今回は高齢になってからのマンション所有方法を3つ紹介します。
リバース60
一つ目は高齢者が住宅を購入する時に利用できる、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している60歳以上の方向けの住宅ローン「リバース60」です。
2020年の10~12月の実績としては、前年同期比では、付保件数が63.6%増加し、付保実績金額も84.5%増となったようです。大きく実績を伸ばしています。
「リバース60」の主な特徴としては、月々の支払は金利負担のみとして、借入をした方が亡くなった場合に、担保物件を売却して一括返済する、というものです。月々の支払に元金が含まれないので、支払金額を抑えることができます。また、相続発生時にも、売却して一括弁済するか、相続人が一括弁済して不動産を残すか、といった選択もできるようです。
この「リバース60」の特徴である、相続時の売却代金さえ支払えば、借金が残ったとしても相続人は返済義務を免れるといった仕組みを「ノン・リコースローン」といいます。不動産価格の下落リスクを、金融機関が背負い込む、といった立てつけになっています。
もちろん、金融機関としてもそういったリスクを減らすために、不動産の資産価値をシビアに判断しますし、融資金額も購入価格の何割まで、といった制度になっています。
死んでから子供に迷惑をかけたくない高齢者にとっては、お勧めの住宅ローンだと思います。
リースバック
二つ目は既にマンションを持っている高齢者が利用できる「リースバック」方式です。リースバックとは、現在住んでいるマンションを不動産会社に売却し、売却代金を受け取り、あとはそのマンションに家賃を払って住むという方法です。売却しても、そのまま住み続けることが可能で、家賃さえ払えば、管理費や修繕積立金・固定資産税等の支払いはいらなくなります。資産を子供に残すのではなく、生きている内に、旅行や趣味に有効に使おうと思っている居住者には有利な方法だと思います。家賃を払い続ければ住み続けることが可能になります。
リバースモーゲージ
三つ目も既にマンションを持っている高齢者利用できる「リバースモーゲージ」です。「リバースモーゲージ」とはご自宅を担保として金融機関等に提供し、担保の資産価値に応じて設定される「融資上限額」まで定期的にもしくは随時に金融機関等から融資を受けることができるサービスです。
一般的には、所有者が亡くなった後、土地建物を売却して一括返済に充てる形となります。仕組み自体は1980年台から存在しており、少子高齢化・財政赤字・年金制度の見直しなどからシニア層の生活資金の確保の方法として期待されて登場しました。ただし利用条件が厳しく、資産性の高いマンションでないと利用できないおそれもあります。また「リースバック」方式と違い、融資された金額は生活費としての利用に限定されます。
こうした制度の利用が広まっている背景には、住まいに対する考え方の変化があるように思います。「思い出の詰まった、愛着のあるわが家」といった捉え方ではなく、「単に晩年を過ごした物件のひとつ」という捉え方です。また、残された相続人に対しても「代々引き継いで、守って欲しい」といった思いはなくなり、「子供には余計な負担をかけないようきれいさっぱり処分しておきたい」といった、たとえ親族であっても独立した家族形態の考え方があるのではないでしょうか。
人口減少や空き家の増加等、不動産は負動産とも言われるようになってきました。子供に資産を残すよりは、自分達のために使う。日本人の気質も変わってきたのかもしれません。
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