2023年10月16日の日経新聞の表題の記事を紹介します。
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京都市はふるさと回帰フェアで来場者に古都の魅力をアピールした(9月17日、東京都千代田区)
人口100万人以上の大都市が移住者の獲得に本腰を入れ始めた。全国11市のうち5市で人口が前年を下回り、地方で先行する人口減の波が及び始めている。横浜市は移住サイトを開き、京都市も官民連携で対応に乗り出した。東京都も含む都市部の参戦で、地方は魅力向上を迫られている。
総務省の人口動態調査(2023年1月1日時点)によると、100万人以上の都市の中で横浜市、札幌市、神戸市、京都市、広島市で人口が前年を下回った。死亡数が出生数を上回る「自然減」を、転入数が転出数を上回る「社会増」で補えなくなっている。
京都市は日本人の減少数が最多だった。直面する人口減への対策として、市は7月に企業などが参加する「移住・定住応援団」を始動させた。移住・定住促進の効果が見込める取り組みに対し、事業費を最大20万円支援する。複数事業者による提案の場合は最大100万円を支給する。
応援団には9月29日時点で48社・団体が登録する。空き家バンク京都などが移住者の住居探しを支援する。不動産や宿泊事業を手がけるニシザワステイ(京都市)は「お試し居住」を始めた。コワーキングスペースでテレワークの体験もできる。
豊臣秀吉を祭る豊国神社や子育て支援サークルも加わり、地域を挙げて移住者を支える。市は支援策を引っさげて9月17日に都内で開かれた国内最大級の移住イベント「ふるさと回帰フェア2023」で来場者に訴えた。
全国の市町村で最多の人口を抱える横浜市は8月下旬、移住サイトを設けた。子育て世帯へのアピールに力を入れる。山中竹春市長は記者会見で「ここ1、2年人口減少の局面を迎えている。住みやすい街であることをしっかりと内外に伝えていく必要がある」と話した。
横浜市は移住サイトで子育て世帯向け支援策をアピールする
神戸市は13年以降、市へ移住する子育て世帯と若年夫婦を対象にした補助金制度を拡充している。「住みかえーる」では賃貸住宅、中古住宅のリノベーションや戸建ての新築など、入居物件の種類などに応じて最大95万円の補助金を給付する。
国は東京23区の在住者や東京圏から23区への通勤者を対象に、地方移住を促す事業を19年度に開始した。世帯は100万円以内、単身は60万円以内で都道府県が決定した額を支給する。23年度の同事業には100万人以上の都市で札幌市、仙台市、名古屋市、広島市が参加する。
各地域とも首都圏からの移住者獲得に注力するが、東京都も人口減への課題に迫られている。多摩・島しょ部の人口が25年をピークに減少に転じると試算しており、都は8月から移住を促そうと多摩・島しょ部での暮らし体験ツアーを始めた。地域の産業を紹介するなどして移住者の獲得につなげる。
自治体と連携して移住を支援するNPO法人ふるさと回帰支援センター(東京・千代田)は21年に地方移住を希望する首都圏在住者は309万人と推計した。高橋公理事長は現在も多くの需要があるとし、「自治体は地域での多様な暮らしの魅力をアピールすべきだ」と訴える。
大都市も移住者獲得に参戦し、競争は厳しさを増す。各自治体は知恵を絞った施策の充実が必要になっている。(丹田拡志)」
人口減の日本で100万人都市でも人口減少が始まっています。札幌・神戸・京都・広島と、北海道・近畿・中四国の大都市で既に人口減少が始まっているようです。益々首都圏への一極集中が進んでいる状況ですが、大阪・名古屋・福岡・仙台は地方でありながら頑張っています。これからは、人口減を前提とした街づくりが重要になってくると思います。
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