マンションでは高級感と、汚れにくく美観が長く保てるとの理由から、外壁にタイルが張られているケースが多いです。しかし、経年変化によって、タイルが剥がれ、最悪、タイル落下によっての人身事故等がおこることも考えられます。大規模修繕工事においても、タイルの張替え工事には多額の金額が発生し、また既存のタイルと色が合わず、大規模修繕工事によって、却ってマンションの美観を損ねるケースも発生しています。
今回は、外壁タイルが剥がれる理由の説明をしたいと思います。
タイル剥離のメカニズム
コンクリート躯体からタイルが剥がれる主原因は、コンクリートとタイルとの熱膨張率の違いです。建物は温度・湿度等の変化によって、伸縮を繰り返しています。ただその伸縮具合がコンクリートと下地モルタル・磁器タイルにより異なっており、この伸縮率の違いにより、それぞれの界面(境目)に応力が発生します。
特に直射日光のあたる面では一日の温度差が30度もあり、それを毎日繰り返すことで、その応力に耐え切れなくなった部分が剥がれ、タイルの浮きが発生することになります。
建物でタイル剥離が多いのが、南面や西面である理由も、この直射日光による温度差によるものです。
施工不良
タイル施工時の不良によって、タイルの浮きが発生するケースもあります。施工不良による主原因には以下の2つがあります。
ドライアウト
一つ目の原因はドライアウトです。ドライアウトとは、タイルを張るための接着モルタルや下地調整材が、施工前のコンクリートを湿潤していなかったり、施工までの間に時間が長いために、コンクリートへの吸い込みや風等で水分が気化し、硬化不良を起こす現象です。剥離した後の下地モルタル部分をマイナスドライバーで削ってみて、容易にはがれるようであれば、ドライアウトが原因だと考えられます。
たたき不足
二つ目の原因は、施工時のタイルのたたき不足です。タイルの表面に張り付けモルタルを塗り付け、コンクリートに密着させることで、タイルを張っていくのですが、密着させるためには、タイル表面をたたいて建物に張り付ける必要があります。足場等が邪魔して充分なたたきが出来ず、タイルが剥離するケースもあります。タイル剥離発生部位が、水平や垂直に連続して続いている場合は、たたき不足がタイル剥離の原因になっていることも考えれます。
その他、型枠剥離剤の影響や、伸縮目地の上にタイルを施工して剥がれる等のケースもありますが、劣化分布図を見て、タイル剥離が、ある階に集中している場合も、施工不良が考えられるケースです。施工時の気象条件が悪かったり、その階だけ、別の職人が施行していて、施工不良が発生しているケースもあります。
築年数にもよりますが、施工不良であれば、新築時のゼネコンに対して、補修の請求も可能です。タイルの浮きが多いマンションでは、施工不良かどうか、専門家に依頼することも検討しましょう。
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