2022年11月7日の廣田信子さんの表題のブログを紹介します。
「今、長期修繕計画を見直すことは難しい。そういう声を聞くことが多いです。
管理組合の会計では、まず、管理費の問題があります。今、電気料金の値上がりがどこまで行くか読めない。このままいくと、管理費を見直さざるを得ないと非常に気になっています。
修繕工事の代金も、確実に上がっていて、しかも、部品が手に入らない等で工事が非常に遅れるということが普通にあります。
長期修繕計画に入れるため、設備関係の見積を依頼しても、とても将来のことはわからなくて、今は見積を出せないと言われることが多くなっています。どのくらい上がるのか工事業者も読めないのです。
今、大規模修工事の工事費も2~3割アップになると言われています。今後、修繕工事費の値上がりがどのくらいに落ち着くかも読めない段階で、過去のデータに基づいて、長期修繕計画を立てるなんて危険すぎる…と言います。これまで、大規模修繕工事に中心となって取り組んできた方ほど、そのことを思い、悩みます。
そうは言っても、将来は不確かだ…との条件付きで、今、過去の状況から、長期修繕計画を見直すべきなのか…ということです。バブル期には、修繕積立金の金利も高く、増えるのは当たり前。管理会社に支払う管理委託費も修繕工事費も、年々上がるのはごく当たり前だった時代もあるのです。30年ちょっと前の現実です。
それを思うと、今、将来は分からないながらも、その都度、自分たちで計画を見直し続けることも必要なのではないかという気がいます。
一方、管理計画認定制度には、新築マンションの予備認定といって、最初から管理計画認定制度の認定条件を満たしているマンションを認定しています。すでに11月2日現在345マンションが予備認定されています。
予備認定は、管理規約で必要な項目が入っていて、修繕積立金がきちんと区分されていて、長期修繕計画が認定条件を満たした内容であること、が条件で、その他の条件は含みません。
予備認定されると、住宅金融支援機構の「フラット35」維持保全型の対象となり、金利が、当初5年間年0.25%引き下げられます。
予備認定の申請をするマンションは、当初から30年の長期修繕計画を持ち、30年均一の修繕積立金を持っているマンションとイメージしていましたが、実際、そんな計画は無く、修繕積立金は、最初が安くて、だんだん値上げしていく方針はそのままのようです。
これには、かなりがっかりしました。それでOKなら、いいとこ取りになってしまうおのではないかと…。修繕積立金の値上げの時、区分所有者が承認するか、7年後の見直しのときに、もっと値上げの必要な修繕工事が出てきたら、区分所有者がどう反応するかが気になります。
そこで、認定制度の認定維持と修繕積立金の値上げが決まらなければ、それまでになってしまいます。
予備認定の認定数の評価はそれを待たないとちょっとわかりません。
そんな話をしていたら、マンション管理士の方が、予備認定の申請をするマンションは、第三者管理方式をとるマンションが多くてびっくりすると言います。理事会がなく総会だけで、管理会社が管理者として管理組合運営を行う方式です。
第三者管理方式で、必要な修繕積立金の値上げを管理会社が管理者として行っていく、それで区分所有者はいいのか…と、審査するマンション管理士の方々が驚くのです。
第三者管理のマンションは、億ションで区分所有者がお任せ体質のマンションだけでなく、ごく普通 のマンションも含まれています。最初から第三者管理の管理計画予備認定マンションがどんどん増えているのです。
その現状を見ると、自分たちで、長期修繕計画をしっかりつくろうと思っているマンションは、ちょっと、時間を置いてつくってもいいと思いました。
でも、いつまで待っても将来は不確かなので、どこかで区切りをつけてくださいね。」
先日、ある管理会社の人と話していたら、予備認定のマンションで、均等積立方式でなく、段階積立方式でも認定が下りることに疑問を感じているとの話がありました。管理会社の実務を行っている人にとって、長期修繕計画の通りに修繕積立金が増額できないケースが多くあることを知っており、予定通りに修繕積立金を値上げできなかった場合の、「フラット35」の金利優遇はどうなるのか?と。例えば2年後に修繕積立金の値上げが予定された長期修繕計画で、実際には修繕積立金の値上げができなかった場合に、金利優遇が取り消されると、「フラット35」の金利優遇を受けてきた人にはデメリットになります。しかも、値上げの可否は総会で決議されるため、本人の意思に関係なく採決されます。これらを考慮すると、確かに問題の多い認定項目だと思います。
Commenti