改修指針(建築改修工事監理指針)では1mmを超える非構造壁のクラック(ひび割れ)の改修方法として、Uカットシール材充てん工法が定められています。この工法はコンクリートやモルタルのひび割れをダイヤモンドカッターでU字型にカッティングし、弾性シーリング材を充てんする工法です。防水性能に優れ、施工後のひび割れの動きにも追随しますが、施工後の見た目がみみずばれのようになり、美観的には問題があります。また、コンクリートを切断する時の騒音と粉塵発生も、入居者にとっては、嫌なものです。
塗料や下地調整材・モルタル等にアスベストが含まれているマンションでは、ダイヤモンドカッターで躯体を削る際に、アスベストが粉塵となって飛び散るおそれがあり、入居者が住みながらの工事では望ましくありません。
私のコンサルタント物件では、上記のような問題を防ぐ対策として、コニシのボンドOGS工法を代替工法として採用しています。ボンドOGS工法とは、0.3mm以上のクラック(ひび割れ)に対応可能な工法で、クラックをカットせずに、カートリッジ入りの1液性弾性エポキシ樹脂をコンプレッサーを用いた低圧注入圧力ガンで強制的に注入していく工法です。コンクリートカッターによる騒音や粉塵が発生せず、入居者の迷惑になることも少なく、また価格的にもUカットシール材充てん工法よりも安価になります。
私も実際に施工の体験をしましたが、施工にはちょっとしたコツがいります。確実にクラックに注入するためには、1か所ずつガンで注入し、半円の半分程度は重ねて施工する必要があります。職人さんは、何も言わなければコーキングガンのように、コンクリート表面をなぞって施工してしまいがちです。このあたりの施工を確実に行えることが、ボンドOGS工法の施工管理のキモになります。
メーカーの努力により新しい工法が開発されています。大規模修繕コンサルタントとしても、情報収集に努めて、大規模修繕工事がより良く施工できるようにしていきたいと思います。
Comments