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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

「マンション新旧理事会の引き継ぎ」で絶対に押さえるべきポイントとは

更新日:2022年7月28日



 2022年2月12日のダイアモンドオンラインの表題の記事を紹介します。


多くの管理組合で引き継ぎが形骸化

 分譲マンションを購入し所有する際、誰もが管理組合の構成員となる。他の所有者と共同でマンションを維持・管理し、快適な生活環境を整えていかなければならない。マンションの区分所有者(住居などの専有部分を有するオーナー)からなる管理組合が機能してこそ、マンション全体の価値を高めることにつながるからだ。

 そこで区分所有者の中から理事を選び、理事長や副理事長、会計などの役職を決定。さらに月に1回もしくは2カ月に1回程度のペースで理事会を開き、情報交換や問題共有を行うのがマンション管理の一般的な活動となる。現在は、4~6月にスタートする翌期の管理組合に向け、役員選任をメインとした通常総会の開催を控える理事会も多いだろう。

 新たな管理組合の活動開始は、新旧役員の引き継ぎが終わってからとなる。つまり理事や役員の引き継ぎは、翌期の管理組合の活動をスムーズに進行するための大きな節目ともいえる。

 しかし残念ながら、引き継ぎが形骸化している管理組合も多く存在し、その重要さが浸透しているとは言い難い。そこで今回はマンション管理を円滑に行うための理事会の引き継ぎ内容、また決めておくべき事柄を中心にお伝えする。


理事会活動の鍵となる引き継ぎ書に記載すべき事柄

 マンション管理組合の懸案事項の内容はさまざまだ。マンション内における事件・事故、近隣問題など、組合員からの要望や苦情まで大小を問わず存在する。管理業者と協議すべき内容も含め、引き継ぎ書に明確に記しておかなくてはならない。なおかつ、新規理事に伝わりやすい内容で継承されなければ意味がない。そこでまずピックアップすべき事柄は、理事会の懸案事項だ。内容としては以下の三つに絞られるだろう。

 1. 現在進行途中の案件  2. 管理会社へ依頼済みの案件  3. 今後要検討の事項


 また大前提として理事会や役員それぞれの担当業務内容や慣習となっている事柄も記載しておかなければならない。管理組合には任期が1年交代で、毎年役員の交代が行われるところもある。この場合、引き継ぎをしっかりやっておかなければ、任期前半は取り組むべき事柄がわからず、右往左往することになる。結果1年の任期はあっという間に終了し、全体の管理運営にも影響を及ぼしかねない。

 なお、1年任期制では継続的なマンション管理・運営が行えないデメリットもあるが、この問題点については後ほど改めて触れる。

 その他、引き継ぎ事項として、役員運営に関する書類、保守メンテナンス業者リストや保守委託契約書、不具合事項一覧、台風(大雨)、火災、地震、積雪時の対応方法、緊急時(火災や断水等)の対応方法などの書類や記載の確認も行っておく必要がある。


理事長が保管する物品もリストアップしておく

 重要な資料はもちろん、理事長がこれまで保管してきた物品の管理も丁寧に引き継ぎを行わなくてはならない。

 具体的には下記などが挙げられる。

・共用部分の鍵や損害保険証券、通帳や収支決算書など会計関連の引き継ぎは保管場所、保管担当者、名称なども明記 ・工事やメンテナンス、長期修繕計画書や工事履歴関連書類 ・理事会、総会関連書類 ・名簿・届出書等の書類


 鍵や損害保険証券、理事長の印鑑や管理関係の書類などはあらかじめ目録などを作成してチェックを怠らないようにするべきだ。保管場所や保管担当者も引き継ぎを忘れないようにしたい。加えてトラブル回避のために、複数人で確認するのも必須事項となる。


マンション管理を円滑にするために引き継ぎ前に決めておくべき内容

 このようにマンションの管理や維持は一朝一夕にできるものではない。だからこそ、継続的なスタンスや取り組みが大きな意味を持つ。マンション管理を俯瞰的に考え、長期的な視点で見るのであれば、引き継ぎ前に以下四つのポイントにはあらかじめ着手しておくことを推奨する。


1. 積立金増額を含めた長期修繕計画の見直し  行政もマンション管理に関わる方向を固めてきた。老朽化などの問題を抱えた管理不全マンション対策として2022(令和4)年4月より管理計画認定制度を開始し、マンション管理状況を可視化し、場合によっては指導や勧告も行うことが決まっている。マンション管理組合としても改めて修繕計画を見直す必要に迫られているといえるだろう。


2. 節目(2年、10年)のアフターサービスに対応する点検を  新築マンションの場合、2年などのアフターサービス期限内であれば、無償で不具合箇所の補修をしてくれるアフターサービス期間を設けている売り主が多い。こういったシステムを有効活用し、定期的な点検および修繕や改修を行うことも大切だ。


3. 大規模修繕計画における専門家の起用  住環境を整えるため、適切なタイミングでマンションのメンテナンスを行うのも管理組合の担う役割の一つ。大規模修繕工事を計画、実施することで、建物や設備を守り資産価値を維持していかなければならない。しかし大規模修繕工事の工事内容は多岐にわたり、専門的な知識も欠かせない。そこで、頼りになるのが専門家である。例えば建物の状況を確認し、工事箇所や実施時期を含め、施工会社選定などさまざまなアドバイスを求めて外部のコンサルタント起用を検討してもいいだろう。工事関連のトラブルが生じた場合やマンション管理規約の見直しなどにおいては、法律の専門家である弁護士への相談が必要となるケースもある。


4. 役員任期を2年任期の半数交代制への変更  先述したように、役員任期が1年というケースでは、活動内容を把握する前に任期を終えてしまうのが現状だ。どれだけ引き継ぎを丁寧に行っても限界がある。そこで、管理組合の役員任期を2年とし、1年で半数を入れ替える方法を採用するのも一案だ。この方法であれば前期の議題や懸案事項などを理解する役員が残り、スムーズな引き継ぎが可能になる。

 ただ任期変更には管理規約の変更をしなければならず、管理組合総会で所有者の4分の3以上の賛成を得る必要が出てくる。早めに対策を練らなくてはならない。


変わりつつあるマンション管理の現状に備えるために

 これまではマンションの区分所有者(住居などの専有部分を有するオーナー)からなる管理組合が建物・設備の共用部分を維持管理するという考え方が大前提とされてきた。

 ところが昨今、マンション管理は大きな課題を突きつけられている。国土交通省によれば、2020(令和2)年末のマンションストック総数は約675.3万戸。中でも築40年以上の高経年ストックマンションは103.3万戸とストック総数の約15%を占め、今後も確実に増加する。また少子高齢化で、所有者自体の高齢化も進んでいる。所有者や居住者も多様化し、オーナーが不明となるマンションもある。適切な維持管理が難しい中古マンションはこれからもますます増えていくはずだ。


 2020(令和2)年6月に「マンション管理適正化法」「マンション建て替え円滑化法」が改正され、地方自治体がマンションの管理状況に踏み込む姿勢を明確にした。区分所有法のあり方についても見直しの機運もある。所有者の高齢化、建物そのものの老朽化とともに、マンション管理組合のあり方も新たな局面を迎えているといえるだろう。

(株式会社さくら事務所創業者・会長 長嶋 修)」


 各マンションの抱えている課題は、1年で解決するようなものではありません。3か月に1回程度の理事会を、輪番制の役員が運営しても、決して解決しないことを肝に銘じておく必要があります。

このブログにもあるように、役員の任期を2年任期の半数改選に変えることと、理事会の開催頻度は最低2か月に1回、できれば毎月開催に改めて欲しいと思います。また、顧問制度等を採り入れ、過去の理事長等に就任してもらうことで、過去の経緯等もわかりやすくなります。引き継ぎ書には、長期的課題を書き出して、文書として次期役員に引き継ぐことが重要です。

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