大規模修繕工事の費用として、施工業者への発注金額にプラスして予備費を計上します。予備費とは、工事中の増額工事に対応するために利用できる金額の上限を示すために計上しておく予算のことです。大規模修繕工事の可否を決める総会時には、この予備費を含んだ総額を工事費用として計上し、決議を得ます。
最初に業者に出した見積もり数量書には、下地補修の面積や、タイル修繕の面積欄には実数清算という文章が入っています。大規模修繕工事前に建物診断を実施しても、実際に足場を組んでから詳細に調査を行うと、補修数量が変わってきます。見積もり時の金額はあくまで予定で、実際に工事が始まってから清算をおこない、工事完了時に工事費の増減を行います。
予備費とは、清算で追加になった場合でも、理事会の権限で払えるお金を予め決めておくために定められるものです。実数清算は増額だけでなく、減額の場合もありますし、使わなければ修繕積立金として残る金額になります。
一般的には、工事費の5~10%の金額を予備費として計上し、総会の承認を得ます。
予備費をオーバーした場合は、再度臨時総会を開催し、承認を得れば追加で工事金額の増額をはかることも可能です。ただ、工事途中に臨時総会を開くと、途中で工事がストップするおそれもあるため、修繕積立金に余裕があるのであれば、多めの予備費を確保しておくほうが、後々の工事監理は楽になります。かといって、あまり多額の予備費を計上すると、見た目の大規模修繕工事費用が高く見えます。このあたりは、理事会によって意見の分かれる所です。
予備費が少ない場合には、タイルが剥がれて落ちてもケガの危険性の少ない、開放廊下やバルコニーの内壁のタイル張替えを止める等の対策をおこない、極力、予備費以内で工事を終わらせるように努力します。少し厳しめの予備費にしておくほうが、修繕積立金の無駄遣いにはならないように思います。
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