2023年6月9日の現代ビジネスの表題の記事を紹介します。
「無印良品が住宅分野に力を入れている。これまでも戸建住宅を年間300棟ほど販売・施工してきたが、最近はリノベーションマンションの販売に進出。このマンション高騰時代に、首都圏でも2000万円台で家が手に入るという。一体どんな住まいなのか。
郊外の団地に活気が戻った
あまり知られていないが、無印良品は2004年から戸建住宅を手がけていて、現在では年間300棟を販売している。また、2012年からはUR(都市再生機構)と連携して賃貸住宅のリノベーションを手がけ、10年間で1000戸以上のリノベーションを行ってきた。建物、住民の高齢化が進み、地域の活力が失われつつある郊外の団地を無印良品がリノベーションすることで、無印ファンの若い世代が移り住むようになって活気が戻ってきたといわれている。
そうした実績を踏まえて、最近では中古マンションを買い取り、無印良品流のリノベーションを施した上で販売する事業にも進出、商品名「MUJI INFILL 0」として力を入れている。
無印良品独自のリノベーションマンションは、質の高さもさることながら、何より驚くのが、その安さだ。
マンション高騰の時代に1㎡単価36万円
首都圏でマンション価格の高騰が止まない。不動産経済研究所によると、2023年3月には、東京都港区で大型の超高額物件が販売されたこともあって、図表1にあるように首都圏の新築マンションの平均価格は1億円を超えてしまった。東京23区に限れば平均2億円超えだ。
新築マンションに引きずられる形で、中古マンション価格も上がっている。東日本不動産流通機構の調べでは、2023年3月の首都圏の成約価格の平均は4441万円で、2022年3月の4158万円に対して、前年同月比で6.8%の上昇。首都圏の中古マンションの成約価格は、2020年6月から34か月連続して前年同月を上回った。
それに対して、無印良品の「MUJI INFILL 0」は、物件にもよるが1㎡単価は36万円。同水準なら70㎡でも2520万円だ。
家賃負担より少ない負担で購入できる
多くの人が住宅を購入する際、ローンを利用するが、1割の自己資金を用意するとすれば、毎月の返済額は図表2にあるように、新築マンションならなんと月額32万9807円となり、一般的な会社員にはとても手に負えない。
中古マンションでも10万1999円だから、年収500万円の人だと返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)は24.5%に達する。
それに対して無印のリノベーションマンションなら毎月5万7877円ですむ。年収500万円の年収負担率は13.9%まで低下するので、若くて、まださほど年収が高くない人でも、ゆとりを持って生活を楽しむことができる金額ではないだろうか。
実際、賃貸住宅住まいでもそれ以上の家賃を支払っている人は多いはずだ
新築マンション並の性能
毎月の家賃、あるいはそれ以下の負担で購入できるにしても、住まいそのものに満足できなければ意味がない。その点、無印良品のリノベーションマンションはどうなのだろうか。
リノベーション完成品である「MUJI INFILL 0」の商品づくりにおいては、次の3点を大切にしているそうだ。
➀性能 生命や健康に関わる要素 ➁間取り 暮らし方に関わる要素 ➂素材 見た目に関わる要素
➀の性能に関しては、耐震性と断熱性を特に重視しているという。大規模地震でも倒壊しないことが前提の新耐震基準(1981年施行)を満たす物件を対象とし、地震大国ニッポンで安全・安心に暮らせる住まいづくりを行っている。
中古マンションにしろ、中古戸建住宅にしろ、わが国の中古住宅には断熱性が低い物件が多く、現行の断熱性能基準を満たす物件は13%ほどにとどまっている。これを改善することは、居住性を高めると同時に、SDGsにも貢献することになる。
そのため、「MUJI INFILL 0」においては、全戸、国の基準に沿った温熱計算を実施し、温熱等級4以上を確保している。壁については、既存のコンクリート躯体、既存断熱材の上に新規に断熱材を入れて、内装材を施している。窓は既存窓の内側に複層ガラスのインナーサッシを付け加えている。
取り扱っている物件の一例として、一次消費エネルギーを34%削減し、想定計算値としては年間光熱費を23万円から17万円に、約26%低減できるとしている。価格が安く、住宅ローンの負担を減らせる上、高騰が問題になっている光熱費も大幅に削減できるわけだ。
住戸内に関しては、既存の設備等を撤去してスケルトン状態にして、見えない部分を確認してから、リノベーションを実施している。
こうして耐震性、断熱性を高めることで、最新の新築マンション並の性能を確保している。
ライフスタイルに合わせた可変性の高い住まい
➁の間取りに関しては、陽当たり・風通しの良い広々とした空間へのリノベーションをメインとしている。たとえば、既存の2DKの部屋でも、間仕切りなどを取り払ってワンルームとして、部屋の中を風が通り抜けるようにする。
また、暮らし方の変化に合わせて間取りを変更できるように、可変性の高いリノベーションを行っている。たとえば既存の専有面積52㎡、2DKの住まいであっても、最初のうちは夫婦のみの二人暮らしに適した広々としたリビング・ダイニングを備えた1LDKとし、その後は出産、子育てといったライフステージの変化に対応して、間仕切りの移動などによって2LDKとすることが可能になる。
中には、必ずしも取得したマンションに永住することが前提ではなく、ライフステージ、ライフスタイルの変化に合わせて住まいの買い換え、ステップアップを考える人もいるのではないだろうか。
その点、2000万円台という価格が破格であっても、無印良品のブランドであれば、より高値で売却できる可能性が高いのも魅力だろう。
年間100戸の販売を目指す
➂の素材に関しては、あくまでも住む人が主役であり、デザインは背景に徹することをコンセプトとしている。そこで無印流の淡い色彩の床材、壁材などを使用している。
物件によっては、スケルトンにした壁をそのまま残し、あえて古さを前面に打ち出したケースもある。古さをヴィンテージ感として高めて、若い人たちが受け入れやすくしているわけだ。
まずはスケルトンにしてから無印流にリノベーション
こうして団地を再生させ、リーズナブルで望ましい住宅を流通させるのが無印良品のリノベーションの基本で、2025年以降、年間100戸の供給を目指しているという。
無印良品では、東京の青山、有明と横浜のランドマークタワーに拠点を設けて、自宅のリノベーションを考えている人、中古物件を取得してリノベーションした上で住みたいと考えている人、リノベーションの完成品(MUJI INFILL 0)の購入を考えている人を対象に各種のセミナーや個別相談会、モデルルーム案内などを実施している。
近隣の無印良品の店舗とも連携して「MUJI INFILL 0」などのリノベーションの取り組みを進化させていきたいという考えだ。資金に余裕はないが、お洒落なマンションを所有したい。そんな人は検討してみてはどうだろうか。」
階段室型でエレベーターのない分譲マンションであれば、高松市内でも300万円程度で購入が可能です。その住戸をフルリフォームして販売しても1500万円程度での販売が可能だと思います。若い世代であれば、エレベーターがなくても4階程度であれば苦になりません。
無印良品の取組は今のマンション業界に一石を投じる取組だと思います。
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