令和5年2月9日に国土交通省住宅局から、表題の事務連絡が日本マンション管理士会連合会に届きました。
子どもがマンションのバルコニー等から転落する事故が近年増加しており、令和4年度においては国土交通省に対して既に4件の報告がきているとの内容です。
消費者庁のホームページを見ると、
窓・ベランダ等からの転落
3~8歳を中心に幅広い年代で発生
頭を中心に広範囲を受傷。
高所からの落下は生命に関わる重大なけがにつながるおそれ
<ポイント>
子どもが勝手に窓を開けたり、ベランダに出たりしないように、窓には子どもの手の届かない位置に補助錠を付ける
窓やベランダの手すり付近に足場になるようなものを置かない
窓、網戸、ベランダの手すり等に劣化がないか定期的に点検する
小さな子どもだけを家に残して外出しない
窓を開けた部屋やベランダでは小さな子どもだけで遊ばせない
窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない
と書かれています。
2022年11月、千葉県にある高層マンションの25階のベランダから2歳児が転落死、同じ11月に大阪府でもマンションから転落したと見られる2歳児が死亡するなど、ベランダや窓からの転落事故が相次いでいます。東京消防庁管内では、2017年から2021年までの5年間で5歳以下の子ども62人が、住宅等の窓やベランダから落ちて医療機関に救急搬送されたという報告もあります。
また令和3・4年のマンションからの転落事故例を見ると、7件の事故の内、4歳男児が3名、4歳女児が1名、2歳男児が3名となっており、ベランダに置かれた家具等を踏み台にして転落しています。マンションの手摺は一般的に高さが1.1m以上あり、手摺間の隙間は110mm以下となっており、手摺単体だけであれば子供が誤って乗り越えることはありません。
マンションのベランダや窓からの転落事故は、春から夏、秋に多発しています。冬は防寒のためにベランダや窓を閉め切っていることが多いですが、過ごしやすい初夏や秋は、換気を兼ねてベランダや窓を開けておく時間が長くなり、事故が増える理由のひとつと考えられます。また、ベランダや窓を開ける機会が多い春や秋は鍵をかけ忘れることも増えるため、保護者が見ていないときに、幼児が自分でベランダの掃き出し窓を開け、ベランダに出て転落事故につながる可能性が高いと考えられます。
ベランダからの転落事故を防ぐためには、まず、子どもが勝手にベランダに出ることができないようにする対策が重要です。そのためには、ベランダの掃き出し窓に、既存の鍵以外の補助鍵を設置しましょう。補助鍵は、子どもの手の届かない場所に設置します。また、窓が一定の距離しか開かないようにする窓ストッパー(窓ロック、引き戸ストッパー)も有効です。子どもが外に出ることができない幅で窓を開けておけるので、換気もできます。
基本的に、小さな子どもだけを家に残して外出しないことが鉄則です。
2023年3月24日にも名古屋で2歳の双子の男児が、7階の妻側の窓から転落し亡くなるという事故が発生しました。窓の近くに足がかりとなる家具が置かれ、窓枠には手すりが設置されていましたが、手摺と窓枠の間に30cm程度の隙間があり、その間をすり抜けて落下したのだと思われます。ご両親のことを考えると、なんともやり切れない痛ましい事故です。
万が一ベランダに出ても、足がかりとなるエアコンの室外機やガーデニングの棚、椅子やテーブルが手摺の近くに設置されていないか?バルコニーの無い妻側の窓際にベッドや家具をおいていないか?
小さなお子様のいるご家庭は、今一度、確認をお願いします。
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