マンションの共益費削減対策として、電子ブレーカーの採用があります。
電子ブレーカーとは電気料金の削減を目的として開発されたブレーカーです。『電子式ブレーカー』や『デジタル式ブレーカー』と呼ばれることもある低圧電力(三相200V)の基本料金を、大幅に削減できるといわれている設備のことを言います。
電子ブレーカーは熱伝導式ではなく、電流値をデジタル数値で感知します。ブレーカーの動作をコンピューター制御し、JIS規格の許容範囲最大まで使用できるようにプログラミングされています。急激な電流が流れても瞬時に電力を遮断するのではなく、電流の強さと時間を監視し、規定時間以内であればブレーカーが落ちないようにすることができます。
電子ブレーカーは「低圧電力」が対象となっています。電子ブレーカーは三相200Vの動力(低圧電力)に使用されるものであるため、一般家庭に使用されることはありません。マンションで言うと、エレベーター・給水ポンプ・立体駐車場等の電気代ということになります。
「負荷設備契約」と「主開閉器契約」
電力会社は三相200Vの電力の事業所向けに2種類の料金プランを用意しています。「負荷設備契約」と「主開閉器契約」と呼ばれるものです。
多くの事業所は負荷設備契約にて電力会社と契約をしているのですが、電子ブレーカーは主開閉器契約の仕組みを上手く活用して電気料金の削減を実現したものです。
負荷設備契約(従来からあるプラン)
事業所内の電気設備全てを同時に使用した場合に、必要な電気量を基に契約電力を決定している契約の事です。稼動頻度や使用電力量に関わらず、設備容量の合計が契約容量となります。同時に使用しない設備も合計されますので、基本料金が高くなる傾向があります。例えば、全く使わないエレベーターのある事業所があったとしたら、そのエレベーターの契約電力分は電気の基本料金として支払わなけれけばならないという事になります。
主開閉器契約(ブレーカー契約・平成8年度からの新しい契約)
安全上、実際の機械稼動時に流れる電流値を一定値以下にするために、開閉器(ブレーカー)を設置します。主開閉器契約は、このブレーカーの値により契約容量を決めます。そのため同時利用される頻度の低い低圧電力で使用されるエスカレーターやエレベーターの場合、負荷設備契約のプランよりも主開閉器契約での利用の方が同じ使用量でも電気代(基本料金)を大幅にカットすることが可能となります。例えば上記のエレベーターがある事業所のケースですと、全く使っていない訳ですからこのエレベーターによる電気の使用量は全く無いので、負荷設備契約では無駄にかかってしまっていた契約電力分である電気の基本料金は0円で済むという事になります。
分譲マンションでの採用例 エレベーターなどの設備が設置されている共用部分が対象で、常時フル稼働をしている訳ではないため大幅に削減メリットを出せています。
従来の契約:9KW (基本料金/月:¥11,080) ↓ 電子ブレーカー導入後の契約:4KW (基本料金/月:¥4,924)
この例では月々6000円の削減が可能です。
電子ブレーカー設置のメリット
電子ブレーカーは一般のブレーカーよりも一定の時間以内ならばより多くの電流を流せることになります。たとえば、短時間でON/OFFするような負荷変動が大きい機器の場合には、一時的に定格電流を超えても短い時間で、定格電流以下に戻りますので、ブレーカーが落ちなくて済みます。これが一般的なブレーカーですと許容範囲以上に電流が流れた瞬間にブレーカーが落ちてしまいます。短時間のピーク超過では落ちず、最大電力消費を監視し制御できる。『電子ブレーカー』という製品が登場したことで、安全に契約容量を切り替えて 電気基本料金を大幅に安くできるようになりました。
管理会社からの提案で既に電子ブレーカーに交換されているマンションも多いと思いますが、今一度確認されることをお勧めします。
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