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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

マンションの空き駐車場

更新日:2021年4月27日



 2021年3月23日の朝日新聞デジタルの記事を紹介します。


「分譲マンションの空き駐車場が住民を悩ませている。とりわけ機械式立体駐車場は高額な維持管理費がかかり、利用者不足が負担増に直結する。特に都市部は深刻で、東京では古めの設備だと4割近くが空いているとの調査もある。そうした状況を脱しようと、各地で試行錯誤が始まっている。

 東京都練馬区のある分譲マンションは約30年前に建った250戸の大規模物件だ。住民の高齢化で、ここ10年で車を手放す人が急増した。150台分の機械式駐車場を備えるが、2017年には3分の1が空車になった。このままだと維持費が賄えない。管理組合の試算では、今後8年で1億円以上の出費が避けられないという。

 機械式を取り壊すには、全区分所有者の4分の3の賛成などを条件とした特別決議が必要。管理組合が住民を粘り強く説得し、賛成を取りつけた。取り壊したスペースは平面駐車場にし、19年までに空いていた50台分を減らした。組合理事長は「分譲当初は希望者が殺到し、抽選で契約を決めるほどだったのに」と振り返る。


 駐車場を住民以外に貸す動きもある。

 東京都港区のマンションは、約60台ある機械式の半分が空いていた。管理組合は年230万円の赤字になった。その穴埋めのため、マンションの大規模修繕のための積立金を取り崩すことになりかねなかった。そこで、空車スペースを月決め駐車場として「転貸し」(サブリース)する業者と契約することにした。監視カメラの増設など防犯対策の充実を条件に住民の理解を得た。2年後には収支が黒字に回復した。

 サブリース業者のひとつ「アズーム」(東京)は今年1月末時点で457組合と契約し、5年前の約7倍に急増した。牟田和正執行役員は「昨年は500組合以上から相談が寄せられた」と手応えを語る。


 業界団体のマンション管理業協会が19年に初めてまとめた調査によると、分譲マンションには1戸あたり平均0・56台の駐車場があり、空車率は平均13・6%。地域別では東京都が19・8%、神奈川県の15・7%、大阪府の15・5%と大都市圏が高い。

 調査は国内の分譲マンションの約4割にあたる279万戸分の駐車場について、1年以内の空き状況を尋ねたもの。うち108万戸(63万台)について詳細に分析したところ、駐車場の42・8%が機械式で、平面が42・6%だった。

 空車率は機械式が19・5%。平面の6・9%と比べて高い。機械式の場合、古くなるほど空車率が高まる傾向にある。築21~30年だと26・8%で、東京都に限ると38・0%にのぼる。ワンボックスカーなど近年人気の車が入らないこともあるからだ。


 分譲マンションの「お荷物」となっている空き駐車場。空車スペースを外部に貸し出して収益につなげる動きが出ているものの、一部にとどまる。

 東京・多摩地区の団地の管理組合の元理事長は「外部への貸し出しを検討したが、抵抗感が強い住民もおり、合意形成ができなかった。立地的に需要があるのかも不透明で、運用方法は見つからない」と嘆く。同じ多摩地区の別のマンションでも駐車場の空きが増え、2019年5月に修繕積立金を月1500円値上げすると決めた。住民の男性は「このままではいずれまた値上げが必要になりかねない」という。


 維持管理費がまかなえないからといって、設備の点検や更新を怠ると大事故につながりかねない。国土交通省によると、機械式では、車をのせるパレット(駐車台)が落下する事故が17~19年度に11件届けられた。一部は設備の定期的な交換時期を過ぎてもそのまま使われていたという。

 空き駐車場問題に取り組むマンション管理士の飯田勝啓さんは「コロナ禍で一時的に車の利用者が増えているが、長期的には空き駐車場の増加傾向は変わらないだろう。早めに対処しないと、住民に大きな負担が生じる可能性がある」と指摘する。


 分譲マンションに機械式が増えた一因には、自治体が条例で駐車場の設置を義務づけてきたことがある。きっかけは1957年に制定された「駐車場法」だ。当時は急速に車の普及が進んでいた。だが駐車場が圧倒的に足りず、路上駐車が社会問題になっていた。法律ができたことで、自治体が一定規模以上のマンションや商業施設に駐車場の設置を義務づけられるようになった。千葉市のように、「一部のワンルームマンションは総戸数の6割」などと高い設置率を求める自治体もある。

 一方で、都市化も急激に進行していた。地価が高騰し、限られた敷地を効率的に使おうと、機械式が普及していった。


 だが、いまやマンションだけでなく、都市部の商業施設や一部の時間貸し駐車場も利用率の低下に悩まされている。国交省によると、91年度から18年度までに一定規模以上のコインパーキングを含む駐車場の台数は2・9倍になったが、車の保有台数は1・3倍どまり。空車が深刻な東京23区では、18年度までの10年間で駐車場の台数は2割以上増えたのに、車の保有台数は1割減った。

 「駐車場余り」が先行する自治体では、条例を見直す機運が高まる。東京都は一部地域の駐車場の設置義務づけを緩和する方向で検討している。また、仙台市も昨年4月に市中心部の規制を緩めた。


 人口も車の所有者も右肩上がりだった時代が終わったいま、対策は待ったなしだ。」


 住民の高齢化に伴い、駐車場の空き問題も多く聞かれるようになってきました。私のところにも、機械式駐車場を解体したいという相談も来ています。街中のマンションであれば、空き駐車場をコインパーキングにして、マンションへの来客用駐車場や、外部の駐車場に貸し出すのも有効だと思います。電気自動車の増加や、カーシェアリング等、マンションの駐車場問題は、まだまだ続きそうです。



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