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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

首都直下地震「その日」に備える 注目タワマンの「マニュアル」とは

更新日:2022年11月16日



 2022年6月16日の毎日新聞の表題の記事を紹介します。


「いつかやってくる「その日」、私たちの身に何が起きるのか。近い将来、起きるかもしれない首都直下地震。東京都は10年ぶりに被害想定を見直し、数値化しにくい被害や課題を「災害シナリオ」にまとめた。タワーマンションでは停電でエレベーターが止まり、中高層階の住民が地上に降りられず在宅避難が長期化する――。シナリオは都市災害特有の課題を浮かび上がらせている。ただし、自ら対処する方法を考えてもらうため、解決策は書かれていない。「答え」を求めて取材していくと、ある下町のタワーマンションに行き着いた。


 昔ながらの飲食店やオフィスビルなどが混在する中央区日本橋人形町。下町の雰囲気が残る街に、39階建ての「リガーレ日本橋人形町」がある。街中でひときわ目立つタワマンを、マンション管理組合の理事長で人形町育ちの鈴木健一さん(62)は「ここは『縦の長屋』なんだ」と表現する。


 リガーレが2007年に完成する前、一帯は老朽化した木造住宅が密集する一方、バブル崩壊の影響を受けて空き家や青空駐車場が目立つような地域だった。そこに、中央区も参画して防災面などに配慮した再開発事業が持ち上がり、リガーレは建設された。長屋のように軒を連ねていた一帯の地権者らは3階から12階に入り、13階以上は賃貸物件とした。今は計335世帯が暮らす。住民同士のつながりが希薄になりがちなマンションながらも、顔見知りが多い。

 リガーレは、行政から防災の取り組みで表彰を受けたり、他のマンションから防災の取り組みに関する視察が相次いだりして、注目を集めている。理由は、災害時の行動や備えを独自に定めた「震災時活動マニュアル」にある。


 マニュアルの特徴は、時系列でまとめている点だ。震度5強以上の地震が発生したら、その直後から活動が始まる。1日目は「命を守る」、2日目以降は「生活を守る」をそれぞれ主眼に置いて構成している。

 例えば1日目。各階のエレベーターホールにある非常電話・消火器格納箱に保管している安否確認情報シートを使い、安否確認した人の名前や人数、救護の必要性などを記入して情報を集約する手順が、細かく書かれている。2日目以降については倉庫に保存している水や食料の配布管理の手順、エレベーターの停止を想定し上階にリレー方式で物資を運搬する方法など、避難生活を乗り切るための対応が記されている。

 マニュアル作りが始まったのは08年。作ろうにも防災の知識は乏しく、区の防災担当者や防災に詳しいコンサルタントをアドバイザーとして招いた。管理組合の理事ら20人が集まり、1回につき2時間の話し合いを10回以上も重ねた。マニュアルができたのは09年の冬。仕上げるまでに1年半かかった。鈴木さんは「管理組合の理事でさえ備蓄倉庫に入ったことがない人、倉庫の中身を知らない人がいた。マニュアルを作ることで関心がなかった人たちも防災に目を向けた。マニュアルを完成させるプロセスが、実は最も防災に役立つ」と語る。

 マニュアルでは、3日分の水や食料、家具の転倒防止や簡易トイレをチェックリストにし、各家庭で日ごろから備えるよう求めている。しかし鈴木さんは「高層階の家庭は1カ月分の備蓄をしてもいい」と指摘する。大地震が起きればタワマンのエレベーターの復旧に時間を要するのは避けられない。だから「備蓄は高層階に住む者の責任」と言い切る。

 鈴木さんには約20年間、大手マンションデベロッパーに勤務した経験がある。「『鍵1本で隣近所を気にせず住める』と言っていた時代もあった」。自らもそんなうたい文句に沿って、マンションの販売に従事してきた。実家が再開発事業の対象になり、40代で退職して別の不動産会社で役員に就任する傍ら、地権者らで構成する再開発組合のメンバーになった。「リガーレ」完成後は管理組合の理事長を引き受けた。


タワーマンション「リガーレ日本橋人形町」の備蓄倉庫にある食料や水。各家庭での備蓄を促すため、マンション管理組合では食料や水の備蓄はあえて少なくしているという=東京都中央区で2022年5月27日午後2時21分、安藤いく子撮影


 防災マニュアルを作りながら、気づいたことがあった。それは、当たり前かもしれないが、住民同士の協力関係だった。マンションの備蓄を当てにすると、用意していた食料や水はあっという間に底を突く。マンションには寝たきりや薬を飲むのに水が欠かせない高齢者が多く暮らしている。

「健康で体が丈夫な人たちは1カ月、自力で生活できるぐらい備えてもらい、高齢者のように助けが必要な人にその分を回したい」。隣近所を気にする協力関係は防災上欠かせない。

 中央区は湾岸エリアを中心にタワーマンションの建設が進み、人口の9割はマンションなど集合住宅で暮らす。鈴木さんは他のマンションでも、管理組合の中に防災に特化した「防災対策委員」を指名し、マンション独自のマニュアル作りに着手することを提案する。その上で「コミュニティーがないと防災は難しい。高層マンション向けの区の防災マニュアルがあるにしても、各マンションにより事情は全く違う。自分たちのものにすることが重要だ」と話している。」


 防災マニュアルにひな形はありますが、各マンションで実際に話し合いながら、各マンションの実情に合わせて作っていくことが重要です。この記事にもありますが、自分達で話し合って、実際の災害を頭の中でシミュレーションしながら「防災マニュアル」をつくることで、実際に使える生きたマニュアルになると思います。また、話し合いの中で、住人同士が仲良くなることが、いざという時に助け合いのできる関係作りにも重要です。

先日私の住むマンションでも、防災訓練があり、その折に消防署の人から、南海地震は今後30年以内に70%の確率で来ると言われているが、必ず来ると思ってください。という話がありました。人が交通事故にあって死ぬ確率が0.2%、家が火災にあう確率2%に比べると、70%は各段に高い確率です。防災活動の第一は、災害は必ず起こると思うこと。次に災害の大きさを具体的にイメージすること。そして、災害が起きたらどのように行動するかをシミュレーションし、そのための準備(備蓄品も含めて)を事前にしっかりやっておくことだそうです。

 防災マニュアルがまだ作成されていないマンションの方は、まずは防災マニュアル作成にむけて、理事会で話し合いをおこなうことをお勧めします。

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