
長期マネジメント計画とは、大規模修繕や再生等の実施や適切なマネジメントに際して、円滑な意思決定ができるように管理組合を誘導するための計画です。
マンションの修繕を考える上で、いつも問題となってくるのは、このマンションを一体いつまで持たせるのかという問題です。長期修繕計画では今後30年間の修繕計画は視野に入っていますが、40年後や60年後のことは誰にもわからない状況です。
このマンションは一体何年耐たせるのか?65年?100年?入居者全員で自分のマンションの一生を考えるというのは、非常に良いことだと思います。マンションの寿命が終ったあとはどうするのか?建替え?敷地売却?
組合員全員で議論することで、マンションの寿命についての、大まかな合意を得ることが目的です。
ワークシートを用いて、皆で議論し、時にはアンケートを取り、20年後40年後60年後を見据えた長期マネジメント計画を立案します。
検討内容は長期的な計画修繕のハード提案だけでなく、区分所有者や居住者の年齢構成の変化、社会環境の変化を勘案した管理組合運営のソフト提案も含んだ活動になります。
例えば、「活力ある組合運営を行うための区分所有者の世代ミックスの提案」であったり「100年マンションを目指す」であったりの中長期的な目標を設定し、その課題に向けた長期的な取組をおこなっていきます。
マンション管理センターでは検討会を設置して、2020年8月に「長期マネジメント計画策定の手引き(案)」を公表しています。長期マネジメント計画の策定にあたり、必要に応じて専門委員会を設置するなど、検討を行う体制の構築を勧めています。 建物の維持管理に関係する部分も多くあるので、修繕委員会等がすでにある場合は、そうした委員会を活用する方法もあります。必要なのは検討の継続性を確保することです。メンバーについては、建物や組合運営に関して、必ずしも専門的知識を持っている必要はありません。ただし、自分たちだけの知識では十分な検討ができないところについては、適宜専門家を活用することも考えられます。
「長期マネジメント計画」は、それぞれのマンションの将来像について「区分所有者間で緩く共有し、将来起きる事態に備えつつ、円滑な管理組合活動を実施すること」を目的としています。区分所有者間で意見を交換し合い、意識の共有を継続していくことは、今後の適切な管理運営のために極めて価値があるものと考えます。
長期修繕計画に加え、さらに大きな枠でマンションをとらえた「長期マネジメント計画」の存在が広く活用され、良好かつ適切な管理運営を行う管理組合が増加していくことを期待しています。

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