不動産物件情報を見ていると、よく目にする建物名に「コーポ」「ハイツ」「メゾン」があります。コーポやハイツというと少し古い時代のアパートを、メゾンというと洋風の住居をそれぞれ想像する人も多いかもしれませんが、これらの名称の建物には、どのような違いがあるのでしょうか。
まず、コーポは「共同住宅」を意味する英語「corporate house(コーポレートハウス)」を語源とする和製英語です。ハイツは「高台(にある家)」を意味する英語「heights」が語源です。メゾンは「家・建物」という意味のフランス語「maison」から来ています。これら名称の使用に明確な基準や区別があるわけではなく、単なるネーミングにすぎません。「鉄骨造だからハイツ」「木造だからコーポ」といったルールはなく、所有者が自由に名前をつけているだけです。
コーポ、ハイツ、メゾンの3つ以外にも、物件情報では以下の名称をよく目にします。マンションに使用されることの多い3つの言葉は、より大きな建物をイメージしていることがわかります。
【アパートに多い名称】
・ヴィラ(villa):フランス語で「別荘」 ・シャトー(chateau):フランス語で「城」 ・ハイム(heim):ドイツ語で「家」 ・カーサ(casa):イタリア語で「家・住宅」
【マンションに多い名称】
・レジデンス(residence):英語で「大きな邸宅・官邸」 ・コート(court):英語で「庭に囲まれた大邸宅」 ・パレス(palace):英語で「宮殿・公邸」
建物種別が法的に定められていないにもかかわらず、なぜこのような外国語の名称がアパートやマンションに多く使われているのでしょうか。「昔の日本の集合住宅には『○○荘』という名称が多く見られましたが、古臭いイメージがあるとして1980年代頃から敬遠されるようになりました。その流れから、物件に高級感やおしゃれな印象を与えつつ、さらに、居住用であることを示せる『家に関する外国語』が多く取り入れられるようになったようです。
ちなみに、マンションは「豪邸・邸宅」を意味する英語、アパートは「共同住宅」という意味の英語「アパートメント(apartment)」をそれぞれ語源とする和製英語です。
昭和30年代後半に日本のデベロッパーが公団住宅とは一線を画した高級路線の集合住宅を、高級感をイメージするために「マンション」と呼び始めました。古くは日本の最初のマンションは「同潤会アパート」と呼ばれていましたし、最初の民間分譲マンションは「四谷コーポラス」と呼ばれていました。大手デベロッパーの大京の第1号物件、ライオンズマンション赤坂が、1968年竣工なので、そのあたりがマンションの呼び名の始まりかもしれません。
外国ではマンションは「コンドミニアム」や「アパートメントハウス」と呼ばれることが一般的です。
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