今、大規模修繕工事のコンサルタントを行っているマンションの組合員から、バリューアップ工事は大規模修繕工事とは別だから、今回の工事からは除外して欲しいとの要望がありました。お話を聞いていると、隣近所のマンションでも、塗装の塗り替え等しか行っていない。何でうちのマンションだけ、余計な工事をするんだ?という単純な疑問から始まっています。
確かに劣化した部分だけを修繕するのが本来の大規模修繕工事ですが、最近はその修繕にプラスしてバリューアップ(新しい機能向上)を行う例が大都市圏を中心に増えてきています。
管理組合の大きな使命の一つに、住んでいるマンションの資産価値の向上があります。具体的に言えば、中古でマンションを売るときに、販売価格が高くなることです。マンションを買うときに、古いままのマンションと、新しくリフォームされたマンションでは、どちらが高く売れますか?自分の部屋の中は、自分でリフォーム出来ますが、共用部の改修は個人では出来ません。共用部の機能価値向上を、大規模修繕工事と一緒に行おうというのが、バリューアップ工事です。
一番多いのはバリアフリー工事で、車いすでも利用可能なように、階段をスロープに変えたり、開き戸を引き戸に変更したりします。また、最新のマンションに近づけるために、宅配ロッカーを設置したり、入退室をノンタッチキー化したりという例もあります。古いマンションでは、エントランスホールを改修して、オートロックを設置して、新築マンション同様に改修するケースもあります。最近は、駐車場に電気自動車対応の充電設備を設けるケースもあるようです。
バリューアップ工事は単独でも実施できますが、大規模修繕工事と併せて発注するほうが、コストメリットも大きく安く工事が出来ます。管理会社や設計コンサルタントの中には手間暇がかかるので、バリューアップ工事の提案に後ろ向きな場合も多いですが、大規模修繕工事実施前の入居者アンケート等で、組合員の要望も聞き、管理組合は資産価値向上のために、積極的にバリューアップ工事に取り組んでもらいたいと思います。
10数年に一度、手間暇をかけて、大規模修繕工事を実施するのですから、住んでいる入居者も、やって良かった、便利になったと思うような、大規模修繕工事を実施するべきだと思います。
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