2023年1月27日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。
「首都圏の新築マンション価格の高騰が続いている。2年連続でバブル期を超える過去最高値を更新したが、「今年はさらに上がる」との見方もある。価格が高止まりする理由は何なのか、そしていつまで高騰は続くのだろうか。
JR山手線の目黒駅(東京都品川区)から徒歩9分の高級住宅街。32階建てのタワーマンションの建設が進む。販売する野村不動産によると、最も安い部屋でも約7600万円。60平方メートル台の2LDKからは1億円を超える高級物件だ。
それでも、昨年1月の販売開始以来、年末までに全301戸中250戸以上が契約・申し込み済みで、計画を大きく上回るペースで売れている。利便性の高さに加え、曲線形のバルコニーに高い天井などが特徴の部屋が、高収入の共働き世帯や会社経営者らをひきつけているという。
不動産経済研究所によると、2022年に首都圏で販売された新築マンションのうち、1億円以上の「億ション」は2491戸あった。
東京五輪・パラリンピックの選手村として使われ、大規模マンション群への建て替え工事が進む「晴海フラッグ」(東京都中央区)も22年の高い需要を象徴した。都心にありながら広めの部屋を取りそろえた物件で19年の発売以来購入希望者が殺到。22年9~11月に売り出された230戸には約7千組の申し込みがあった。平均の抽選倍率は約30倍で、中には191倍の部屋もあった。
首都圏では再開発エリアのタワーマンションの大型供給が予定されている。同研究所の松田忠司・上席主任研究員は「今年は一段と価格が上がる可能性が高い」とみている。
理由の一つは建設資材の高騰だ。日本建設業連合会の推計では、21年1月~22年11月で、資材価格が27%上がるなど、建設コストの平均は13~16%上昇した。
新型コロナやウクライナ情勢の影響で、建設資材の調達の見通しが立てづらいことから、販売を抑制する動きがある。22年の首都圏での販売戸数は、前年比で12・1%減と大きく落ちた。供給の少なさが価格上昇の一因となっている。
大手不動産各社は都心の便利な場所を求めて、競うように土地を探している。三井不動産の富樫烈常務執行役員は「供給が多かった00年ごろと比べると、適地が一巡してしまっている」と嘆く。
一方で需要は旺盛だ。国内の「パワーカップル」だけでなく、外国人による投資需要も価格を押し上げる。
もともと海外の主要都市に比べて、都心のマンションは安いと指摘されてきたが、一時の円安によってさらに割安感が生まれた。ある不動産会社によると、都心のマンションを売り出す際、外国人の投資目的の購入ばかりにならないよう、一定の枠を決めているところもあるほどだという。
海外の富裕層にネットワークを持つ不動産会社リストによると、昨年11月の問い合わせ件数は同5月に比べて2・5倍に増えた。不動産サービス大手JLLの大東雄人氏は「新型コロナの水際対策の緩和で外国人投資家の来日が増え、投資需要にプラスに働いている。23年も金利が低いことを前提に、価格の押し上げ要因につながる」とみる。
いま、不動産各社が注視するのは、日本銀行が続ける異次元の金融緩和策のゆくえだ。
住友不動産は1月、マンションの購入希望者約200人に意向調査を実施。今後の金融緩和策の見直しで購買計画に変更はあるか聞いたところ、「変更はない」と答えた人が8割に上った。住宅ローン利用者の7割以上を占めるとされる変動金利は、あまり上昇しないとの見方が強いようだ。
不動産コンサルタントの長嶋修氏は「変動金利は変わらないどころか、むしろ金融機関の競争が激しくなっている。マインドが少しは変わると思うが、市場そのものにあまり影響は与えていない」と指摘する。
今後の需要の動向については「コロナ禍以降、リモートワークの定着で都心から郊外に広がった需要も、足元では一巡してきた。郊外では供給戸数が少なくなる一方、都心部は非常に旺盛で、二極化が進行している」とみる。」
建築費の高騰もあり、マンションの価格はまだまだ上昇基調です。特に、首都圏のマンションは大手不動産会社が供給していることもあり、売り急ぐ必要もないことから、売り手主導での強気な価格設定がまだまだ続きそうな予感です。金利上昇による不動産バブルがはじけるとすれば、郊外や地方圏のマンションからということでしょうか。
コメント