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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

長期修繕の次は利用限界、分譲マンションの2つの老いから「終活」を想定してみる

更新日:1月12日



 2022年7月22日の日経アーキテクチャーの表題の記事を紹介します。


「国土交通省は、分譲マンションの管理組合に対して長期修繕計画の作成を推奨している。快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、建物の経年劣化に対して適切な修繕工事などを行うことが重要になるからだ。長期修繕計画は、分譲マンションの管理組合にとって、必須項目といえる。

 実際、多くのマンション管理組合が長期修繕計画を作成している。国土交通省が5年おきに実施しているマンション総合調査の2018年度の調査結果では、回答者の9割が作成していた。適正な管理のための計画は定着してきている。


長期修繕計画を策定しているマンション管理組合の割合。2018年度(平成30年度)は9割を超えた(資料:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」)


 こうした管理組合にお勧めしたいのが、長期修繕計画の先にある「利用限界」の設定だ。

 多くの管理組合は、大規模な改修を行いながら、マンションを利用し続けようと考えているのではないだろうか。しかし、いつかは建て替えなり、敷地売却なりをすることになる。具体的にその時期を決めることは難しいが、「あと何年後には利用限界が来る」ということを想定してみてはどうだろうか。管理組合として利用限界について議論することが、区分所有者に対して利用限界に関する認識を持ってもらうことにつながるのだ。

 こうした考え方は、20年8月に公益財団法人のマンション管理センターがまとめた「マンションの長期マネジメント計画策定の手引き(案)」に記されている。


2つの老いが招くスラム化を防ぐ

 利用限界を想定した未来がどのようなかたちで訪れるかは、なかなか想像できないだろう。だが建て替えや敷地売却といった分譲マンションの終末に向けた「終活」の議論は避けて通れない。建物の老朽化と区分所有者の高齢化という2つの老いは、多くのマンションにとって不可避な運命である。

 2つの老いのうち、建物の老朽化はイメージしやすいだろう。建物の老朽化を防ぐには、適宜適正な修繕や改修を行う必要がある。ここで障害になるのが、もう1つの老いである区分所有者の高齢化だ。

 築年数のたったマンションほど、居住者の高齢化や賃貸化が進み、区分所有者の管理組合活動への参加が困難になっていく。管理に無関心な居住者が増え、役員のなり手が不足するなど、管理上の問題が多くなる。管理費や修繕積立金の滞納の割合が増え、適切な修繕や改修が行われなくなる。その結果、管理不全に陥りスラム化を招くというのが最悪のシナリオだ。

 スラム化した分譲マンションが放置されると、周辺環境に悪影響を及ぼす。自治体が区分所有者に対して、適切な管理を実施するよう指導や勧告を行うケースも出てくるだろう。それでも長期に放置されれば、区分所有者に代わって自治体が取り壊しを実施するケースもあり得る。滋賀県野洲市が20年1月に実施した行政代執行が記憶に新しい。こうならないために、2つの老いを乗り越え、適正な管理と終末に向けた議論が必要だ。


滋賀県野洲市が行政代執行によって解体した分譲マンション。2019年3月22日撮影(写真:日経クロステック)


 国交省は、建て替えや敷地売却といった終末を支援する法律を用意している。マンション建て替え円滑化法だ。利用限界を想定した議論の延長として、建て替えや敷地売却といった終末の仕組みを知るきっかけになるかもしれない。区分所有者全体で利用限界を理解することが、終末に向けた議論の第一歩になる。」


 建物の劣化には、物理的劣化と社会的劣化・機能的劣化の3つがあります。物理的には持つマンションでも、旧耐震であることやエレベーターがないこと、給排水管が下階の天上裏にあること、床スラブの厚さが130mm程度しかなく、床の遮音性能が劣っているなどで、延命化しても、マンションの価値向上が図れない、またはその為の改良費用が膨大にかかる場合は、敷地売却や建替えが必要になってきます。築40年を超えるマンションでは、マンションの終活に向けた議論が必要になってきます。

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