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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

再生へ、要件緩和検討 老朽マンション、建て替え進まず 5分の4の合意で売却



 2022年8月17日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。


「大都市を中心に林立するマンションの老朽化が深刻になっている。築40年以上の物件は、10年後には倍以上に増える見込み。売却や建て替えを円滑に進めるため国は制度改正を重ねているが、ハードルはなお高く、さらに踏み込んだ対応の検討も進めている。

 高層ビルなどの再開発が進む東京都港区の竹芝エリアで、新たなマンション「パークホームズ浜松町」の建設工事が進んでいる。敷地面積約600平方メートル、18階建て、総戸数102戸の物件が来秋完成予定だ。

 JR浜松町駅にほど近いこの場所にもともと立っていたのが、「浜松町ビジネスマンション」だった。154戸の9階建てだったが、解体時点で築47年がたっており、建物や設備の老朽化が目立っていた。

 建て替えか、大規模な耐震補強工事か――。所有者らは10年近く前から本格的な検討を始めたが、いずれの場合も所有者は相当の費用を負担することが避けられず、合意は難しかった。

 そこで選んだ道が、売却だ。不動産会社のアドバイスもあり、マンションと敷地を一括して不動産会社に売却する「敷地売却制度」を活用することを決めた。

 この制度は、2014年の「マンション建替円滑化法」の改正で導入された手法で、老朽化して耐震性が不足しているマンションを売却しやすくするため、一連の手続きを定めている。

 民法上は、マンションの売却には各部屋の所有者全員の合意が必要となるが、この要件こそ、売却が進まない大きな要因となっていた。そのため「敷地売却制度」では、自治体が耐震性不足と認定したマンションについては特例として、所有者の「5分の4」の合意で売却できるよう要件を緩和した。

 浜松町ビジネスマンションもこの要件をクリアし、三井不動産レジデンシャルに売却。耐震性不足の物件の場合、新たに建てるマンションは容積率の緩和が認められ、延べ床面積を増やし、より大きな物件に建て替えることができる。今回もより高層の物件になり、もとの所有者は分配金を受け取る仕組みだ。跡地に建設中のマンションに入居することもでき、そのまま建て替えるよりも負担を抑えやすいという。


 ■震災備え転換急ぐ

 国交省によると、2021年末時点の国内の分譲マンション戸数は約686万戸。このうち約15%の103万戸が旧耐震基準でつくられた物件だ。築40年以上の物件は約115・6万戸で、これが10年後に約249万戸になると見込まれる。

 一方で国交省の調査では、建て替えが済んだマンションは今年4月時点で270件にとどまっている。

 大きな壁となっているのは、高額の費用負担だ。マンションを建て替える場合、容積率に余裕のある物件が床面積を増やし、余剰分を販売して費用を捻出するケースはある。しかし、スペースがなくて制限も多い都市部では難しく、建て替えにかかる費用を所有者が負担する必要がある。平均の負担額は増加傾向にあり、所有者1人あたり1千万円以上になるという。

 その解決策の一つとして導入された敷地売却制度も、耐震性が不足する物件でなければ利用できなかった。そこで国は再び法改正し、昨年12月以降は「火災に対する安全性の不足」「外壁などがはがれ落ち、周囲に危険がある」といった物件も対象に追加。さらに4月には、同様に団地など複数の建物の一部を売る「敷地分割制度」も始め、老朽化マンションの売却と再生を促したい考えだ。

 それでも、この制度の対象にならない物件も多く、その場合は建て替えが迫られることになる。区分所有法上は、建て替えには所有者の5分の4の決議が必要だが、費用や作業の負担を避けたい所有者もおり、合意形成のハードルは高い。

 このため、国はこの5分の4の要件緩和についても有識者や法務省、国交省が参加する研究会で議論を進めている。所在不明で建て替え決議に不参加の所有者の除外や、要件を4分の3へ引き下げることも検討。22年度中のとりまとめを目指しており、要件の緩和が実現すれば1983年以来の大きな転換となる。

 国内では首都直下地震など、大規模災害も想定されている。国交省の担当者は「早急な対応が必要で、制度の円滑化を図りたい」としている。」


 建替えが可能なマンションの特徴は、立地が良く容積率にも余剰があり、建替えで新しくできたマンションを売買することで、元からいた居住者はお金の持ち出しなしで、新しいマンションに入居できることです。しかし、このような条件に合致するマンションは極わずかで、実際にはほとんどが建替えできない状況です。また、建替え組合を設立して、居住者の意見を聞きながら部屋割りを行うなど、建替え組合の多大な労力も必要で、実際に運営するにはハードルが高すぎます。このような労力を少しでも軽減する目的では、この記事にもある「敷地売却制度」を利用するのが現実的だと思います。ただし、この制度を利用するにしても、マンションデベロッパーが販売しても売れる立地に現在のマンションが建っていることが前提であり、一部の街中のマンションしか対応できないと思います。

 建替えも敷地売却もできない、その他多くのマンションの、活用方法は課題して残ったままです。

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