スタイルアクト代表で不動産コンサルタントである沖有人さんの、2021年4月22日の表題のブログを紹介します。
「マンションの購入理由において「資産性」は第1位
今やマンションの購入理由は「資産性」である。メジャーセブン(大手不動産会社7社が共同で運営する新築マンション検索サイト)の調査では、「資産性」はマンションの購入理由において4年連続1位だ。リクルートの契約者調査では4位だが、1〜3位は「家を持ちたい」「家賃がもったいない」「広い家に住みたい」という当たり前の設問の次なので、「資産性」は最上位と言っても過言ではないだろう。
その資産性がある物件を選ぶための検索方法として、物件検索サイトの「こだわり検索」の、うまい使い方を教えよう。例えば「こだわり検索」の項目の多いSUUMOを題材にすると、検索方法のポイントは次ページのようになる。
最も資産性のある間取りは3LDK、専有面積は40㎡以上
【価格】は高い方が都心に近い物件なので、価格が高い方が資産性はある。「資産性がある」とは、値段が下がりにくいということだ。下がりにくければ、引っ越しは容易にできるし、引っ越した場合に売却価格が高いので、住宅ローンを全額返済した後に資産が増えたことを実感できるはずだ。
【間取り】は3LDKが最も資産性がある。ニーズが高く取引しやすいからこそ、資産性が生まれる。
間数が3から離れるほど資産性は落ちていき、売りにくくなる。
【専有面積】は70平方メートル台から離れるほど、資産性は落ちる。資産性を維持できる範囲は、住宅ローン控除の面積要件である40平方メートル以上と覚えておこう。
【駅徒歩】は近いに越したことはない。マンションにとって最も大事なのは周辺環境ではなく、アクセスである。立地がいいに越したことはなく、できることなら、「駅直結1分」が最もいいことは過去が証明してくれている。また、1分と2分の違いは「2倍」ではなく「4倍」であることは理解しておいた方がいい。直線距離でなく、面積に含まれる競合物件数が問題になるのである。また、(スーパーが駅の近くにあることをふまえると)「スーパーまで徒歩5分以内」は「駅に近い」とほぼ同義だ。
立地の話でいうと、
【複数路線利用可】は、意味合いを読み解く必要がある。「どの駅からも遠い立地」という意味合いなら意味はないが、「1つの駅に複数路線が乗り入れている」場合であればプラス評価ができる。なぜなら、端的に乗り換えなしで行けるような勤め先が増えるからである。
【始発駅】はややプラス程度と考えよう。首都圏の中心は山手線であり、始発駅はそこから離れているケースが多いのが理由だ。
「閑静な住宅街」は今や誉め言葉ではない。集客施設が何もない「もの寂しい場所」という意味で捉えた方がいい。同様の意味で、【一種低層住居専用地域】は戸建てにはいいが、マンションではネガティブになりやすい。
【富士山が棟から見える】は資産価値に影響しない。首都圏であれば、「富士見」と名の付く町はたくさんある。少し高台になれば、首都圏のどこからでも見えることの証拠だ。こうなると稀少価値は生まれない。逆に、「東京タワーが棟から見える」は価値がある。見える物件は非常に限られるからだ。
タワー物件は「ワイドスパン」が特徴、南向きはあまり重要ではない
住戸の特徴
住戸の特徴で最も資産性に影響するのは【階建て20階以上】、つまりタワー物件だ。タワーは眺望が売りで、その価値はマンションの最大の特徴になり得る。
タワーの特徴の一つとして、【ワイドスパン】がある。タワー以外の物件は、南面を全住戸で取り合っていた。だからこそ、開口部は狭くなりがちだった。しかし、タワーは四方に開口部があり、ワイドスパンになり、北向きでも眺望が良ければ資産価値は高くなる。特に、新築から中古になるときに、価格が上がることが多かった。それは、新築の際は価格表で全住戸を比較するので、相対的に南向きを高くしがちだが、中古になると同一物件内で比較はしにくく、内覧のときに眺望が重視されるからである。その意味で、タワーでは南向きはあまり重要でないが、通常のマンションなら南向きが重視される。
資産価値を維持しやすいのは、【ルーフバルコニー付】【角部屋】【天井高2.6M以上】だ。
ルーフバルコニーは稀少性があり、それだけを探している人がいるほどニーズがあるのに、物件が少ない。需給バランスがひっ迫しているから、資産価値が落ちにくくなる。同様に、角部屋も2面採光が取れるため開放感が違ってくる。最上階は新築の際は需要が多いが、中古では需要が少ないので、新築時に高く、中古で売りにくくなりやすいので注意を要する。
【天井高2.6M以上】はぜいたくだ。私は閉所が嫌いなので、天井高が高い物件が好きだ。しかし、これも需給バランスがタイトである。なぜなら、建築基準法で高さ規制があるため、階高は低くしがちになる。45m規制の立地が多いからこそ、14階建てのマンションが多いのだ。この階高を低くして、無理やり15階にする物件はかなり貧相になる。
影響しない項目としては、【和室あり】は今どきはやらないし、【性能評価書取得】は戸建てでは意味があるが、マンションでは意味があまりない。【専用庭付】は1階住戸に付くケースが多いが、マンションの1階住戸はセキュリティーが弱いので、そもそも人気がない。
自走式の駐車場はコストは安くなるが資産価値には影響を与えない
住宅設備
原則、住宅設備で資産価値が変わることはない。あえて挙げるなら、付いていて当たり前の設備が付いていないことで資産価値を落とすケースがある。それは【床暖房】で、最近20年のマンションには90%は付いているので、付いていないとネガティブに働く。
あとは、高額物件に特有の設備は、高額物件だけに資産価値を維持する。例えば、調光スイッチや天井エアコンなどがある。大規模物件なら【ディスポーザー】などもある。しかし、設備があるから資産価値を維持しているわけではないことは理解しておいてもらいたい。なぜなら、住宅設備は耐用年数が短くて10年もすると古くなるし、更新が必要だったり、メンテナンスのコストがかかるだけだからだ。
共用施設
最も利用頻度がある共用施設は、駐車場だ。【100%駐車場】は敷地が広く、自走式で出し入れできる。機械式と違い、メンテコストが少なくて済むが、ランニングコストが安くなるだけで、資産価値には影響を与えない。【無料駐車場】になることも多いのは家計に優しい。資産価値に影響しているなら、それは総戸数が多い「大規模物件」だからだ。
管理水準
管理もランニングコストへの影響が大きい。最近の新築は人件費の高騰で管理費が高くなっている。【フロントサービス】【24時間有人管理】【共有施設】などはその分、管理費が高くなる。管理は住んでからでないと、その良さはわからないので、売買時に価格に影響することはほぼない。
まとめ
マンションは画一的な商品だ。70平方メートル・3LDKが多いからこそ、立地が最も重要であり、商品企画は最大公約数的になりがちである。だからこそ、需給バランスがひっ迫する要件でもない限り、価格に影響することはない。
住宅設備も、10年もすれば耐用年数が来るものは短期で償却するものであるがゆえに、資産価値に影響することはない。
また、共有施設や管理水準はランニングコストの問題であり、安いに越したことはないが、生活する上で必要なことも多く、資産価値に影響することはまれだ。
あとは、思い込みはやめよう。
富士山が見えるのは確かにいいが、資産性に影響する項目はそもそも少ない。その少ない項目以外は個人的な好みの問題であり、選ぶ基準の一つと割り切ろう。
資産性は、売却時に購入してくれる人の好みなので、これと自分の好みのバランスを取るのが賢い選択の仕方だ。この判断ができるようになると、あなたは物件検索のセミプロであり、その恩恵として、「居住満足度」と「資産性」の両方を取ることができるのである。」
首都圏の中古マンションをターゲットにした記事なので、そのまま高松の物件に当てはめるには無理のある項目も多いですが、参考になる部分も多々あると思います。先日、高松市内のリーガホテルの直ぐ横の築37年のマンションで、63㎡の3LDKが480万円で売り出されていました。室内のリフォームは必要ですが、自分で住んでも、また投資物件として賃貸で貸しても、充分元の取れる物件だと思います。すぐに持ち家を持つ必要のない方は、中古マンション購入も視野に入れて、じっくり探せばどうでしょうか。室内をフルリフォームしても新築よりも価格の安い、お買い得の物件があります。香川県の中古マンションもSUUMOには多く登録されているので、【こだわり検索】されることをお勧めします。
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