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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

マンションの終活を考える

更新日:2022年5月13日



 マンションの基本法律である「区分所有法」が1962年に制定されてから、60年近い年月が経ちました。香川県でも1966年(昭和41年)に建設された労住協第1ビルが、香川県初の分譲マンションになります。香川県の初期のマンションはいずれも労住協マンションで、特に、第1ビル、第3ビル(岩井ビル)、第4ビルは築50年超の建物です。築40年程度を経過した、旧耐震マンションも約50棟あります。1戸建て住戸であれば建替えればいいのですが、マンションの場合は建替えも簡単ではありません。今回は高齢化マンションの取るべき対策についてのお話です。

マンションの耐用年数は?

 よく皆さんから聞かれるのは、マンションは何年持ちますか?という質問です。マンションもある程度高齢化してくると、終活を考える必要が出てきます。

 定期的に修繕を行っていけば、建物としては100年以上持つと思います。(物理的劣化)

 ただし、古いマンションの場合はエレベーターが無かったり、部屋の面積が小さかったりと、現在の生活様式や住宅ニーズに対応できていないケースが多くあります。(社会的劣化)

 また、1住戸あたりの電気容量が小さかったり、スペース的にお風呂をユニットバスに交換できない等の問題もあります。(機能的劣化)

 日本で初の鉄筋コンクリート造集合住宅である同潤会アパートや、戦後初の分譲マンションだった「宮益坂ビルディング」も築65年前後で建替えられています。

 これらのことを考えると約65年が、マンションの寿命でしょうか?

 そう考えると15年毎に大規模修繕工事を実施するとして、3回目の大規模を実施した築45年目あたりから、マンションの終活について具体的に考える必要が出てきます。

具体的な対策

 高齢化マンションの終活としては以下の3つの方法が考えられます。


その1:さらなる長寿命化

 社会的劣化・機能的劣化については目をつむり、物理的劣化の限界である100年まで、大規模修繕工事を繰り返す。多くのマンションは、この方法を選ぶのではないでしょうか?

 問題の先送りですが、管理組合が正常に機能しているのであれば、可能な選択だと思います。

ただし、空き住戸が増えたり、修繕積立金の未納住戸が増えたりしてきて、マンションがスラム化する危険性もあります。

その2:建替えを検討

 立地が良くて、容積率にも余裕がある場合に検討できる選択です。うまく行っているケースは、余っている容積率で新たにマンションを建て、その余った容積分の住戸を販売し、現居住者の持ち出し負担を減らして、新しいマンションに入居するという方法です。建替え組合の結成等、マンション入居者の意思統一を図るためには、入居者はかなりの労力と時間を必要とします。

その3:管理組合を解散し、敷地の一括売却

 マンション建替えはハードルが高いため、新たに平成26年に「マンション建替え円滑化法」が改正され、「敷地売却制度」が設立されました。この制度は、今までは入居者全員の同意が必要だった敷地売却を、旧耐震物件で耐震性が不足する場合に限り、区分所有者の5分の4の賛成で、敷地を売却できるという制度です。区分所有者は売却代金を新たな生活の原資に出来ます。

まとめ

 30歳でこのマンションを買った人は、マンションの寿命だと仮定した65年目には95歳になっています。建替え時期に中心となっている区分所有者は、その子供や孫です。建替えマンションに愛着がないのであれば、今後「敷地売却制度」の活用が増えてくるのではないでしょうか?

 また、自分の住むマンション寿命を決めれば、それ以降の修繕積立金を減額することも可能になります。建物の一生涯にかかるコスト(ライフサイクルコスト)を考えた場合は、マンションを100年持たすよりは、65年で建替えた方が低額になります。

 ご自身の終活を考えることはもちろん重要ですが、自分の住んでいるマンションの終活についても、そろそろ考える時期にきているマンションも増えてきています。

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