し古いですが2015年11月26日のダイアモンドオンラインの表題の記事を紹介します。
「ひょっとして管理費が高いかも?そう感じたら調べたい「5つの罠」
「うちのマンションは管理費が高いかも……」常日頃から、あなたはそう感じていないだろうか。
今回は、読者が気になるマンションの管理費の実態について分析し、お伝えしたい。「私のマンションの管理費、高いような気がするんだけど……」「管理費は削減できるのだろうか……」「マンションを買うときの管理費の目安が知りたい」と悩んでいる読者諸氏は、ぜひ参考にしていただきたい。
管理費分析のツールとなるのは、スタイルアクトが運営する物件比較サイト「住まいサーフィン」である。ここでは、1993年以降に分譲された首都圏2.3万棟のデータを基に、「管理費の実態」を調べ、公表している。そこで紹介されているデータを基に、分析していこう。
70平方メートルで1万4420円、1平方メートルあたり206円――。これが首都圏マンションの管理費(修繕積立金は含まない)の平均値だ。管理費は、管理会社への委託状況、共用施設の内容、エリアや新築時の価格(物件グレード)によって差がある。その傾向と相場を知ることは、購入してはいけない物件の見極めや高値売却に結びつく管理費の削減など、自宅の売買戦略に欠かせない知恵となるだろう。
では、管理費の実態を見抜く上でポイントとなる「5つのワナ」を、具体的に説明していこう。
【管理費の罠1】ワンルームの管理費単価はファミリータイプの2倍以上
第一の罠は、「ワンルームマンションの管理費単価はべらぼうに高い」ということだ。たとえば、平均面積10平方メートル台のワンルームマンションの管理費の平方メートル単価は436円と、平均面積80平方メートルのファミリーマンションの1平方メートル単価(178円)の2.5倍となる。同じ床面積となる規模のマンションで管理費がこれほど違うと、この違いはぼったくりの域と言ってもいいだろう。ワンルームは購入したオーナーが住むわけでもなく、管理組合に積極的に参加するわけでもなく、販売している会社の系列の管理会社に管理をやらせているのだから、業者は最大の収益を目論んでいると言われても否定できない。不動産屋の考えそうなことだ。これだから、不動産業界には情報格差を飯のタネにしているダーティなイメージがついて回ってしまうのだ。
ちなみに、各マンションの平均面積帯ごとに管理費単価を集計してみると、10平方メートル台の管理費は平方メートル単価436円、20平方メートル台は361円……というように、80平方メートル台までは面積が大きくなるほど管理費は安くなる。それが70~80平方メートル台で底打ちし、そこから先は面積が大きくなるにしたがって管理費が高くなる。
これは、面積が大きくなるとハイグレード物件の割合が増え、都心の高級住宅地に所在する場合が増えるためでもある。グレードの高い物件は、24時間警備やコンシェルジュの常駐、豪華な中庭や共用のスポーツ施設、プライベート感の強いエレベータなど、普通のマンションよりも施設やサービスが充実しているため、管理レベルが異なり、コストは高くなる。しかし、そもそもこうした物件の住人は充実した施設やサービスを求めているため、コスト負担もできるので、あまりもめることはない。

【管理費の罠2】マンションの単価が高いほど管理費は高くなる
第二の罠は、「単価が高いマンションほど、管理費は高くなる」というものだ。たとえば、マンションの70平方メートルの平均価格が3500万円以下だと管理費の平均単価は168円、1億500万円以上だと同462円と、約3倍の開きになる。70平方メートルに換算した場合、3500万円以下なら月額1万1760円、1億500万円以上なら同3万2340円となる。このマンション価格はほぼ立地を表している。都心か郊外かの違いだと言ってもいい。購入価格が3倍違うのだから、ローン返済も3倍違い、これに比例して管理費も3倍違うという関係にある。
そう考えると、妥当な金額なのかもしれない。物件価格の平方メートル単価が50万円の場合、その3.3倍÷1万円が管理費の単価と考えると、平方メートル単価100万円(70平方メートル×100万円=7000万円)のマンションなら、330円×70平方メートル=2万3100円が相場、というように計算しよう。
ここで言っておくべきことは、管理費は安ければいいわけではないということだ。マンションの品格、居住水準、住民の嗜好性に応じ、適度に設定されるべきものであり、その上で適正な価格が設定されることが望ましい。どんな共用設備があり、何が管理サービスとして受けられるのかを見た上で、「高い」「安い」を判断することになる。よいものを買えばメンテナンスコストもそれに応じて高くなるというのは、マンションに限ったことではない。
ちなみに、筆者のこれまでの経験からどういう施設がお金がかかる傾向が強いかを述べると、水を使ったものが圧倒的に多いと言える。施設内に水を流したり、噴水や池、温泉施設などがあったりするマンションは、水道代に加えて築年を経てからのメンテナンスコストも高くなる傾向があり、そのことが判明して水を流さなくなるマンションも後を絶たない。そもそもそこまで考えずに新築物件をつくったり、販売後は住民の管理組合が判断することだから関係ない、という思惑から販売の際に売りやすい設計を行なったりしてきた業界のスタンスが、見え隠れするというものだ。

【管理費の罠3】総戸数が多くても少なくても管理費は高くなる
第三の罠は、「総戸数が多過ぎても少な過ぎても管理費は高くなる」ということだ。管理費単価は、総戸数が50戸未満で221円、200戸未満で179円、600戸以上は207円となる。これまでと比較すると、それほど大きな違いではないが、「最も単価が低いのが100戸以上200戸未満」という事実は興味深い。
マンション管理には、管理人のコスト、エレベーターの点検・整備、エントランスや廊下をはじめ共用部分の清掃など共通してかかる費用があり、これを居住者が面積割で負担している。こうして共用の費用は所有している世帯数(正確には専有面積)で割るため、総戸数が少ないと管理費単価は高くなる結果となる。つまり、共用部分が華美で多過ぎても、負担する頭数が少なくても負担が重くなるのだ。
どちらの運営が厳しいかというと、総戸数が少ない場合の方が深刻である。改善される選択肢が少ないので、築年を経るに従って問題が悪化するケースが多い。総戸数が多ければ、一部のサービスを停止するなど選択肢があるぶん、何とかするこができる。
これをエレベーターで説明するとわかりやすいだろう。台数が増えると便利になるが、そのぶんコストが増える。このバランスが取れた水準は、戸数70戸に対してエレベーター1台がおおよその目安と言われている。そう考えると、35戸のマンションではエレベーターは2倍の負担になり、総戸数100戸ではエレベーター1台では不便だが2台あると割高になる。こうして結果的に、総戸数が100~200戸のマンションでエレベーター2~3台あたりが、おさまりどころがよくなる。
こうしたことは、機械式駐車場などにもあてはまる。住民にとっては、駐車場が多く設置されていると管理費が高くつき、逆に少ないとマンション内で駐車スペースを確保できずに近隣で探すという不便を味わうことになってしまう。駐車場が余っている場合はマンションの近隣の人に貸したり、一部の機械式をメンテナンス対象外にしてコスト負担を下げたりするケースなどもあり、このへんは管理組合の運営能力の腕の見せどころでもある。

【管理費の罠4】タワーマンションは管理費単価が高い
第四の罠は、「タワーマンションは管理費単価が高い」ということである。マンションの階数別に管理費単価を計算すると、タワーマンションの管理費は明らかに高い。最も低いのは最上階が15~20階で194円、最も高いのは最上階が40階以上で281円、その差は約1.5倍となる。
一般的に「タワーマンション」と呼ばれるのは、20階以上のマンションだ。最上階が20~40階未満の単価は240~248円なので、平均の約2割増し。40階以上はさらに高くなり、281円で4割増しとなっている。5~20階未満の一般的なマンション(45mの高さ規制がある立地が多いので、14階建てがマンションでは一般的)が200円前後に対し、20階以上のマンションは月々の費用負担額が大きいことがわかる。ただし、これは容積率が高い都心エリアに集中する傾向と差し引きすると、許容範囲かもしれない。
しかし、ここでも注意すべきは低層マンションである。総戸数が少なくなると、前述した【管理費の罠3】の影響を受けるからだ。郊外の低層では、苦肉の策としてエレベーターがない物件もあるし、同様にがけ地に建ててエレベーターを節約するケースもある。本当に必要ないならよいが、不便であるがゆえに売却するときに安い価格でしか売れないとなると、致命傷になりかねないので、気をつけてもらいたい。

【管理費の罠5】新築価格が高いときには管理費単価も高くなる
そして第5の罠は、「新築価格が高いときには管理費単価も高くなる」ということだ。1990年以前に建てられたバブル期のマンションの管理費単価は非常に高く、言わば便乗値上げの様相を呈していた。その後、バブル崩壊による分譲価格の下落により管理費の高い物件はかなり是正された。しかし、リーマンショック前の価格高騰期にも同じことが起こっている。ここから言えることは、価格が安かったときのマンションは管理費も安く、耐震基準や設備水準も高い傾向にあるということだ。1998~2006年の間が相対的に低いので、中古の場合はこうした年代が狙い目になろう。

管理費が高いマンションは安い価格でしか売れない
いかがだったろうか。今回はマンションの管理費を取り上げたが、「たかが月額数千円、平方メートル単価で何十円じゃないか」と侮ってはいけない。管理費と修繕積立金は連動するので、管理費が高ければ修繕積立金も高くなりやすく、コストは倍増するということを知っておくべきだ。自分が支払う月額コストというだけでなく、売却する際の次の買い手にも影響を及ぼすことになる。次の買い手の毎月の住居費負担は住宅ローンだけではなく、管理費や修繕積立金も入ってくるのだ。
それを数式で表わすと、次のようになる。
「住居費負担=ローンの返済+管理費+修繕積立金」
実例として挙げると、ホテルと提携しているタワーマンションなど、施設やサービスを共有するがゆえに管理費が5万円は下らないマンションもある。そうしたサービスを受けたい住人はいいが、それを魅力に思わない住人もいる。近隣のマンションと比較して管理費が3万円高いとすると、住居費負担のぶんだけ売却価格は安くなってしまう。
たとえば、管理費1万円の差で売買価格にいくらの違いが生じるかを計算すると、35年ローンで1万円の月支払額に相当する元本は金利1%でも354万円に相当する。3万円の違いは1062万円の売価に跳ね返り、1000万円も値引きしないとならなくなる。
このように管理費が高くて購入を敬遠されると、中古で売るときの価格が大幅に下がると覚悟した方がいい。こう考えると、適正な管理水準と費用負担を実現することが自分たちの資産形成にとって重要な役割を持っていることを、管理組合には認識してもらえるだろう。
管理組合自らが見極めよ 高い管理費を改善する方法は?
その意味では、マンションの住民が積極的に管理組合に参加し、解決策を探るようにすると、自らの物件の資産価値は上がることになる。管理組合では解決できないようなケースでは、管理会社の知恵を借りたり、管理費削減コンサルを入れるのも一考である。小規模なマンションでは、積極的に自主管理部分を増やすのも有効な手段になる。
管理費削減コンサルは、一時期かなり流行した。彼らがとったのは、管理費を相見積もりで下げて、管理会社を変える手法だ。ただし、これは副作用も大きかった。下がった年間管理費の3~5割を成功報酬でもらっていた「自称管理費削減コンサル」が、品質と価格のバランスや管理会社のサービスレベルを理解しないまま、単純比較を行って管理費を削減しようとした結果、その後の混乱と居住者の不満足を生み出した例は多数ある。バランス感覚のないコスト比較は意味がないことの証明だろう。管理組合が主導してサービスとコストのバランスを見極めて進めることが、肝要である。
この他、マンション購入者・入居者の声やニーズを拾って、「管理会社の業務水準の点数化」「管理会社の管理費の割高・割安度」「入居者の管理会社評価ランキング」を住まいサーフィンでは調査の上公開している。誰でも自分のマンションのことしか知らないが、情報は集まれば比較することができるし、評価基準が明確になるので、参考にして欲しい。
さて、最後にもう一度「管理費の5つの罠」をまとめておこう。
【罠1】ワンルームマンションの管理費単価はファミリータイプの2倍以上 【罠2】単価が高いマンションほど、管理費は高くなる 【罠3】総戸数が多過ぎても少な過ぎても管理費は高くなる 【罠4】タワーマンションは管理費単価が高い 【罠5】新築価格が高いときには管理費単価も高くなる
このうち住民にとって致命傷になりかねないのは、ワンルームと総戸数が少ない小規模マンションだ。これらを踏まえた上で、まずは近隣物件の管理費の平方メートル単価を相場として、比較は必ずやろう。物件検索サイトを見れば、物件ごとに管理費が掲載されているので、それを専有面積で割ればよい。エリアや物件属性ごとに違うので、近隣中古事例の単価を10棟取って平均し、比較するのが一番よいだろう。この結果は「自宅投資」にとって重要な示唆になるはずだ。
「うちのマンションは管理費が高いかも……」そう思っているあなたは、早速動き出すべきだ。」
このブログを読むと、70㎡前後のファミリーマンションで、住戸数が50戸から200戸程度のマンションの管理費が一番安いことになります。私の住んでいるマンションは96戸でエレベーターが一台のファミリーマンションですが、月々の管理費は4600円です。東京に比べるとずいぶん安いと思いますが、このブログにもある通り他のマンションに比べてもかなり割安だと思います。標準的にエレベーターは70~80戸に1台と言われているので、100戸近くで1台というのは、管理費が安くなる主要因になっていると思われます。
また、修繕積立金も同じように100戸程度で、セットバック等もない整形なマンションは安くなる傾向にあります。エレベーターの台数や、平面駐車場の台数、建物周囲の空寸法等が、管理費や修繕積立金を安くする要因になります。
このブログにもあるように管理費や修繕積立金が高すぎると、中古でマンションを売るときも不利になります。マンション購入時には、管理費・修繕積立金・駐車場代も含めて考えることが重要です。
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